次はぺトレンコのラフマニノフ

25日のロンドンも大変暑い日だったようで、私が5年前にプロムスに出掛けた日々が寒かったことを思い出すと、今年は何処も異常気象のようです。尤も5年前の寒さも異常でしたけどね。
23日はヴェデルニコフとハフが、24日はオルソップがラフマニノフを取り上げましたが、25日もラフマニノフ。プロム53はこんなプログラムでした。

8月25日 ≪Prom 53≫
エミリー・ハワード Emily Howard/Torus(BBC委嘱作品、世界初演)
ショスタコーヴィチ/チェロ協奏曲第1番
     ~休憩~
ラフマニノフ/交響曲第3番
 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック管弦楽団 Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
 指揮/ヴァシーリイ・ペトレンコ Vasily Petrenko
 チェロ/アレクセイ・シュタドラー Alexey Stadler

ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック管弦楽団と、その首席指揮者を務めるぺトレンコによるコンサート。ぺトレンコという指揮者は少なくとも二人はいて紛らわしいのですが、ベルリン・フィルの首席になったのはキリル・ぺトレンコ、こちらはヴァシーリイ・ぺトレンコです。
兄弟じゃなく、親戚関係でもないそうな。ウクライナで石を投げればぺトレンコに当たるというほどで(まさか!)、日本なら山田さんという位の姓名なんでしょう。

最初に演奏されたBBC委嘱作は、1979年生まれの女性作曲家ハワードの新作。これがプロフィールです。

http://www.emilyhoward.com/

曲のタイトルは建築用語で半円形繰型を意味するトルスのことでしょうか、良く分かりません。管弦楽のための協奏曲として作曲されたもので、20分ほど掛かります。
上記のホームページでスコアが買えるようですから、聴いて気に入った方は発注してみては如何でしょうか。結構な多作家のようです。

前半の2曲目は今年のプロムスのテーマでもあるチェロ協奏曲シリーズからショスタコーヴィチの代表作。当初ソリストはトルルス・モルク Truls Mørk と発表されていましたが、何らかの事情でシュタドラーという若手に代わりました。
これがプロムス・デビューになるそうです。彼のアンコールは、バッハの無伴奏チェロ組曲第2番からサラバンド。

冒頭に紹介したように、3日連続のラフマニノフはパガニーニ狂詩曲、交響的舞曲に続いて第3交響曲。程度の差こそあれ、ディエス・イレが隠し味になっている点が共通していて、プロムスとして何か意図があったのでしょうか。

オケのアンコールは、ショスタコーヴィチが編曲したユーモラスなタヒチ・トロット「二人でお茶を」。指揮者ニコライ・マルコが新進作曲家ショスタコーヴィチの技量を試すために1時間でアレンジするよう課題を出した結果生まれたという有名な逸話のある小品。
原作はヴィンセント・ユーマンスという人がミュージカル(後に映画にもなった)「ノー・ノー・ナネット」(No No Nanette 、同名の競走馬もいます)のために書いたメロディーで、映画がリメークされた時に「二人でお茶を」というタイトルが付けられて爆発的にヒットしたもの。客席から何度も笑いが起きるのは、旋律に気が付いた人たちの反応でしょう。

 

 

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