秋はベルモントから

9月17日のアメリカ競馬は、事実上秋競馬の開幕と言えそう。ニューヨーク州ではベルモント競馬場の秋開催がスタートし、BCを頂点に上り坂が続いていきます。
その最初の土曜日、3つの競馬場で合計5鞍のG戦が行われました。

そのベルモント・パーク競馬場、この9日に開催そのものはオープンしましたが、最初のG戦は17日に行われたサンズ・ポイント・ステークス Sands Point S (芝GⅡ、3歳牝、9ハロン)一鞍です。firm の馬場に1頭が取り消して6頭立て。目下3連勝中のオン・リーヴ On Leave が3対5の1番人気。
そのオン・リーヴが逃げ、直線でも勢い衰えず、3番手を進んだ5番人気(8対1)のダイアモンド・フィールズ Diamond Fields に2馬身4分の1差を付ける堂々の逃げ切り勝ちで人気に応えました。首差で4番手を追走していた2番人気(5対1)のティン・タイプ・ギャル Tin Type Gal が3着。
クロード・マゴーヒー厩舎、ホセ・オルティス騎乗のオン・リーヴは、今年6月に8か月振りのレースで初勝利を挙げ、7月にアローワンス戦、先月サラトガで一般ステークス(リスカヴァース・ステークス)と3連勝。これで今期は4戦4勝となり、G戦デビューで初勝利を挙げました。兄にG戦勝馬が3頭もおり、将来性も充分。10月15日のクイーン・エリザベス2世カップ(芝GⅠ)が真の試金石となるでしょう。

次はチャーチル・ダウンズ競馬場ローカスト・グローヴ・ステークス Locust Grove S (GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。1982年創設のレースですが、G戦に格付けされたのは今年から。雨で sloppy と泥田になった馬場に6頭立て。去年秋のチャーチルでフォールズ・シティー・ハンデ(GⅡ)に勝つなどG戦2勝のアー・チョコレート Ahh Chocolate が3対5の1番人気。
2番人気(5対2)のイノヴェイティヴ・アイディア Innovative Idea が逃げ、アー・チョコレートは4番手追走。前半は内の最後方で待機していた4番人気(7対1)のエンゲイジングリー Engaginglee が直線では外に出し、4頭の外から一気に追い上げると、2番手追走の5番人気(22対1)ミス・ピンク・ディヴァ Miss Pink Diva を頭差抑えて優勝。3馬身差で逃げたイノヴェイティヴ・アイディアが3着に粘り、アー・チョコレートは馬場を苦にしたか最下位敗退に終わりました。
デール・ロマンス厩舎、ルイス・サエズ騎乗のエンゲイジングリーは、ラ・トロワイエンヌ・ステークス(GⅠ)2着、インサイド・インフォメーション・ステークス(GⅡ)3着など3回のG戦入着実績はありましたが、ステークスも初勝利となる5歳馬です。

これに続く2レースは、秋のチャーチル開催(今年は9月16日から10月2日まで)の名物でもある2歳戦。先ず牡馬向けのイロコイ・ステークス Iroquois S (GⅢ、2歳、8.5ハロン)は、勝馬にBCジュヴェナイルへの優先出走権が与えられる一戦で、8頭立て。8月12日に2着以下に10馬身差を付けて圧勝したノット・ディス・タイム Not This Time が9対5の1番人気。
逃げる4番人気(4対1)のブレイム・ウィル Blame Will を4番手でマークしたノット・ディス・タイム、直線ではモノの違いを見せ付けるように、5番手から4伸びた5番人気(8対1)のルッキン・アット・リー Lookin At Lee に8馬身4分の3差を付ける圧勝で期待に応えました。頭差で後方から伸びた2番人気(3対1)のリクルーティング・レディー Recruiting Ready が3着。
デール・ロマンス厩舎、ロビー・アルバラード騎乗のノット・ディス・タイムは、6月30日のチャーチルでのデビュー戦こそ5着でしたが、2戦目のエリス・パークで10馬身差の圧勝劇。3戦2勝、BCダート・マイルの覇者ライアムズ・マップ Liam’s Map の半弟に当たる良血馬です。

次は牝馬によるポカホンタス・ステークス Pocahontas S (GⅡ、2歳牝、8.5ハロン)。これも勝馬にはBCジュヴェナイル・フィリーズへの優先出走権が付与され、去年からGⅡに格上げされました。1頭が取り消して9頭立てとなり、3戦3勝のブリング・オン・ザ・ミュージック Bling On the Music が5対2の1番人気。
そのブリング・オン・ザ・ミュージックが逃げましたが、6番手で待機していた3番人気(7対2)のダディーズ・リル・ダーリング Daddys Lil Darling が伸び、最後方から追い込む4番人気(5対1)のエヴァー・ソー・クレヴァー Ever So Clever に半馬身差で優勝。逃げた本命ブリング・オン・ザ・ミュージックは3馬身4分の3差で3着でした。
ケネス・マクピーク厩舎、コーリー・ラヌリー騎手のコンビは、去年のドスラキ・クィーン Dothraki Queen に続きこのレース2連覇。ダディーズ・リル・ダーリングは7月29日のエリス・パークに続く2連勝で3戦2勝。こちらもBCターフ・スプリントの覇者モンゴリアン・サタデイ Mongolian Saturday の半妹に当たる血統です。

 

土曜日の最後は、チャールズ・タウン競馬場のチャールズ・タウン・オークス Charles Town Oaks (GⅢ、3歳牝、7ハロン)。G戦に格上げされて未だ間もないこと故に情報もほとんどありませんが、fast の馬場に6頭が出走し、ローレルの一般ステークス(シーザーズ・ウィッシュ・ステークス、8ハロン)など5戦3勝のソフィアズ・ソング Sophia’s Song が1対5の圧倒的な1番人気。
レースは5番人気(22対1)のクイック・リリース Quick Release の逃げで始まりましたが、前半は後方2番手で待機した2番人気(5対2)のコヴェイ・トレース Covey Trace が向正面で4番手、更に第3コーナー過ぎで外から2番手に上がると、2番手を進んだ4番人気(15対1)のミア・トーリ Mia Torri を首差交わしての差し切り勝ち。最後方から追い込んだソフィアズ・ソングは、ハナ差届かず3着に終わりました。
ウイリアム・デンジク厩舎、アルナルド・ボカチカ騎乗のコヴェイ・トレースは、これがステークスもG戦も初勝利で、通算成績を11戦4勝2着1回3着3回としました。

 

 

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