アメリカは3連休初日

今週、というか5日はレイバー・デイの祝日で3連休となるアメリカ競馬、サラトガは開催のフィナーレを迎え、デル・マーももう1週間を残していますがG戦は3連休が最後、事実上夏競馬の終わりを告げる週末となっています。
一方で東海岸の一部の州ではハリケーンが上陸し、モンマス競馬場ではG戦を含めて予定されていた開催は延期。結局5日の土曜日はニューヨークとカリフォルニアで合計5鞍のG戦が行われました。

サラトガ競馬場は サラナック・ステークス Saranac S (芝GⅢ、3歳、9ハロン)からスタート、firm の馬場に1頭が取り消して6頭立て。既にG戦に3勝しているキャメロット・キッテン Camelot Kitten が8対5の1番人気。
2番人気(7対2)のレイズ・ザ・バー Ray’s The Bar が逃げ、キャメロット・キッテンは最後方。1番枠スタートから終始内ラチ沿いの4番手を進んでいた5番人気(7対1)のインスペクター・リンレー Inspector Lynley が直線で前が詰まり、外に持ち出すと一気の末脚が炸裂。追い上げるキャメロット・キッテンを頭差凌ぐサプライズでした。1馬身差で2番手を追走していた3番人気(4対1)のアイソターム Isotherm が3着。
クロード・マゴーヒー厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のインスペクター・リンレーは、5走前に2月のガルフストリームで未勝利戦に初勝利。4月にはキーンランドでトランシルヴァニア・ステークス(芝GⅢ)で3着、前走7月にはモンマス・パークでケント・ステークス(芝GⅢ)でも3着に追い込んでいた馬。これが2勝目でのステークス、G戦共に初勝利となりました。

続いてはサラトガ2歳牝馬の総決算、スピナウェイ・ステークス Spinaway S (GⅠ、2歳牝、7ハロン)。勝馬にはBCジュヴェナイル・フィリーズへの優先出走権が与えられます。fast の馬場に7頭が参戦し、前走サラトガで8月のデビュー戦を鮮やかに逃げ切ったチェリー・ロッジ Cherry Lodge がイーヴンの1番人気。
並んだ2番人気(7対2)のランウェイ・ドール Runway Doll が逃げ、チェリー・ロッジは3番手から2番手へと進出。しかし3番手を進んだ同じ2番人気(7対2)のスイート・ロレッタ Sweet Loretta が直線で抜けて先頭に立つと、後方3番手から追い込んだ4番人気(9対2)のプリティー・シティー・ダンサー Pretty City Dancer が外から並びかけ、2頭が馬体を接した所がゴール。写真判定、更には2頭の叩き合いが審議にもなりましたが、結局は2頭が同着で勝利を分け合いました。5馬身4分の3の大差が付いて、人気のチェリー・ろっじが3着。
スイート・ロレッタはトッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗。プリティー・シティー・ダンサーはマーク・カッセ厩舎、イラッド・オルティス騎乗で、終わってみれば出走馬中ステークスに勝っていたのはこの2頭だけ。前者はサラトガでスカイラーヴィル・ステークス(GⅢ)を、後者はチャーチル・ダウンズでデビュタント・ステークス(一般ステークス)を制していました。2頭ともに父がタピット Tapit で、スイート・ロレッタは母の妹スプリング・イン・ジ・エア Spring in the Air がアルシバイアディーズ・ステークス(GⅠ)に勝っており、プリティー・シティー・ダンサーは姉のリーズ・プリンセス Lea’s Princess がガゼル・ステークス(GⅠ)に勝ってCCAオークスでも2着した良血馬であるというのも共通しています。これからもライヴァル関係が続きそう。

三つ目はウッドワード・ステークス Woodward S (GⅠ、3歳上、9ハロン)。9頭が出走し、メトロポリタン・ハンデ、ホイットニー・ステークスとGⅠ戦を連勝中のフロステッド Frosted が2対5の圧倒的1番人気。
そのフロステッドはスタートで出遅れ。3番人気(8対1)でスティーヴン・フォスター(GⅠ)の覇者ブラデスター Bradester が先手を取り、本命馬は後方4番手まで押し上げます。前半4番手の内に付けていた4番人気(9対1)のシャーマン・ゴースト Shama Ghost が直線で外に出すも前が塞がり、思い切ってインコースに進路を切り替えて猛追。最後で伸びたフロステッド、後方3番手から追い込む2番人気(5対1)のムブタヒージ Mubtaahiji 、更には2番手追走を粘る7番人気(48対1)のブレイキング・ラッキー Breaking Lucky の4頭が横一線でゴールする大混戦。写真判定の結果、頭・頭・頭差でシャーマン・ゴースト1着、ムブタヒージ2着、フロステッドは3着でした。
ジェームス・ジャーケンス厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のシャーマン・ゴーストは、去年のカナダ・クィーンズ・プレート(カナダGⅠ)に勝っている4歳馬で、2走前にベルモントでブルックリン・ステークス(GⅡ)に優勝。レース後に咳込んだのと、馬場に恵まれなかったことで前走サバーバン・ハンデでは5着に敗れていました。クイーンズ・プレートはカナダのローカルGⅠ、ブルックリンはGⅠから降格されたレースで、これで名実共にGⅠ勝馬となったシャーマン・ゴールド、次は10月8日に行われるジョッキー・クラブ・ゴールド・カップ(GⅠ)を目指します。

サラトガの最後は芝の長距離戦グレンズ・フォールズ・ハンデキャップ Glens Falls H (芝GⅢ、3歳上牝、11ハロン)。10頭が参戦しましたが、8月6日にサラトガで行われたウェイア・ステークス(芝GⅢ)の再戦の様相を呈しており、その時勝ったグァパザ Guapaza が5対2の1番人気。
レースは前回も逃げた7番人気(11対1)のフォト・コール Photo Call が逃げてビデオの再現になるかに見えましたが、今回は後方4番手から2番人気(5対2)サフューズド Suffused の外からの追い込みが見事に決まり、2番手を追走した4番人気(8対1)のアールス Arles が4分の3馬身差で2着、更に2馬身差で4番に付けていた5番人気(10対1)のミス・シャトレーヌ Miss Chatelaine が3着に入りました。グァパザは3番手追走も今回は伸びず、6着敗退。
ウイリアム・モット厩舎、ホセ・オルティス騎乗のサフューズドは、前走ウェイアでは追い込み及ばず2着だった4歳馬。去年まで英国でロジャー・チャールトン厩舎に所属し、英国ではハンデ戦など3勝していました。今年からアメリカに転じ、2戦目でベルモントの長距離リステッド戦(ベルモント・コロネーション・インヴィテーショナル・ステークス、15.5ハロン)に勝ち、前走がウェイアでねこれが米4戦目でのG戦初制覇となりました。

この日はデル・マー競馬場でもG戦一鞍、2歳牝馬のチャンピオンを決めるデル・マー・デビュタント・ステークス Del Mar Debutant S (GⅠ、2歳牝、7ハロン)が行われました。去年の勝馬ソングバード Songbird は無敵のチャンピオンに成長しましたから大いに注目される一戦、fast の馬場に7頭が出走し、7月31日にデビュー勝ちしたアメリカン・フェイロー American Pharoah の全妹アメリカン・クレオパトラ American Cleopatra が8対5の1番人気。
好スタートから5番人気(6対1)のモーガナイト Morganite が飛び出して逃げましたが、2番手で追走したアメリカン・クレオパトラがこれを交わして先頭で直線。そのまま押し切るかに見えましたが、4番手を追走していた5番人気(7対1)のユニオン・ストライク Union Strike が大外から追い込み、本命馬に2馬身4分の1差を付ける逆転劇。3番手を進んでいた2番人気(5対2)のシャンペン・ルーム Champagne Room も差を詰めてハナ差の3着に入りました。
これがG戦初勝利となるシェルべ・ルイス厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のユニオン・ストライクは、アメリカン・クレオパトラが勝った新馬戦で2着だった馬で、2戦目、未勝利からいきなりのGⅠ戦勝馬となりました。父ユニオン・ラグス Union Rags は2012年のベルモント・ステークス勝馬で、今年の2歳馬が初産駒。ユニオン・ストライクが最初のG戦勝馬でもあります。次走は10月1日にサンタ・アニタで行われるシャンデリア・ステークス(GⅠ)になる予定。

ところで冒頭に紹介したように、モンマス・パーク競馬場はハリケーンのために開催が中止となりね予定されていたヴァイオレット・ステークス Violet S (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)は恐らく順延になるものと思われます。現在のところ詳報は入っていません。

 

 

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