カラー競馬場に新たなGⅢ戦
さて昨日の日曜日、アイルランドのカラー競馬場でもG戦が3鞍行われています。歴史的に英国の農業搾取国だったアイルランドには、日曜日が休息日という概念はありません。むしろアイルランドでは重要なG戦は全て日曜日に行われます。
昨日はGⅠ戦こそありませんでしたが、新たに格上げされた一戦も含め、全てがGⅢ戦でした。
先ず、フレーム・オブ・タラ・ステークス Flame Of Tara S (GⅢ、2歳牝、1マイル)は今年からGⅢに格上げされたレースで、以前からあった同名のレースが、2003年に現在の条件で安定したのがレース史の始まり。レース名のフレーム・オブ・タラは1980年代に活躍したアイルランドの牝馬で、クラシック3勝の名牝サルサビル Salsabil の母にもなったことを記念して命名されたものです。
この日の馬場は、やや重い yielding 。7頭が出走し、前走ゴールウェイで初勝利を挙げたばかりのエジーラ Ezira がイーヴンの1番人気。この時の2着馬ハイドランジア Hydrangea がそのあと、デビュタント・ステークス(GⅡ)で2着したことも人気の要因です。
4番人気(10対1)のバウンド Bound と、5番人気(20対1)のレジティムス Legitimus との逃げ争いから、3ハロン地点でレジティムスが先頭。これを3番手で追走したエジーラが残り1ハロンで抜け出しましたが、後方を進んでいた2番人気(7対2)のシー・オブ・グレース Sea Of Grace が一気に追い上げて先頭。これにエジーラが競り掛けて2頭のマッチレースとなりましたが、再び差し返したシー・オブ・グレースが本命馬を首差抑えて優勝。中団の5番手から伸びた3番人気(7対2)のバタフライズ Butterflies が3馬身半差で3着。
ジョン・オックス厩舎、デクラン・マクドノー騎乗のシー・オブ・グレースは、カラーの7ハロン戦でデビューして3着。2戦目がティッペラリー競馬場の未勝利戦で、この時はデビュー戦だったエジーラを1馬身破って初勝利を記録していました。3戦目でのG戦初勝利で、2週間後のモイグレア・スタッド・ステークス(GⅠ)に挑む予定。来年のオークスに25対1のオッズが出されました。
続くスノー・フェアリー・フィリーズ・ステークス Snow Fairy Filies S (GⅢ、3歳上牝、1マイル1ハロン)も初めて耳にするレース名ですが、実は去年までダンス・デザイン・ステークス Dance Design S として知られていたもの。今年改名されたようです。1頭が取り消して9頭立て。ここ10年では3歳馬が圧倒的に有利な一戦で、今年もオークス5着以来のレースとなるゴドルフィンのスキッフル Skiffle が9対4の1番人気。オークスの敗因は距離が長過ぎたためで、3ハロン短いここでは勝利間違いなしという評価でした。
7番人気(20対1)のダッチェス・アンドーラ Duchess Andorra と4番人気(8対1)のプランチャート Planchart とが逃げ、スキッフルは中団の5番手。しかしスタートで出遅れ、6番手に押し上げていた2番人気(5対2)のサムハウ Somehow が残り2ハロンで先頭に立つと、4番手から徐々に進出していた5番人気(10対1)のエプサム・アイコン Epsom Icon に7馬身の大差を付ける圧勝。半馬身差でスキッフルは3着に終わりました。
エイダン・オブライエン厩舎、シーマス・へファーナン騎乗のサムハウは、3走前のオークスではスキッフルに先着して4着だった馬。そのあと愛オークスでは5着、前走ギヴ・サンクス・ステークス(GⅢ)でも2着していましたが、G戦は初勝利。オークス前に勝ったチェシャー・オークスは現在はリステッド戦です。
母アレクサンドロヴァ Alexandrova はオークスと愛オークスを連覇した名牝。マトロン・ステークス(GⅠ)に10対1、アスコットのチャンピオン・フィリーズ・アンド・メアーズ(GⅠ)にも同じ10対1のオッズが出されています。
最後はラウンド・タワー・ステークス Rownd Tower S (GⅢ、2歳、6ハロン)。来年のクラシックというよりスプリンター向けの2歳戦で10頭立て。2戦続けてG戦で好走してきたインテリジェンス・クロス Intelligence Cross が11対8の1番人気。
5番人気(16対1)のヴェルヴェティーン Velveteen が逃げましたが、楽に2番手を追走していたインテリジェンス・クロスが抜け、内の5番手を先行していた2番人気(2対1)のホーリー・キャット Holy Cat に4馬身4分の1差を付けて人気に応えました。首差で外を先行していた4番人気(10対1)のデ・ボス・マン De Boss Man が3着。
前のレースに続いてエイダン・オブライエン厩舎、シーマス・へファーナン騎乗のインテリジェント・クロス、2戦目にカラーの6ハロンで初勝利を挙げ、ジュライ・ステークス(GⅡ)、リッチモンド・ステークス(GⅡ)は何れもメーマス Mehmas の夫々2着・3着。ここでG戦初勝利となりました。
オブライエン師によれば、前走の敗因は馬場(good to firm)だったようで、次走はミドル・パーク・ステークス(GⅠ)になる予定。この日オブライエン厩舎は1日3勝のハットトリックを完成させましたが、主戦のムーアが乗るのは次回からになりそうです。
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