フロリダの冬競馬

11月21日のアメリカ競馬、4つの競馬場で6鞍のG戦が行われましたが、今週からフロリダ州のガルフストリーム・パーク・ウエスト競馬場で冬開催のG戦シリーズが始まったのが季節を感じさせます。本格的な冬競馬到来と言ったところでしょうか。

今回は、先ずそのガルフストリーム・パーク・ウエスト競馬場で行われた二つの芝G戦から。同じ条件での牡馬と牝馬のためのレース、何れも去年は9ハロン戦でしたが、今年は若干距離が短縮されています。最初に行われた牝馬によるマイ・チャーマー・ステークス My Charmer S (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)は1頭が取り消して10頭立て、前走ベルモントのアセーニア・ステークス(芝GⅢ)でスローペースを追い込んで3着したレディー・ララ Lady Lara が8対5の1番人気でした。
レースは6番人気(22対1)のピンク・ポピー Pink Poppy が逃げ、レディー・ララは3番手の内。第4コーナーで外から逃げ馬に並び掛けると、直線では期待通りの末脚を発揮し、2着争いに1馬身4分の1差を付けて人気に応えています。3頭が並んだ2着争いは写真判定の結果、ハナ差で4番人気(8対1)のホープ・クロス Hope Cross が食い込み、同じくハナ差で2番人気(9対5)のサンディーヴァ Sandiva が3着。
ウイリアム・モット厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のレディー・ララは、今年初めにガルフストリーム競馬場で制したハネー・フォックス・ステークス(芝GⅡ)以来の勝星で、G戦は2勝目。同じフロリダのガルフストリーム・ウェストは初体験でしたが、水が合うフロリダで5連敗に終止符を打ちました。

続くトロピカル・ターフ・ハンデキャップ Tropical Turf H (芝GⅢ、3歳上、8.5ハロン)は降り出した激しい雨の中でのレースとなり、中継画面もほとんど見えないほど。3頭が取り消して9頭立てとなり、9月にサラトガのバーナード・バルーク・ハンデ(芝GⅡ)でブービー人気ながら3着に健闘したオール・インクルーデッド All Included が7対5の1番人気。
雨が降りしきる中、逃げたのは5番人気(12対1)のインチケープ Inchcape 。2番手を追走した6番人気(13対1)のフラッシュライト Flashlight が一旦は先頭に立ちましたが、3番手を進んだ2番人気(3対1)のロクティー Lochte が一気に抜け出すと、フラッシュライトに4馬身の大差を付ける圧勝。1馬身4分の1差で8番人気(60対1)のアミーゴ Amigo が3着に食い込み、人気のオール・インクルーデッドは4番手に付けたものの5着敗退に終わりました。
マーカス・ヴィターリ厩舎、マシュー・リスポリ騎乗のロクティーは、去年のガルフストリーム・パーク・ターフ・ハンデ(芝GⅠ)で番狂わせを演じた5歳せん馬。今年は1月にタンパ・ベイ・ハンデ(芝GⅢ)にも勝っており、G戦は三つ目となります。

続いては、この日行われるG戦2鞍がここでの唯一のG戦となるデルタ・ダウンズ競馬場から。何れも2歳のG戦で、先に行われたデルタ・ダウンズ・プリンセス・ステークス Delta Downs Princess S (GⅢ、2歳牝、8ハロン)は sloppy の馬場に7頭立て。ここからの中継は最終オッズが表示されませんが、前走10月の一般ステークス(マイ・トラスティ―・キャット・ステークス)に勝ったラ・アパッショナータ La Appassionata が1対5の一本被り本命に推されていました。
16対1のシーズザウイナー Shesthewinner の4番手で待機したラ・アパッショナータが直線入口で先頭に立ちましたが、前半は最後方に控えていた9対1のジェット・ブラック・マジック Jet Black Magic が外から一気の末脚を爆発させ、大本命に4馬身4分の1差を付ける逆転劇です。更に7馬身4分の1差で10対1のアバブ・ファッション Above Fashion が3着。なお、4着入線の逃げ馬が6着に降着するという審議もありました。
ブレット・カルホウン厩舎、ロベルト・モラレス騎乗のジェット・ブラック・マジックは本命馬が勝った上記前走で3着になっており、そこで2着だったアバブ・ファッションが今回は3着。上位3頭の入れ替わりと言う結果になりましたが、いずれにしてもG戦は初勝利で、通算成績は4戦2勝2着1回3着1回となります。このレースは来年のケンタッキー・オークスへの路シリーズの一つで、1着から4着までは夫々10-4-2-1ポイントが付与されました。

一方、牡馬によるデルタ・ダウンズ・ジャックポット・ステークス Delta Downs Jackpot S (GⅢ、2歳、8.5ハロン)は10頭立て。BCジュヴェナイルで4着したエクサジェレイター Exaggerator が4対5の断然1番人気に支持されていました。
スタートでは99対1のアイアン・ドーム Iron Dome がダッシュ良くハナを叩きましたが、クラブハウス・ターンで先頭を奪ったエクサジェレイター、第4コーナーからは外の4対1人気サニー・リッジ Sunny Ridge に迫られたものの、再び内から伸び、首差先着で人気に応えました。4馬身4分の3差で後方から徐々に進出した17対1のハーラン・パンチ Harlan Punch が3着。
キース・デサーモ厩舎、ケント・デサーモ騎乗の兄弟コンビによるエクサジェレイターは、夏のサラトガでサラトガ・スペシャル(GⅡ)を制しており、G戦は2勝目。その間もキーンランドのブリーダーズ・フューチュリティー(GⅠ)2着、BC4着と堅実に走り、今回のケンタッキー・ダービーへの路シリーズで10ポイントを獲得しました。

次にチャーチル・ダウンズ競馬場のカーディナル・ハンデキャップ Cardinal H (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。こちらも雨で渋った yielding の馬場に2頭が取り消して11頭立て。これがアメリカ競馬デビューながら、カナダの芝コースG戦で2度2着になっているバトン・ダウン Button Down が2対1の1番人気。
レースはジョイント3番人気(5対1)のインヴェイディング・ヒューモア Invading Humor が逃げましたが、バトン・ダウンは7番手から5番手、第3コーナーでは3番手へと徐々に順位を上げ、直線では前を行く2頭を外から捉えると、4番手から追走するジョイント7番人気(20対1)のレディー・フォグ・ホーン Lady Fog Horn に1馬身半差を付け、見事人気に応えました。3馬身4分の1差で9番人気(23対1)のレイシー Lacy が3着に入り、入着馬は波乱。
ジョシー・キャロル厩舎、パコ・ロペス騎乗のバトン・タウンは、英国産の4歳馬。イギリスでは7戦して未勝利でしたが、カナダに転じてから未勝利戦とアローワンス戦に勝ち、勝鞍は今回が3つ目で、もちろんステークスもG戦も初勝利。9月にウッドバインのカナディアン・ステークス(カナダの芝GⅢ)で2着、10月にはE・P・テイラー・ステークス(カナダ芝GⅠ)でも5着と着実に実力を蓄えて来た存在です。

最後にカリフォルニアから、デル・マー競馬場のレッド・カーペット・ステークス Red Carpet S (芝GⅢ、3歳上牝、11ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消して11頭立て。3走前にジョン・C・メイビー・ステークス(芝GⅡ)を勝ったエレクトラム Elektrum が5対2の1番人気。
長距離戦とあって2番人気(9対2)で去年の勝馬のスリー・ハーツ Three Hearts がスローに落しての逃げ。向正面では後続を8馬身と大きく引き離しての逃げ切りを策しましたが、直線半ばで5番手を追走していた4番人気(6対1)のラスティー・スリッパー Rusty Slipper が遂にこれを捉えると、8番手から追い上げるエレクトラムに1馬身半差を付けて快勝。更に1馬身差でスリー・ハーツがギリギリ3着に粘り込みました。2着のエスピノザ騎手から勝馬への異議申し立てがありましたが、審議の結果却下となっています。
グレアム・モーション厩舎、今年イギリスでリーディング・ジョッキーのタイトルを手にしたシルヴェストル・ド・スーザ騎乗のラスティー・スリッパーは、2走前にケンタッキー・ダウンズの一般ステークス(ワン・ドリーマー・ステークス)に勝っていましたが、G戦は4歳時の去年にヴァイオレット・ステークス(芝GⅢ)を制して以来のことになります。前走ベルモントのアセーニア・ステークス(芝GⅢ)では4着からの参戦、通算成績は17戦6勝となりました。なおスーザ騎手は、これがアメリカのG戦初勝利となります。

 

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