アメリカも本格的な夏競馬に

三冠レースも、クラシック・レースの舞台だったベルモント、サンタ・アニタも無事にシーズン前半の開催を終え、アメリカ競馬はそろそろ本格的な夏競馬のシーズンを迎えます。
今週はカリフォルニアでデル・マー競馬場の夏開催がスタートしましたが、その他の競馬場のG戦も含めてレポートして行きましょう。

7月16日、デラウエア・パーク競馬場ではデラウエア・ハンデキャップ Delaware H (GⅠ、3歳上牝、10ハロン)が行われました。fast の馬場に6頭立て。前走1月にデラウエアで一般ステークス(オベアー・ステークス)に勝ったGⅠ馬のアイム・ア・チャッターボックス I’m a Chatterbox が3対5の圧倒的1番人気。
その本命馬、スタートで横の馬に接触し、レースの開始からゴチャ付いたスタート。何とか流れが落ち着き、3番人気(7対1)のメイ・リン Mei Ling が先頭でクラブハウス・ターンへ。3番手から2番手へと順位を上げたアイム・ア・チャッターボックス、持ったまま第4コーナーで外から逃げ馬を捉えると、4番手から追い込む2番人気(9対5)のペイド・アップ・サブスクライバ― Paid Up Subscriber に2馬身4分の1差を付けて人気に応えました。更に4馬身4分の1差で4番人気(7対1)のペンウィズPenwith が3着。2着で入線したペイド・アップ・スクライバーのサンタナ騎手がスタートで不利を受けたと勝馬に進路妨害を申し立てましたが、審議の結果、入線順位のままで確定しています。
去年のCCAオークスでは1着入線も2着に降着となった経験のあるアイム・ア・チャッターボックス、ラリー・ジョーンズ厩舎、フロラン・ジェルー騎乗の4歳馬で、GⅠ戦は去年秋に3歳馬限定のコーティリオン・ステークスに勝ったのに続く2勝目。古馬との混合GⅠ戦は初勝利です。

デラウエアではもう一鞍、ケント・ステークス Kent S (芝GⅢ、3歳、9ハロン)も行われました。firm の馬場に1頭が取り消して7頭立て。前走ベルモントのアローワンス戦で2着以下に3馬身差を付けて快勝したアメリカン・パトリオット American Patriot が8対5の1番人気。
6番人気(17対1)のヒール・ペイ He’ll Pay が逃げ、4番手から3番手へと徐々に内ラチ沿いに進出したアメリカン・パトリオット、直線で外から逃げ馬を捉えると、ヒール・ペイに1馬身半差を付けてこちらも本命馬が期待に応えています。首差で追い込んだ2番人気(2対1)のインスペクター・リンレー Inspector Lynley が3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ホセ・オルティス騎乗のアメリカン・パトリオットは、これで6戦3勝3着2回。5月7日にチャーチルダウンズで行われたアメリカン・ターフ・ステークス(芝GⅡ)での着外が唯一の凡走で、今回がステークス初勝利です。

続いてナイター競馬のインディアナ競馬場からオークスとダービー。何れも fast のダートコースで行われ、先ずインディアナ・オークス Indiana Oaks (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)は8頭立て。前走6月末のアイオワ・オークス(GⅢ)を制したファミリー・トゥリー Family Tree が7対5の1番人気。
7番人気(31対1)のスイート・レガシー Sweet Legacy が逃げ、ファミリー・トゥリーは4番手追走。徐々に外から進出した本命馬、第4コーナーで早くも外から逃げ馬を捉えると、2番手を粘る2番人気(5対2)のエムジー Emmzy を3馬身抑えての順当勝ち。更に3馬身4分の1差で3番手を進んでいた5番人気(6対1)のマインズ・アンド・マジック Mines and Magic が3着に入っています。
ウェイン・カタラーノ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のファミリー・トゥリーは、アイオワ・オークスでも紹介したように、バファート厩舎からカタラーノ師の元に転じてからG戦に2連勝。前走とは2週間隔ですが、カタラーノ師は“ダービーとプリークネスも2週間隔だろ”と、意に介しません。GⅢ・GⅡと来て、次はGⅠ戦が目標です。

そしてインディアナ・ダービー Indiana Derby (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。12頭が出走し、3月にオークローン・パークでレベル・ステークス(GⅡ)を制したキューピッド Cupid が8対5の1番人気。
そのキューピッドは大外から二つ目の11番枠発走でしたが、スタートから飛ばしてクラブハウスターンでは先頭争いに参加。内から出た8番人気(35対1)のパイロット・ハウス Pilot House と並んでの逃げ争いを制し、最後は4番手から伸びる3番人気(4対1)のザ・プレイヤー The Player に迫られるも、再び突き放す根性で4分の3差を保って人気に応えました。2馬身4分の3差で後方4番手から追い込んだ3番人気(4対1)のスター・ヒル Star Hill が3着。
ボブ・バファート厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のキューピッドは、レベル・ステークス勝ちのあとアーカンソー・ダービー(GⅠ)で12頭立ての10着に敗退。そのあともベルモントで1マイルの一般ステークス(イージー・ゴア―・ステークス)で5頭立ての最下位に敗れていましたが、コーナーを2度回るコースの方に適性があるようです。

最後に夏競馬がスタートしたデル・マー競馬場から、今年最初のG戦となるイエロー・リボン・ハンデキャップ Yellow Ribbon H (芝GⅡ、3歳上牝、8.5ハロン)。デル・マーは今年プログラムを入れ替え、このレース、去年は9月6日に行われていたカードです。firm の馬場に1頭が取り消して8頭立て。5月5日にロイヤル・ヒロイン・ステークス(芝GⅡ)に勝ったナンシー・フロム・ナイロビ Nancy From Nairobi が2対1の1番人気。
レースは3番人気(5対1)のハー・エミネンシー Her Eminency が引っ張り、何と―・フロム・ナイロビは最高からの末脚勝負。しかし4番手に付けていた6番人気(9対1)のシーズ・ノット・ヒア She’s Not Here が大外から一気に前を捉えると、後方2番手から内に切れ込んで追い込む最低人気(18対1)のフレッシュ・フィーライン Fresh Feline を首差抑えて優勝。最後方から外を追い込んだナンシー・フロム・ナイロビは半馬身差届かず3着に終わりました。
ヴィクトリア・オリヴァー厩舎、今回が初コンビとなるドライデン・ヴァン・ダイク騎乗のシーズ・ノット・ヒアは、去年に続いてイエロー・リボン2連覇。去年このレースを勝った後は6連敗、しかも6着が最高とあって人気を落としていました。その間の主な成績は、ファースト・レディー(芝GⅠ)が7着、メイトリアーク(芝GⅠ)8着。年が変わってジェニー・ワイリー(芝GⅠ)、チャーチル・ディスタッフ・ターフ・マイル(芝GⅡ)、アーノントン・マトロン(芝GⅢ)は何れも着外ですが、デル・マーの芝コースは4戦3勝と得意にしています。

 

 

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