日本フィル・第320回横浜定期演奏会

未だ未だ残暑が厳しい首都圏ですが、昨日の土曜日は横浜みなとみらいホールに日本フィル横浜定期を聴きに出かけました。9月新シーズンの開幕ですが、前シーズンの7月はドイツに出掛けていたため欠席、6月以来3か月振りの横浜でした。
余りの暑さに雨乞いがしたくなるほど。まさかそれを予測したわけでもないでしょうが、曲目はメンデルスゾーン畢竟の大作エリアです。

メンデルスゾーン/オラトリオ「エリヤ」(ドイツ語歌唱)
 指揮/大井剛史
 ソプラノ/半田美和子
 アルト/手嶋眞佐子
 テノール/望月哲也
 バス/甲斐栄次郎
 ボーイ・ソプラノ/野沢晴海(NHK東京児童合唱団)
 合唱/日本フィルハーモニー協会合唱団
 コンサートマスター/扇谷泰朋
 フォアシュピーラー/九鬼明子
 ソロ・チェロ⋰辻本玲

今シーズンは日フィルにとって創立60周年となる記念の年。横浜の新シーズンはそれに相応しい名曲が選ばれました。名前は良く知られているものの、実際にライヴで体験できる機会は決して多くなく、その意味でも聴き逃すことのできないコンサートでしょう。
その期待は、演奏諸氏の最大限の努力によって十二分以上に満たされたと感動しました。

今回のプレトーク、私としては久し振りの奥田佳道氏。ウイーンで生活された氏にとってもエリアは特別な思い入れのある作品だそうで、簡潔にして適切な聴き所紹介が大いに役立ちました。
配役は全て大井氏の選択、メンデルスゾーンがスコアに指示したとおり(メンデルスゾーンが自己責任で出版した最後の作品だそうな)、4人のソリストの他にも合唱団から最低8人がソロとしてのアンサンブルを聴かせ、ボーイソプラノの歌う位置(P席の奥)にも指揮者の意向が反映されていました。

全体は2時間20分を要する大作、第1部と第2部の間に15分の休憩が入りましたから、コンサートは6時開演でも終了は8時40分を回っていました。
それでも退屈さが微塵も感じられなかったのは、演奏に熱意と誠意が満ち溢れていたのはもちろん、やはりメンデルスゾーンの作曲が素晴らしいからです。奥田氏も指摘していたように、エリアこそメンデルスゾーンの最高傑作であるという見解の正しさを立証していました。

「干ばつ」「寡婦」「生贄」「雨の奇跡」の4つのシーンから成る第1部、「女王」「荒野」「ホレブ」「昇天」と4つに分けられる第2部。第1部ではストーリー性の面白さ、第2部では音楽そのものの力を前面に出した演奏で、聴き手は作品が進むに連れて演奏に引き込まれていくのでした。
バランス良く選ばれたソリストたち、恐らくかなりの時間を掛けて磨き上げてきたと思われる合唱団、それらを只管メンデルスゾーンへの愛と敬意で纏め上げた大井の指揮。一場の刹那に賭けるのでなく、作品への奉仕が滲み出る演奏であったればこその感動だったと言えるでしょう。

大井は今回が東京・横浜を通じて日フィル定期デビュー。派手さは無いものの、埋もれかねない名曲に光を当てるには最適のタイプで、日フィルの英断にも拍手を贈りたいと思います。
幸い、この演奏会は日曜日にも池袋の東京芸術劇場でも繰り返されることになっており(ボーイ・ソプラノは別の少年が歌います)、折角のチャンスを横浜のファンだけに独占せず、東京の聴き手にも味わってもらえるのがラッキーというもの。名前に囚われず、聴かれることをお勧めします。

 

 

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