復活したローレルの短距離G戦

今日は最初にローレル・パーク競馬場で復活した短距離G戦、フランク・J・デ・フランシス・メモリアル・ダッシュ Frank J. De Francis Memorial Dash (GⅢ、3歳上、6ハロン)から始めましょう。このレースが創設されたのは1990年のことで、1992年の3回目以降はG戦に格上げされ、1999年から2009年までは最高格のGⅠ戦として行われてきました。
2008年と2010年の2回は施行されず、2011年以降はG戦から外れ、リステッド戦として続けられてきたもの。それが今年、25回目で再びGⅢ戦として復活することになったのです。GⅠ時代は錚々たる馬も勝っていましたが、近年はレヴェルも低下。果たして今年は名実ともにG戦に相応しいレースになるでしょうか。
ということで fast の馬場に3頭が取り消して6頭立て。本来ならストールウォーキン・デュード Stallwalkin’ Dude が人気になる所でしたが、翌週のアケダクトに回るとのことで取り消し。替わって前走ヴォスバー・ステークス(GⅠ)5着のエックス・ワイ・ジェット X Y Jet が1対5の断然1番人気に支持されていました。今春ドバイに遠征して短距離GⅠ戦2着の後軽度の骨折、術後の休み明け2戦目に期待が集まります。
そのエックス・ワイ・ジェットがスタートから逃げましたが、2番手でマークした2番人気(3対1)のアイヴァン・フォーランノヴァロット Ivan Fallunovalot が直線でこれを捉え、4番手から伸びた4番人気(14対1)のロッキン・オン・バイ Rockinn On Bye に4馬身半差を付ける圧勝でした。エックス・ワイ・ジェットは首差の3着に終わっています。
トム・ハワード厩舎、カルヴィン・ボレル騎乗のアイヴァン・フォーランノヴァロット(何とも読み難い馬名ですが、こう表記しておきましょう)は、これがG戦初勝利となる6歳せん馬で、今期は無傷の4連勝。これで24戦15勝となり、ステークスは7勝を数えます。去年はBCスプリントに挑戦したものの9着、6ハロン戦に限れば16戦11勝となる堅実なタイプと言えるでしょう。ボレル騎手は今夏に引退を表明して5か月になりますが、超短期での復帰。これが復帰後初のG戦勝ちとなりました。

11月19日はこの他にも3つの競馬場でG戦が組まれていました。こちらも順次取り上げると、先ずチャーチル・ダウンズ競馬場のカーディナル・ハンデキャップ Cardinal H (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)は firm の馬場に1頭が取り消して12頭立て。チャーチルで6月にミント・ジュレップ・ハンデ(芝GⅢ)を勝ったキャッシュ・コントロール Cash Control が5対2の1番人気。
10番人気(33対1)のベル・ド・ニュイ Belle de Nuit が逃げましたが、2番手を追走していた8番人気(24対1)のロッツ・オー・レックス Lots o’ Lex が交わして先頭で直線。しかし3番手で様子を窺っていた本命キャッシュ・コントロールが第4コーナーで外から並び掛けると、直線は独走。7番手から伸びた3番人気(4対1)のキッテンズ・ロアー Kitten’s Roar に4馬身の大差を付けて堂々人気に応えました。頭差で早目に仕掛けたロッツ・オー・レックスが3着。
ブラッド・コックス厩舎、シャウン・ブリッジモハーン騎乗のキャッシュ・コントロールは、上記ミント・ジュレップに続いてこれがG戦2勝目となる5歳馬。前走キーンランドのファースト・レディー・ステークス(芝GⅠ)では6着でしたが、同じケンタッキー州でもチャーチルの方との相性が良いようです。ここまでこの競馬場では7戦して3着以下に落ちたことはありません。陣営は来年も現役に留まることを明言していました。

続いてはデルタ・ダウンズ競馬場から2歳馬のG戦2鞍。何れも去年からGⅢ戦に格上げされた一戦で、勝馬には夫々ケンタッキー・オークスとダービーに10ポイントが付与されます。馬場は fast 、先に行われた牝馬のデルタ・ダウンズ・プリンセス・ステークス Delta Downs Princess S (GⅢ、2歳牝、8ハロン)は10頭立て。前走同じデルタ・ダウンズの一般ステークス(マイ・トラスティー・キャット・ステークス)を含めて3連勝中のゴールデン・ミスチーフ Golden Mischief が2対1の1番人気。
8番人気(19対1)のフラッター・アップ Flatter Up が逃げましたが、2番手でマークしていた2番人気(3対1)のシェーンズ・ガールフレンド Shane’s Girlfriend がこれを第3コーナーで捉えると、あとは後続を引き離す一方。4番手から伸びる6番人気(7対1)のケイジュン・デルタ・ドーン Caju Delta Dawn に何と13馬身4分の1差の大差を付ける圧勝劇でした。2馬身半差で逃げたフラッター・アップが3着に粘り、人気のゴールデン・ミスチーフは7着敗退。
ダグ・オネイル厩舎、フレイヴィアン・プラット騎乗のシェーンズ・ガールフレンドは、10月28日にサンタ・アニタの新馬戦を逃げ切ってデビュー勝ちしたばかり。今回の圧勝で俄かに脚光を浴びる1頭になってくるでしょう。

一方、牡馬によるデルタ・ダウンズ・ジャックポット・ステークス Delta Downs Jackpot S (GⅢ、2歳、8.5ハロン)も同じ10頭立て。去年の勝馬エクサジェレイター Exaggerator がプリークネス馬に成長しただけに、注目が集まります。5対2の1番人気に支持されたのは、8月にサラトガ・スペシャル(GⅡ)を制した東の代表ガンナヴェーラ Gunnevera
4番人気(6対1)のアワ・ストーミン・ノーマン Our Stormin Norman が逃げましたが、後方で待機したガンナヴェーラが外から一気に追い上げ、第4コーナーで逃げ馬に並び掛けると、4番手から追い上げる3番人気(4対1)のホット・シーン Hot Sean に5馬身4分の3差を付けるこちらも圧勝で人気に応えました。更に4馬身差で9番人気(18対1)のデンジャーフィールド Dangerfield が3着。
アントニオ・サノ厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のガンナヴェーラは、上記サラトガでG線初勝利を挙げた後、10月のキーンランドでブリーダーズ・フューチュリティー(GⅠ)が5着。BCをステップしてここで確実に二つ目のG戦を手にしました。サラトガ・スペシャルとジャックポットを共に制したのは、正にエクサジェレイターと同じコース。来年のクラシックへの期待も更に高まったと言えるでしょう。

土曜日の最後は、デル・マー競馬場のボブ・ホープ・ステークス Bob Hope S (GⅢ、2歳、7ハロン)。これも将来を期待される2歳戦で、fast の馬場に5頭立て。新馬戦に勝ったばかりのマスタリー Mastery が1対5の被った1番人気に支持されていました。
本命マスタリーと最低人気(21対1)バーニン・センセーション Bernin Sensation が競りながら、というよりも内外に分かれながら逃げる形となり、人気に勝るマスタリーが第4コーナーでは外目を通りながら抜け出すと、4番手から伸びる2番人気(3対1)でステークス3連勝のカリフォルニア・ダイアモンド California Diamond に1馬身4分の1差を付けて期待に応えました。更に1馬身半差で3番手を進んだ3番人気(11対1)のアン・アーバー・エディー Ann Arbor Eddie が3着と順当。
ボブ・バファート厩舎、マイク・スミス騎乗のマスタリーは、これで2戦2勝。父はキャンディー・ライド Cady Ride で、2013年にこのレース(当時はハリウッド競馬場のハリウッド・プレヴュー・ステークスでしたが)を制したシェアード・ビリーフ Shared Belief と同じ。この馬にも前途洋々という期待感が高まります。

 

 

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