2016ニューマーケット9月開催2日目

今年のニューマーケット・ケンブリッジシャー開催は素晴らしい天気に恵まれていて、写真を見ると抜けるような空の青が眩しいほど。この時期には珍しく good to firm の良馬場で行われています。

二日目の昨日はG戦2鞍。先ず初日に行われたトトソルズ・サマーヴィル・ステークスの牝馬版とでも言えるのが、ロックフェル・ステークス Rockfel S (GⅡ、2歳牝、7ハロン)。8頭が出走し、前走ヨークのラウザー・ステークス(GⅡ)こそ3着と不覚を取ったものの、フランケルの代表娘フェア・イーヴァ Fair Eva が4対9の断然1番人気。ここを勝って来年の1000ギニーの本命馬としての地位を固めたいところでしょう。
逃げたのは7番人気(25対1)のミス・インフィニティー Miss Infinity 。フェア・イーヴァはこれを2番手で追走し、ゴール前キッチリ捉えて快勝という目論見でしたが、前を捕まえるのに手古摺る間、前半控えていた6番人気(14対1)の伏兵スペイン・バーグ Spain Burg が残り1ハロン、鋭い伸び足で前2頭を一気に交わし、何とか前を捉えたフェア・イーヴァに決定的な1馬身4分の1差を付けて差し切っていました。首差で逃げ粘ったミス・インフィニティーが3着。

勝ったスペイン・バーグはフランスから遠征してきた未知数の馬で、レース前は話題にもなっていませんでした。それもその筈、調教師はクサヴィエ・トーマス・ドゥモールテ Xavier Thomas Demeaulte という方で、フランソワ・ドゥーメン厩舎とクリストフ・ラッフォン=パリアス厩舎で助手を務めていた経験がある由。ここまで4戦は何れもフランスのローカル競馬で走っており、ボルドーでデビュー勝ち。2戦目のボルドーは逃げて2着に負けましたが、その後はトゥールーズの6ハロンとラ・テスト・ド・ブフ競馬場の6ハロンリステッド戦に連勝して今回の遠征となりました。
この日はイタリアの名手ランフランコ・デットーリが騎乗し、“末脚が切れるので逃げないように”というアドバイスを受け、デットーリ自身も成績書を読み込んで今回の好騎乗を演出しました。オーナーはスペイン人で、コロンビアでの事業に成功し、老後を馬主としてスペインとフランスで楽しみたいという方のようです。フランス・スペイン・イタリアの合同チームがイギリスで輝くという国際的な舞台となりました。馬名に「スペイン」が入っているのはオーナーがスペイン人だからと言うわけではなく、母スペイン・ブルース Spain Blues に因んだものでしょう。
前走リステッド戦に勝ったあと、フランスには彼女が走る適当なレースが無かったため、憧れの英国競馬遠征を決めたとのことで、陣営としても勝利までは予想していなかったと思われます。レース振りから見て1マイルに問題無いことはデットーリも太鼓判。来年の1000ギニーで再度イギリスに遠征する意向を固めたようです。オッズは20対1が提示されました。もしクラシック出走が実現すれば、ニューマーケットに華やかな話題が提供されることでしょう。

二日目のもう一鞍はジョエル・ステークス Joel S (GⅡ、3歳上、1マイル)。この開催では只一つ、3歳上のG戦となります。6頭が出走し、全馬のオフィシャル・レーティングが5ポンド以内という難解な一戦。それでも人気は3歳馬に集まり、仏1000ギニー2着のナスラ Nathra が5対2の1番人気に支持されていました。
そのナスラはスタートが巧くいかず、後方から。5番人気(と言っても6対1)のギフテッド・マスター Gifted Master が逃げましたが、中間地点で後方から先行馬群に取り付いてきた最低人気(15対2)のクーガー・マウンテン Cougar Mountain が外に出し、残り1ハロンで先頭。逃げたギフテッド・マスターに3馬身4分の1差を付ける逆転劇でした。ナスラも最後で漸く追い上げましたが、2馬身4分の1差の3着までがやっとです。

勝ったクーガー・マウンテンは、エイダン・オブライエン厩舎でライアン・ムーア騎乗。オブライエン/ムーアのコンビが最低人気と言うのは珍事の部類でしょうが、それで勝ったのが面白い所。G戦常連の5歳馬ですが、勝利は1年以上前のデスモンド・ステークス(GⅢ)以来となります。前走ドンカスターのパーク・ステークス(GⅡ)は6着でしたから、ここでの一発逆転は予想が難しかったかも。やはりムーアを背にして馬がその気になったのでしょうか。(去年のデスモンドはジョセフ・オブライエン騎乗)
同馬が走るのはあくまでも良馬場(固い馬場)が条件で、コースが乾いているならクイーン・エリザベスⅡ世ステークスを目指すことになりそうです。あるいはアメリカに遠征してBCマイルという選択肢もあるでしょう。ジャパン・カップ当日にジャパン・カップ・マイルでも創設してくれれば、このタイプの馬が参戦してくれる可能性は大いにあると思われますが・・・。

 

 

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