ロイヤル・アルバート・ホールで連荘(4)

今年のプロムスも早いもので、残すところ1週間となりました。最後の日曜日となった9月4日は、個人的にはシーズン4回目となる昼・夜2回のコンサートを体験。
これまでと同じように軽い気持ちで聴き始めましたが、これは心得違いでしたね。関心のある方は日を改めて聴かれることをお勧めします。

ということで昼の部は、今年のテーマにもなっているラテン・アメリカ特集の一環。ブラジルのサン・パウロ響に続き、ヴェネズエラからシモン・ボリヴァール交響楽団がやってきました。

9月4日 ≪Prom 67≫
パウル・デセンヌ Paul Desenne/Hipnosis mariposa(イギリス初演)
ヴィラ=ロボス/バッキアーナス・ブラジレイラス第2番
     ~休憩~
ラヴェル/バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲
ラヴェル/ラ・ヴァルス
 シモン・ボリヴァール交響楽団 Simón Bolívar Symphony Orchestra
 指揮/グスターヴォ・ドゥダメル Gustavo Dudamel

ユース・オーケストラとしてスタートしたものが、今やシンフォニー・オーケストラとして再登場。始まる前から賑やかな雰囲気で、人気者ドゥダメル登場で大歓声が起きるのは応援団でしょうか。彼らは2011年に続いて2度目のプロムスだそうです。
最初に紹介されたデセンヌは1959年、ヴェネズエラ生まれの作曲家でチェリスト。詳しいことはこちらを読んでください。

http://www.pauldesenne.com/

演奏されたのは2014年の作品で、「蝶々という名の牛」というポピュラー歌曲を素材にしたものだそうな。ドゥダメルとシモン・ボリヴァールの委嘱で書かれたもので、作品解説もあります。面倒だからこれも読んでください。

http://www.pauldesenne.com/latin-concert-music-program-notes.php#78

前半の2曲目はブラジルを代表する音楽。今年のプロムスでも4番の前奏曲だけが既に演奏されましたが、この日は2番の全曲。
第4楽章のトッカータが特に有名で、汽車を描いた音楽としてはヨハン・シュトラウスの観光列車、オネゲルのパシフィック231と並ぶ3大名曲でしょう。

後半はラヴェルのバレエ音楽。演奏者にとって何の違和感もなく共感できる作品と思います。

アンコールは、ホセ・テレンジオ José Terenzyo という人の Parajillo y Alma Llanera というダンス音楽だそうです。プロムスの映像じゃありませんが、彼らのこんな映像をユーチューブで見つけました。

続いて夜のコンサートは、ロッシーニの歌劇全曲。

9月4日 ≪Prom 68≫
ロッシーニ/歌劇「セミラーミデ」(演奏会形式、イタリア語歌唱)
 セミラーミデ/アルビーナ・シャギムラトーヴァ Albina Shagimuratova
 アルサーチェ/ダニエラ・バルセローナ Daniela Barcellona
 アッスール/ミルコ・パラッツィ Mrco Palazzi
 イドレーノ/ バリー・バンクス Barry Banks
 オローエ/ジャンルカ・ブラット Gianluca Buratto
 アゼーマ/スザンナ・ガスパー Susana Gaspar
 ミトラーネ/デヴィット・バット・フィリップ David Butt Philip
 ニーノの亡霊/ジェームス・プラット James Platt
 エイジ・オブ・エンライトンメント管弦楽団 Orchestra of the Age of Enlightenment
 指揮/サー・マーク・エルダー Sir Mark Elder
 合唱/オペラ・ララ合唱団 Opera Rara Chorus

ロッシーニはセヴィリアの理髪師と似たり寄ったり、と思っているととんでもない目に遭います。それがオペラ・セリアの大傑作セミラーミデであることを思い知りました。
内容をゴチャゴチャ書くよりウィキペディアで勉強してください。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%87

とにかく圧倒されます。4時間、これでもか、これでもかと歌の洪水。それがどれも素晴らしい。名匠エルダーの棒も冴えに冴え、オケの古楽器が実に説得力に満ちてます。
ドラを駆使した雷の描写や亡霊の出現、ロッシーニって改めて大天才であることを知る絶好の機会で、場合によってはヴェルディやワーグナーを凌ぐ名曲では、と感じ入ってしまいました。
第1幕の大詰めなど、ロッシーニの「ドン・ジョヴァンニ」と言いたくなるほど。

手元に譜面が無いので、ペトルッチからダウンロードして鑑賞。一部カットはありますが、重要な場面はほぼ完全に演奏されています。それでも聴き取れたカット個所は、
第1幕は第4場、第8場、第12場。第2幕では第10場がカットされていました。序曲で良く知っている旋律が歌劇の中でも登場し、ロッシーニによくある転用作品でないことも理解できました。

なお、アッスール役とイドレーノ役は当初発表の歌手から上記のように変更があったようです。

 

 

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