クワイエット・リフレクション、短距離王者へ

秋競馬が始まったイギリス、昨日は2つの競馬場で性格の異なるG戦が二鞍づつ行われました。芝のヘイドックと、ポリトラックのケンプトンです。

先ず soft の馬場で行われた雨のヘイドック・パーク競馬場から見ていくと、スーペリアー・マイル Superior Mile (GⅢ、3歳上、1マイル)は2頭の取り消しが出て8頭立て。今期8戦目、1戦を除いて全て3着か4着という超堅実な7歳馬カスタム・カット Custom Cut が10対3の1番人気。
5番人気(7対1)で前走シュープリーム・ステークス(GⅢ)で首差2着惜敗のコンヴェイ Convey が逃げ粘りましたが、2ハロン地点から2番手に上がっていた4番人気(11対2)のハサル Hathal が残り1ハロンで鋭い瞬発力を発揮して抜け出すと、後方から追い込む2番人気(7対2)のミッチャム・スワッガー Mitchum Swagger を頭差抑えて優勝。コンヴェイも首差で3着に粘っていました。人気のカスタム・カットはスタンドから遠い側を先行していましたが、またしても4着に終わっています。

ウイリアム・ハッガス厩舎、ランフランコ・デットーリ騎乗のハサルは、アル・シャカブ所有の4歳馬で、去年9月にニューバリーのリステッド戦に勝って以来、何と351日振りの休み明け。母スリーピータイム Sleepytime が1997年の1000ギニー馬という良血馬で、アスコットのクィーン・エリザベスⅡ世ステークス(GⅠ)が目標。オッズはレース前の33対1から一気に20対1へと跳ね上がっています。

続いては、秋の短距離GⅠ戦線の第一弾とでも言えるスプリント・カップ・ステークス Sprint Cup S (GⅠ、3歳上、6ハロン)。現役スプリンターの有力所がほとんど登録していましたが、最終的には3頭が取り消して14頭立て。前走ジュライ・カップ(GⅠ)こそ3着に敗れたものの、その前にアスコットでコモンウェルス・カップ(GⅠ)を制している3歳牝馬のクワイエット・リフレクション Quiet Reflection が7対2の1番人気。前走で敗れたリマート Limato が取り消したここでは負けられません。
先ず7番人気(20対1)のオンリー・マイン Only Mine が飛び出しましたが1ハロンまで。ここからは8番人気(20対1)のカチー Kachy がハナを奪って逃げましたが、先行していたクワイエット・リフレクションが難なく前を捉えると、後方から伸びるジョイント2番人気(6対1)のザ・ティン・マン The Tin man に1馬身4分の3差を付けて堂々人気に応えました。更に2馬身半差で11番人気(25対1)、ジュライ・カップでは2着と先着していたスードア Suedois が3着に入り、実力を反映した結果になったと言えるでしょう。

これがGⅠ戦2勝目、G戦も5勝目となるクワイエット・リフレクションは、カール・バーク師の管理馬。今回は遣り繰りの関係で元障害ジョッキーのダギー・コステロが騎乗していましたが、今回のラッキーな騎乗に大興奮していました。今期の最終目標はアスコットのチャンピオンズ・スプリント(GⅠ)を制して短距離界の女王、いや王者になることでしょう。陣営によれば、来期も現役を続ける可能性が高いとのことです。

次にポリトラック・コースのケンプトン・パーク競馬場から。英国では珍しいタペタ・コースのG戦で、馬場は standard to slow の表記。先に行われたサイレニア・ステークス Sirenia S (GⅢ、2歳、ポリトラック6ハロン)は1頭が取り消して7頭立て。サースクで6ハロンのデビュー戦に4馬身差の圧勝を演じた1戦1勝馬のコロピック Koropick という馬が11対10の1番人気。ミドル・パーク・ステークスが狙いという陣営の期待感もあっての本命です。
5番人気(20対1)のクイーンズブライジ Queensbrydge が逃げ、コロピックは後方から。2番手を進んでいた2番人気(11対8)のザ・ラスト・ライオン The Last Lion が残り1ハロンで先頭に立つと、追い込むコロピックに4馬身の大差を付けて優勝。半馬身差で、先行していた3番人気(10対1)のアンアベイテッド Unabated が3着に入りました。

勝ったザ・ラスト・ライオンは、既にノーフォーク・ステークス(GⅡ)2着、モールコム・ステークス(GⅢ)も2着、前走ジムクラック・ステークス(GⅢ)でも3着と実績を重ねてきた馬。マーク・ジョンストン厩舎、ジョー・ファニング騎乗でG戦を初制覇し、やはりミドル・バーク・ステークスでGⅠを目指します。

この日の最後はセプテンバー・ステークス September S (GⅢ、3歳上、ポリトラック1マイル4ハロン)。ポリトラックながら去年は愛ダービー馬のジャック・ホッブス Jack Hobbs が出走、しかも快勝して驚かせたレースで、1頭が取り消して6頭立て。ジャック・ホッブスほどではないにしても、前走GⅠ戦(ジャドモント・インターナショナル)を戦ってきたアラブ・スプリング Arab Spring が11対10で1番人気。
これまた前走仏ダービーを戦ってきた3歳馬で3番人気(11対2)のロビン・オブ・ナヴァン Robin Of Navan が逃げ、2番手に付けたアラブ・スプリングが2ハロンから先頭。そのまま順位は変わらず、本命馬がロビン・オブ・ナヴァンに2馬身4分の1差を付けて期待に応えました。3番手を追走していた2番人気(5対2)のスカイ・ハンター Sky Hunter が頭差で3着と、ここも実力通りの結果。

勝馬を管理するサー・マイケル・スタウト師は、このレース6勝目。リーディングを争うジム・クローリーが騎乗していました前走インターナショナルは苦手の固い馬場で12頭立て11着でしたが、去年はジョン・ポーター・ステークス(GⅢ)に勝っている6歳牡馬。今期はローズ・オブ・ランカスター・ステークス(GⅢ)3着から始動してこれが3戦目でした。ポリトラック・コースは2014年、同じケンプトンの未勝利戦で初勝利を挙げて以来のコースでもあります。
一方2着のロビン・オブ・ナヴァン、管理するジョン・ダンロップ師は、今週末に行われるセントレジャーへ参戦への可能性を示唆しています。レヴェルの高いポリトラックG戦になりました。

 

 

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