秋の来日が楽しみ、シモーネ・ヤング
プロムスは一日遅れで聴いていますので、今日のレポートは8月最終日、31日に行われた演奏会です。女性指揮者と女性ヴァイオリニストの共演が楽しみな以下のもの。
8月31日 ≪Prom 62≫
バヤン・ノースコット Bayan Northcott/管弦楽のための協奏曲(BBC委嘱作品、世界初演)
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K219
~休憩~
ツェムリンスキー/抒情交響曲
BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
指揮/シモーネ・ヤング Simone Young
ヴァイオリン/バイバ・スクリデ Baiba Skride
ソプラノ/ショバーン・スタッグ Siobhan Stagg
バリトン/クリストファー・モールトマン Christopher Maltman
先ず指揮者・シモーネ・ヤングは意外にもこれがプロムスデビューなのだそうです。ウィーンで活躍している方で、ブルックナーのCDでも有名。私も何枚か持っています。
彼女はこの秋、二期会公演の「ナクソス島のアリアドネ」を指揮することになっていて、私もチケットをゲットして期待しています。このプロムスを聴いて来日が楽しみになりました。
最初に演奏されたのは1940年ロンドン生まれの作曲家、ノースコットの新作。70代の後半に差し掛かっている方ですが、管弦楽作品は少ないようですね。NMLで聴けるのも全て室内楽ですし、スタイナー&ベル社から出版されている作品も小編成のものばかり。
同社のホームページにプロフィールがありますが、驚いたことに一部はPDFで取り込むことも可能。室内楽と声楽曲がほとんどですが・・・。
http://www.stainer.co.uk/bayan.html
今回の新曲は20分弱、珍しいノースコットの世界を味わいました。
前半の2曲目はモーツァルトの最も有名なヴァイオリン協奏曲。ソリストのスクリデは7月に読響とベートーヴェンを共演したばかりですし、名古屋でもプロコフィエフを演奏していました。私は機会に恵まれませんでしたが、美女の演奏を堪能された方は懐かしく聴けるでしょう。
余り聴きなれないカデンツァでしたが、もしかするとヨーゼフ・ヨアヒムが書いたものかも。WERMによればティボー、ブッシュ、クーレンカンプ、ハイフェッツなど古い世代はヨアヒムのカデンツァを弾いていたそうで、時間が或る時にでも聴き比べてみましょう。
これまた聴きなないアンコールがありましたが、調べてみたところヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ Johann Paul von Westhoff (1656-1705) というバロック期のヴァイオリン奏者の作品で、ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調の第3楽章、イミタチオーネ・デレ・カンパーネ Imitazione delle Campane というタイトルが付せられた楽曲です。
本来はチェンバロの即興伴奏が付きますが、スクリデは無伴奏ソロとして弾いてました。恐らくバッハにも影響を与えた作曲家と思われます。楽譜はペトルッチの無料サイトで入手しました。
後半は比較的演奏機会に恵まれないツェムリンスキーの代表作。私はマゼールのDG盤で楽しんできましたが、ライヴではピエロフラーヴェクとN響、沼尻竜典と日本フィルで聴いた記憶があり、これらに比べるとヤングの演奏はかなり遅いツェムリンスキーと聴きました。
第1曲ではバリトンが2か所出をミスしていましたが、遅いテンポが原因だったかも。尤もスコアを見ていなければ判らないほど軽微なものでしたが。
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