オブライエンだ、ムーアだ、ガリレオだ!! 再び

凱旋門賞の翌週、今度はニューマーケット競馬場の10月開催で来年のクラシック候補たちが夫々の能力を試します。ニューマーケットでG戦が行われるのは、これがシーズン最後。昔からセザレウィッチ開催として親しまれてきましたが、アスコットとの組み換えで景色はかなり変わりました。
G戦は金曜日と土曜日で合計7鞍。4鞍が組まれていた昨日の馬場は good to firm 、所によっては散水しても goos というこの時期にしては高速馬場で行われています。

先ず第1レースとして行われたコーンウォリス・ステークス Cornwallis S (GⅢ、2歳、5ハロン)は、2頭が取り消して9頭立て。牡馬6頭と牝馬3頭という組み合わせで、デビューから負けなしの4連勝で臨んだ牝馬のミセス・ダンヴァース Mrs Danvers が2対1の本命に支持されていました。4連勝といってもG戦は初挑戦です。
6番人気(9対1)バターシュ Battaash の逃げ。これを2番手で追走したミセス・ダンヴァースが残り1ハロンで先頭に立つと、先行から本命馬を追った5番人気(15対2)のクレム・ファンダンゴ Clem Fandango に1馬身半差を付けて連勝記録を5に伸ばし、見事G戦初勝利を飾りました。半馬身差で逃げたバターシュが3着。イギリスではタイムは余り問題になりませんが、それでも勝時計58秒69は2歳のコース・レコードで、如何に馬場が速かったかという証明でもありましょう。

勝馬を管理するジョナサン・ポートマン調教師は、2014年にもロイヤル・ラザルマ Royal Razalma でこのレースを勝っており、3年で2勝という縁起の良いレースとなりました。騎乗したのはリチャード・キングスコートで、彼もまた2年振り2勝目。
実は競りでは1000ポンドでも売れなかったミセス・ダンヴァース、リングフィールド、ウインザーとデビューから連勝し、ニューバリーでスーパー・スプリント、前走リステッド戦と全て5ハロンでの快進撃。来年はコモンウェルス・カップかナンソープ・ステークスを目指すということで、コモンウェルス・カップには10対1のオッズが出されました。去年のコーンウォリスに勝ったクワイエット・リフレクション Quiet Reflection が今年のコモンウェルスを制したのはご存知の通り。2年連続でコモンウェルスの勝者を出せば、このレースの格も一段と上がるでしょう。

続いて第2レースのオー・ソー・シャープ・ステークス Oh So Sharp S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)。ここも1頭の取り消しが出て12頭立てとなり、フランスからアンドレ・ファーブル師が送り込んだダブル・レディー Double Lady が3対1の1番人気。前走メゾン=ラフィットで初勝利を挙げたばかりですが、シャンティーでのデビュー戦で2着した時に勝ったトゥリフォー Toulifaut がその後オマール賞(GⅢ)に勝ち、先週のマルセル・ブーサック賞(8着)に駒を進めたということからの比較人気です。
3頭が並んだ5番人気(10対1)の一角ミス・インフィニティー Miss Infinity が逃げましたが、これを2番手で追走した3番人気(13対2)のポエツ・ヴァニティー Poet’s Vanity が2ハロン地点から先頭に立ち、先行から抜け出した4番人気(8対1)のグリッター・ガール Glitter Girl に1馬身差を付けて優勝。後方から追い込んだ5番人気(10対1)の1頭アンフォゲッタブル・フィリー Unforgetable Filly が更に1馬身差で3着に入り、同じく後方からの差し脚に賭けたダブル・レディーは5着と届きませんでした。

未だこれが3戦目のポエツ・ヴァニティーはアンドリュー・ボールディング厩舎、オイジン・マーフィー騎乗。ニューマーケットのデビュー戦が4着、前走ソールズベリーでは逃げ切って初勝利を挙げていました。今回も先行策から早めに先頭に立ち、一旦は2着馬に交わされながらも差し返しての勝利。陣営は1000ギニーに期待しており、25対1のオッズが出されました。

第3レースもG戦で、チャレンジ・ステークス Challenge S (GⅡ、3歳上、7ハロン)。12頭立てとなり、オブライエン厩舎、ムーア騎乗の5歳馬クーガー・マウンテン Cougar Mountain が10対3の1番人気。前走同じニューマーケットの1マイルでジョエル・ステークス(GⅡ)に勝っており、5歳ながら未だ成長が見込まれる1頭です。
ニューマーケットの直線コースは馬群が二手に分かれるのがいつものパターンで、少ないスタンド側は並んだ2番人気(6対1)のギフテッド・マスター Gifted Master が逃げ、馬場の中央は6番人気(8対1)リュミエール Lumiere の逃げ。クーガー・マウンテンは中央グループの先行集団に付けていましたが、スタンド側を先行していた2番人気の一角アクレイム Aclaim が抜け出し、馬場中央を逃げたリュミエールに1馬身差を付けて優勝。スタンド側の2番手を追走していた7番人気(10対1)のジャロタ Jallota が半馬身差で3着に流れ込み、クーガー・マウンテンは5着に終わりました。

マーチン・ミアード厩舎の3歳馬アクレイムは、アスコットのハンデ戦、ニューバリーのリステッド戦と3連勝。前2戦はジェイミー・スペンサーが騎乗していましたが、今回はランフランコ・デットーリに乗り替わり。デットーリは去年もケーブル・ベイ Cable Bay で制しており、このレースは6勝目となりました。

金曜日の最後は、第4レースとして行われたフィリーズ・マイル Fillies’ Mile (GⅠ、2歳牝、1マイル)。去年はマインディング Minding が勝っており、来年の牝馬クラシックを占う重要なGⅠ戦です。
今年の1番人気(5対2)は2頭が分け合い、対決ムード。1頭は前走2戦目にニューマーケットで初勝利を挙げたばかりのソーベツ Sobetsu で、前走で2着に10馬身差を付けた圧巻のレース内容が人気のユー要因。もう1頭は2頭出しエイダン・オブライエン厩舎の馬で、ライアン・ムーアが選んだロードデンドロン Rhododendron 。前々走デビュタント・ステークス(GⅡ)の勝馬で、前走モイグレア・スタッド(GⅠ)では3着と不覚をとった馬。その時2着と先着したハイドランジア Hydrangea も出走してきましたが、こちらはへファーナンが騎乗して4対1の3番人気でした。

そのハイドランジアがスタンド側を逃げ、馬場の中央は4番人気(6対1)のスペイシャル Spatial が引っ張ります。ソーベツは中央の2番手に付けましたが、これをマークしたロードデンドロンが素晴らしい瞬発力で抜け出すと、スタンド側を粘る寮馬ハイドランジアに2馬身4分の1差を付ける完勝。3着には6馬身の大差が付いてスタンド側の2番手を追走した最低人気(40対1)のアーバン・フォックス Urban Fox が入り、ソーベツは5着と期待を裏切ってしまいました。
終わってみればエイダン・オブライエン厩舎のワン・ツー・フィニッシュで、勝馬にはムーア、2着はへファーナン騎乗。しかも1・2着は共にガリレオ Galileo 産駒ということで、5日前の凱旋門賞を再現するような結果でした。オブライエン師も、父ガリレオも、一昨年のトゥギャザー・フォーエヴァー Together Forever 、去年のマインディングと3連覇。オブライエン師は、これが今年19回目のGⅠ戦制覇でもあります。
2頭ともBCに挑戦する可能性がある由。勝ったロードデンドロンは、この圧勝を受けて1000ギニー、オークス共に7対1のオッズ(ギニーは16対1から、オークスは14対1から)となり、目下のところ1番人気。母は愛1000ギニー馬でマイラーのハーフウェイ・トゥー・ヘヴン Halfway to Heaven ですが、父はガリレオ。4代母が日本オークス馬ヌーヴォレコルトの3代母と同じということで、メードデンドロンのスタミナも理解できるでしょう。

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください