ヌーヴォレコルトのアメリカGⅢ挑戦は?

11月最終週のアメリカ競馬は、11月24日の感謝祭祝日からスタートして日曜日までの4日間、年間を通して最後のG戦大売出しシリーズとなります。事実上シーズン最後のGⅠ線も2鞍組まれており、この週が終わればアメリカ競馬も1年の総決算と言ってよいでしょう。

ということで木曜日は東西と中部で合計4鞍のG戦、日本のファンとしてはカリフォルニアのGⅢ戦にヌーヴォレコルトが参戦するのが気に掛かります。しかし最初はニューヨークから。アケダクト競馬場のフォール・ハイウエイト・ハンデキャップ Fall Highweight H (GⅢ、3歳上、6ハロン)は、出走馬のハンデ差が大きいことで知られるレース。今年は fast の馬場に1頭が取り消して8頭立て。先週のローレル、デ・フランシス・メモリアル・ダッシュを取り消してこちらに回ってきたストールウォーキン・デュード Stallwalki’ Dude が4対5の1番人気。前走ボールド・ルーラー・ステークス(GⅢ)に勝って134ポンドのトップハンデ。
6番人気(11対1)のザ・グレート・ウォー The Great War が逃げ、ストールウォーキン・デュードは4番手追走。直線に向いて本命馬が期待通り馬場の中央から抜けて先頭に立ちましたが、スタート直後は最後方だった最低人気(32対1)のヘヴンズ・ランウェイ Heaven’s Runway が外から瞬発力を爆発させ、ゴール直前で本命馬を首差捉える番狂わせとなりました。5番手から伸びた2番人気(4対1)のレディー・フォー・ライ Ready For Rye が3着に入り、去年の勝馬で5番人気(11対1)だったグリーン・グラット Green Gratto は4着。勝馬(123ポンド)と本命馬とのハンデ差は11ポンドもありました。
ルディー・ロドリゲス厩舎、ジュニア・アルヴァラード騎乗のヘヴンズ・ランウェイは、これがG戦初勝利となる6歳牡馬。勝鞍は去年7月デラウェアの一般ステークス(ホックシン・ステークス)以来で、12連敗中でしたから人気が無かったのも当然。前走ベルモントのアローワンス戦も4着で、ハンデ差が勝因の全てでしょうか。ステークスは2歳時の1勝を加えて3勝目。

続いてはケンタッキー州チャーチル・ダウンズ競馬場から2鞍。先ずフォールズ・シティー・ハンデキャップ Falls City H (GⅡ、3歳上牝、9ハロン)は fast の馬場に11頭立て。複数のG戦に勝った2頭の争いと見られ、中でもケンタッキー・オークス4着でブラック・アイド・スーザン・ステークス(GⅡ)とガルフストリーム・パーク・オークス(GⅡ)勝馬のゴー・マギー・ゴー Go Maggie Go が5対2の1番人気。
10番人気(43対1)のシー・メイビー・ワイルド She Mabee Wild が逃げましたが、3番手を進んだ4番人気(6対1)のレディー・フォグ・ホーン Lady Fog Horn が内を衝いて抜け出し、2番手に付けていた3番人気(9対2)のストリームライン Streamline に1馬身半差を付けて優勝。更に半馬身差で後方2番手から8番人気(23対1)のウォークアバウト Walkabout が3着に食い込み、人気のゴー・マギー・ゴーは7番手を進むも最下位に、2番人気(17対10)のインクルード・ベティ Include Betty も10着大敗と散々な結果に終わりました。
アントニー・グラニッツ厩舎、アルビン・ジメネス騎乗のレディー・フォグ・ホーンは、前走インディアナの一般ステークス(フランシス・スローカム・ステークス)に続きステークス2連勝でG戦は初制覇となる4歳馬。去年のチャーチルでカーディナル・ハンデ(GⅢ)がG戦初挑戦で、その時は2着。今回が二度目のG戦でした。

一方、芝コースのリヴァー・シティー・ハンデキャップ River City H (芝GⅢ、3歳上、9ハロン)は、good の馬場に3頭が取り消して13頭立て。7歳馬ながら去年のアーリントン・ミリオンでGⅠ馬の仲間入りを果たしているザ・ピッツァ・マン The Pizza Man が2対1の1番人気。
6番人気(16対1)のローマン・アプルーヴァル Roman Approval が逃げ、人気のザ・ピッツァ・マンは後方2番手に待機して末脚に賭けます。前半4番手に付けていた4番人気(7対1)のサッチャー・ストリート Thatcher Street が第4コーナーで前2頭を外から捉えると、内から伸びる2番人気(5対2)のプルーヴェン Pleuven に半馬身差を付けて優勝。ザ・ピッツァ・マンも外から良く伸びましたが、更に半馬身差の3着と届かず。
イアン・ウイルケス厩舎、ブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス騎乗のサッチャー・ストリートは、去年のこのレースで2着だった5歳せん馬で、G戦はこれまた初制覇。漸く13戦目で初勝利と出世に手間取った1頭で、ステークス初勝利は今年5月のチャーチルでのオープニング・ヴァーズ・ステークス(一般ステークス)でした。前走キーンランドのアローワンス戦4着からの戴冠。

そして注目、西海岸はデル・マー競馬場からレッド・カーペット・ステークス Red Carpet S (芝GⅢ、3歳上牝、11ハロン)。ヌーヴォレコルト Nuovo Record の参戦で一部では注目されていますが、本来ハリウッド競馬場で行われていたビヴァリー・ヒルズ・ステークスがデル・マーに引き継がれた一戦。firm の馬場に1頭が取り消して10頭立てとなり、ドイツから転厩したアールス Arles がイーヴンの1番人気。前走アメリカ初戦、サラトガのグレン・フォールズ・ステークス(芝GⅢ)でいきなり2着し、ヌーヴォレコルトと共にこのG戦に国際的なムードを持ち込んでいました。日本のヌーヴォレコルトはBCに挑戦して11着だったこともあり、5対1の3番人気。
先ず2番人気(9対2)でこちらも英国からの転戦馬フレンジファイド Frenzified が逃げ、アールスは3番手。1番枠スタートのヌーヴォレコルトは6番手に付け、終始内の経済コースを通って徐々に進出します。直線、本命のアールスが抜け出して勝利を掌中にしたと見えた時、コースを外に持ち出したヌーヴォレコルトが鋭く迫ると、ゴールでは首の上げ下げの接戦をハナ差で制して見事な差し切り勝ち。1馬身差で後方3番手から伸びた8番人気(25対1)のスウェア・バイ・イット Swear by It が3着に入りました。
齋藤誠厩舎、岩田康誠騎乗のヌーヴォレコルトに付いては改めて紹介するまでもないでしょう。優駿牝馬(日本オークス)と中山記念は何れも岩田騎手とのコンビで勝っており、ここは乗り替わったことが吉と出たと思われます。日本馬がGⅢとはいえ、アメリカのグレード・レースに勝田意義は大きく、改めて日本競馬のレヴェルの高さを証明しました。ヌーヴォレコルトが122ポンドを負担したのに対し、アールスは119ポンド。着差以上に実力差があったと見るべきでしょう。

 

 

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