プロムスの「マクロプーロス事件」
週末は他のジャンルが忙しく、プロムスから遠ざかっていました。それも一段落したのでネット中継再開です。
17日にバレンボイムとアルゲリッチの競演を楽しみましたが、翌18日はシェークスピア特集。ウォルトンやフィンジなど興味深い作品も並んでいましたが、ほとんどが馴染も無く、譜面も手元に無いことからパス。一日置いて19日のBBC響を聴きました。
8月19日 ≪Prom 45≫
ヤナーチェク/歌劇「マクロプーロス事件」(演奏会形式、チェコ語歌唱)
BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
指揮/イルジ・ビエロフラーヴェク Jiří Bělohlávek
エミリア・マルティ/カティア・マッティラ Karita Mattila
アルバート・グレゴール/アレス・ブリッシェン Aleš Briscein
コレナティー博士/グスタフ・ベラチェク Gustáv Beláček
ヴィテク/ヤン・ヴァチク Jan Vacík
クリスティーナ/エヴァ・ステルポヴァ Eva Štěrbová
ヤロスラフ・プルス/スヴァトプラク・セム Svatopluk Sem
ヤネク/アレス・ヴォラチェク Aleš Voráček
ハウク・センドルフ/ヤン・イェツェク Jan Ježek
舞台技術者/イルジ・クレツカー Jiří Klecker
掃除婦/イヴォナ・スクヴァロヴァ Yvona Škvárová
女中/ヤナ・フロコヴァ・ワリンゲローヴァ Jana Hrochová Wallingerová
合唱/BBCシンガーズ男声合唱団 BBC Singers (men’s voices)
今年のプロムス・オペラ全曲公演は、ボリス、セヴィリアの理髪師に続いて三本目。プロムスとしても珍しいヤナーチェクのマクロプーロス事件が取り上げられました。
この歌劇のフル・スコアは未だ市販されておらず、私はユニヴァーサル社から出ているヴォーカル・スコアを参照しながら聴きました。
私は以前に二期会公演でこのオペラ上演に接したことがあり、初めてじゃありません。日本語訳では「事件」となってるのが多いのですが、ヤナーチェクの権威マッケラスは、英語では「Secret」が適切と言う見解。今回インタヴューに応じたビエロフラーヴェクは「Case」と喋っていました。
悲劇なのか喜劇なのか、何とも不思議なオペラですが、客席からは時折笑い声も聞こえてきます。英語字幕が出るのかチェコ語が判る人がいるのか。それとも演技が笑いを誘っているのか。
マッティラ以外は全てチェコの歌い手ですが、演奏の素晴らしさはネット中継でも良く聴き取れます。もちろんチェコ語による原語上演、演技を伴わない演奏会形式ですが、実際の舞台を髣髴させるよう。
第二幕と第三幕の間に休憩が入ります。舞台裏で金管が鳴らされる場面などもあり、オーディオ的にも想像力を搔き立てる公演。マッティラの歌はやはり圧巻で、とても336歳(主人公の設定)とは思えない瑞々しさでした。
これ以上付け加えることもありませんが、やはりフル・スコアが出版されることを期待しましょう。
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