感謝祭の4鞍
今週のアメリカは年内最後の競馬フェスティヴァル状態で、木曜日から日曜日までの4日間、毎日のようにG戦が行われます。全部で21鞍のG戦、GⅠレースも5鞍が予定。昨日はその初日、毎年恒例の感謝祭プログラムが組まれていました。
先ずはニューヨーク、アケダクト競馬場から行きましょうか。G戦はフォール・ハイウエイト・ハンデキャップ Fall Highweight H (GⅢ、3歳上、6ハロン)の一鞍。レース名の通り、出走馬には通常の負担重量より遥かに重い重量が課せられるのが特徴。今年は fast のコースに6頭が登録してきましたが、最も重いハンデを背負うポセイドンズ・ウォリアー Poseidon’s Warrior (135ポンド)が他のレースに回って取り消し、5頭立てで行われました。130ポンドのディス・ワンズ・フォー・フィル This Ones for Phil が6対5の1番人気。5月の一般ステークス2着以来の出走でしたが、負担重量と展開の利からの人気と思われます。
先を争うと思われた1頭が出遅れたため、人気のディス・ワンズ・フォー・フィルがすんなり先頭、そのまま逃げ切るかに思われましたが、2番手を追走した2番人気(2対1)でトップハンデ(133ポンド)のカイシャ・エレクトロニカ Caixa Electronica が直線でこれを捉え、4馬身差を付けて快勝。本命馬と3着マイン・オーヴァー・マター Mine Over Matter との着差も4馬身半差の一方的な結果に終わりました。比較的順当な一戦。
これが60戦目となったカイシャ・エレクトロニカは、トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗の7歳馬。前走ボールド・ルーラー・ハンデ(GⅢ)は1番人気で7着、勝星はベルモント・ステークス当日のトゥルー・ノース・ハンデ(GⅡ)以来で、通算では19勝目となります。G戦は3勝目。
次にハリウッド・パーク競馬場を取り上げましょう。通常ならカリフォルニア州の競馬は時差の関係で日本時間の翌日になることがほとんどですが、この日唯一のG戦であるハリウッド・プレヴュー・ステークス Hollywood Prevue S (GⅢ、2歳、7ハロン)は珍しく第1レースとして行われました。馬場は fast 、5頭立てでしたが、何と内4頭はボブ・バファート厩舎の出走馬。結果もバファート厩舎が1着から4着までを占めましたが、優勝は最低人気(11対1)の馬という波乱?です。
4対5の1番人気に支持されたのは、10月7日にサンタ・アニタの新馬戦を快勝したスーパー・ナインティー・ナイン Super Ninety Nine 。BCジュヴェナイル・スプリントに出走する予定でしたが、直前に負傷して回避、ここで万全を期していた馬。本命馬は3番手から脚を伸ばしましたが、結果はジュリアン・ルパルーが巧くペースを作ってペースを作ったリアリー・ミスター・グリーリー Really Mr. Greely の逃げ切り勝ち。半馬身差でスーパー・ナインティー・ナインを抑えていました。首差3着には2番人気(2対1)のシェイキン・イット・アップ Shakin It Up が入り、4着のジー・ビッグ・アップル Z Big Apple まで全てバファート師の管理馬。唯一の他厩舎(ピーター・ミラー厩舎)、牝馬のヘア・キッティー Heir Kitty は5着でしたが、前の4頭との差は僅かです。
バファート師はこのレース、去年のソー・ブリリアント So Brilliant に続く連覇で、通算でも6勝目。勝ったリアリー・ミスター・グリーリーは、新馬戦ではこの日3着のジー・ビッグ・アップルの4着でしたが、続くアローワンス戦を7馬身半差で初勝利、これが3戦目でした。出走各馬にとっては、開催のメインとなるキャッシュコール・フューチュリティー(GⅠ)が真の試金石となるでしょう。
続いてカルダー競馬場からはマイ・チャーマー・ハンデキャップ My Charmer H (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。こちらは芝の一戦、firm の馬場に1頭が取り消しての7頭立て。これがアメリカでの2戦目となるフランス娘のカイア・ワン Kya One が9対5の1番人気に支持されていました。
伏兵(30対1)ウィックド・ナイト Wicked Night の後方5番手の内に付けたカイア・ワン、直線では外に出して鋭く伸び、2番人気(2対1)のネイプルズ・ベイ Naples Bay に1馬身4分の1差を付けて見事期待に応えています。3着は首差で3番人気(9対2)のジャニスレーン Janicellaine と順当。
チャド・ブラウン厩舎、パコ・ロペス騎乗の4歳牝馬カイア・ワンは、3歳時フランス(イヴ・ド・ニコライ厩舎)でリステッド戦(ジャック・ラフィット賞)に勝ち、クープ・ド・メゾン=ラフィット(GⅢ)で3着の実績。アメリカ・デビューとなった前走ノーブル・ダムゼル・ステークス(芝GⅢ)ではネイプルズ・ベイの5着でしたが、距離が伸びたここでは期待通りの逆転劇でした。
最後はチャーチル・ダウンズ競馬場のフォールズ・シティ・ハンデキャップ Falls City H (GⅡ、3歳上牝、9ハロン)。fast の馬場に7頭が出走し、前走同じチャーチル・ダウンズのチルッキ・ステークス(GⅡ、11月3日)でハナ差の1・2着を争ったブラッシュド・バイ・ア・スター Brushed by a Star とジョイフル・ヴィクトリー Joyful Victory の再戦が見所でしょう。しかし両馬は夫々3番人気(9対2)、2番人気(2対1)に留まり、6対5の1番人気に支持されたのは、ステークスを連勝中のアフリーティング・レディー Afleeting Lady でした。
レースは予想通りジョイフル・ヴィクトリーが逃げ、ブラッシュド・バイ・ア・スターが後方から追い込みましたが、3番手から2番手へと徐々に進出した本命アフリーティング・レディーが第3コーナーで早目にジョイフル・ヴィクトリーを捉え、キャッシュ・バイ・ア・スターに2馬身4分の1差を付けて対決に決着を付けています。3着は3馬身4分の1差でジョイフル・ヴィクトリー。ここも人気上位3頭による順当な結末でした。
勝馬を管理するのは、これが今シーズンG戦19勝目となるデール・ロマンス師。このレースは2004年のハロリー・レイ Halory Leigh に続く2勝目となります。鞍上はジョエル・ロザリオ。アフリーティング・レディーは、前走ターン・バック・ジ・アラーム・ハンデ(GⅢ)優勝時のレポートでも紹介したように、前々走で初ステークス、前走のG戦初勝利に続く3連勝。明日のクラーク・ハンデ(GⅠ)でラスト・ランを迎えるプリークネス・ステークス勝馬シャックルフォード Shackleford の妹に当たる血統であることも既に紹介済みですね。
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