ラッケンの逆転劇

昨日はイギリスの3歳短距離路線を取り上げましたが、今日は5月29日にアイルランドのナース競馬場で行われた3歳スプリントG戦のレポートです。
レースそのものも未だ今年が3回目で、去年からGⅢに格上げされたラッケン・ステークス Lacken S (GⅢ、3歳、6ハロン)。good to yielding の馬場に7頭が出走し、G戦は未勝利ながら2歳終戦のフェニックス・ステークス(GⅠ)で2着したオブライエン/ムーアのワシントン・ディーシー Washington Dc がイーヴンの1番人気。前々走アスコットのパヴィリオン・ステークス(GⅢ)では人気に推されながら重馬場に泣いて7着と期待を裏切りましたが、2週前ネイヴァンのリステッド戦(パワー・ステークス、5ハロン)では乾いた馬場で快勝して人気も取り戻していました。

前半は2頭、5番人気(20対1)のエリジマム Erysimum と4番人気(16対1)のオンリー・マイン Only Mine の逃げ争いで始まりましたが、一旦先頭を譲って2番手に控えていたオンリー・マインが再び先頭を奪うと、6番手から追い込む本命ワシントン・ディーシーの追撃を2馬身4分の3差抑えるサプライズとなりました。更に2馬身半差で3番手追走、英国から遠征してきた2戦無敗で3番人気(4対1)のアクレイム Aclaim が3着。2番人気(11対4)でボルジャー厩舎のラウンド・タワー・ステークス(GⅢ)勝馬スマッシュ・ウイリアムズ Smash Williams は5着敗退です。
ジョセフ・マーフィー厩舎、ゲーリー・キャロル騎乗のオンリー・マインは、前走ネイヴァンのパワー・ステークス(リステッド戦)ではワシントン・ディーシーの3着に敗れ、決着は付いていたと思われていました。今回の逆転劇、マーフィー師は別に驚く風も無く、“この馬はG戦級だからね”と当然と言った受け答え。去年は3戦目にコークで初勝利を挙げましたが、2戦目には未勝利ながらGⅢ(グラグソン・スタッド・ステークス)に挑戦して2着の実績もあります。2勝目はニューマーケット遠征のリステッド戦で、フォース・オブ・クライド・ステークス(GⅢ)でも2着していました。
今期は英国遠征が初戦で、ネル・グィン・ステークス(GⅢ)が9着、そして前走と続き、3勝目で「当然」のG戦初勝利。アスコットではなく、フランスに遠征してモーリス・ド・ギースト賞でGⅠを目指すようです。父がダービー馬ポール・モア Pour Moi という変わり種の短距離牝馬。これでアイルランドの新設短距離G戦、2年続けて牝馬が制する所となりました。

 

 

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