ムーアとデットーリ
昨日の日曜日は家内の実家で大きな法事があり、新幹線で名古屋まで往復していました。何も無ければ土曜競馬のレポートを3本書いていたところですが、お経に社交、挨拶回りの一日。帰ってからパソコンを開く気にもなりませんでした。
今朝も凱旋門賞以下3か国の競馬結果をチェックしたところですが、先ず土曜日のレポートから始めなければなりません。これから合計6本の競馬記事と格闘することになり、今日中に凱旋門賞まで辿り着けるは覚束ない所。結果はテレビやネットなどで知れ渡っていると思いますから、休み休み行くことにします。
ということで最初は10月1日の英国競馬。いつもフランスの凱旋門賞ウィークと重なりますが、最初にニューマーケット競馬場で行われた一鞍から始めます。
サン・チャリオット・ステークス Sun Chariot S (GⅠ、3歳上牝、1マイル)は good to firm の馬場。当初南アフリカのGⅠ馬が出走する予定でしたが、結局は取り消したため8頭立て。前走アイルランドでマトロン・ステークス(GⅠ)を制したアリス・スプリングス Alice Springs が13対8の1番人気に支持されていました。同じ頃にシャンティーで凱旋門賞前夜祭のG戦5鞍も行われていましたが、オブライエン厩舎とコンビを組むライアン・ムーアはニューマーケットでの騎乗を選びます。
5番人気(10対1)のアラビアン・クィーン Arabian Queen が逃げましたが、1ハロン地点からは替わって4番人気(7対1)のオールウェイズ・スマイル Always Smile が先頭に立ち、先行したアリス・スプリングスもここで2番手に進出。残り1ハロンで逃げ馬を捉えた本命馬、そのままオールウェイズ・スマイルに4分の3馬身差を付けて人気に応えました。更に1馬身差で、やはり先行馬群から3番人気(4対1)のフランス馬(ジャン=クロード・ルジェ厩舎)エルヴェディア Ervedya が3着に食い込みましたが、同馬には日本から欧州出張中のクリストフ・ルメールが騎乗していました。(日本では報道されていないようです)
エイダン・オブライエン厩舎、ムーア騎乗のアリス・スプリングスは、英仏1000ギニーに参戦して夫々3着、7着。更にコロネーション・ステークス(GⅠ)でも3着した後、ニューマーケットでフォルマス・ステークスを制し、GⅠ戦初勝利。次のドーヴィル(ロッシルド賞GⅠ)は8着と不本意な成績に終わりましたが、前走アイルランドのマトロンに続いて3つ目のGⅠ戦制覇となりました。去年の秋はBCに遠征してジュヴェナイル・フィリーズ・ターフで2着惜敗でしたが、今年はBCマイルで雪辱を期します。
この日はアスコット競馬場でもG戦が2鞍行われる英国では珍しいダブル・ヘッダーの一日で、最初はカンバーランド・ロッジ・ステークス Cumberland Lodge S (GⅢ、3歳上、1マイル4ハロン)。イングランド南部は雨が降り続き、馬場は soft 。3歳馬の活躍が目立つレースですが、9頭が出走し、前走ケンプトンのセプテンバー・ステークス(GⅢ)に快勝した6歳馬のアラブ・スプリング Arab Spring が7対2の1番人気。
2番人気(4対1)で本命馬と同厩(サー・マイケル・スタウト師)の5歳馬キングス・フィート Kings Fete が逃げましたが、好スタートから2番手に下げた4番人気(5対1)のムーヴ・アップ Move Up が2ハロン地点から競り掛け、3番手から追い込む本命アラブ・スプリングの猛追を首差凌いで優勝。1馬身4分の3差でキングス・フィートが3着に逃げ粘り、スタウト厩舎は2・3着でした。
勝ったムーヴ・アップはゴドルフィンが所有する3歳馬で、サイード・ビン・スロール厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗。3歳馬有利の最近の伝統を証明した形です。2歳時は4戦2勝、今期は7月にアスコットのハンデ戦に勝って始動し、グッドウッドのハンデ戦で3着、前走はトルコに遠征して現地のGⅡ戦(インターナショナル・ボスフォラス・カップ、ヴェリエフェンディ競馬場)に勝っての2連勝で、これがヨーロッパでのG戦初勝利となりました。
アスコットのもう一鞍は短距離のベングー・ステークス Bengough S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。1頭が取り消して9頭立てとなり、2歳時G戦4勝しながら、故障のためこれが今期初戦となるシャラー Shalaa が7対4の1番人気。
そのシャラー、スタートから積極的に飛ばし、先行していた4番人気(8対1)のメーロニッサ Mehronissa に差を詰められながらも、首差凌ぎ切っての逃げ切り勝ち。1馬身半差で同じく先行していた5番人気(10対1)のラウクース Raucous が3着。ここでも2頭出走していた3歳馬が1・3着を占め、古馬を圧倒しました。
アル・シャカブが所有するシャラーはジュライ・ステークス(GⅡ)、リッチモンド・ステークス(GⅡ)、モルニー賞(GⅠ)、ミドル・パーク・ステークス(GⅠ)とG戦を4連勝し、翌年のコモンウェルス・カップの冬場の本命に支持されていた程のスプリンター。これでG戦5連勝となり、アスコットのチャンピオンズ・スプリントのオッズはレース前の12対1から8対1に上がりました。
管理するのはジョン・ゴスデン師、鞍上はランフランコ・デットーリで、ジュライ・ステークス以外は全てデビューからコンビを組んでいる間柄です。土曜日、ムーアはニューマーケット、デットーリはアスコットで夫々G戦を制し、日曜日は揃ってオブライエン厩舎の馬で凱旋門賞に挑む名手二人です。
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