今年もシャンティーでトライアル3鞍

4月の第3日曜日、愈々フランスにもクラシック・レースが近づき、シャンティー競馬場では3鞍のトライアルG戦が行われました。全てロンシャン競馬場が工事中の措置で、去年と同じスケジュールです。

馬場は good 、最初はギニーのトライアルとして伝統のある2鞍から、先ず牡馬のためのフォンテンブロー賞 Prix de Fontainebleau (GⅢ、3歳牡、1600メートル)。7頭が出走し、2歳シーズンをリステッド戦(フランソワ・ブータン賞)を含む2連勝で締め括っていたファーブル厩舎のザーリノ Xaarino が23対10の1番人気。これがシーズン初戦となる2頭の内の1頭です。
最低人気(31対1)のグレイウェイ Greyway が逃げましたが、押し出されるような形で鞍上は手綱をガッチリ抑えたまま、フランスでは良くあるパターンです。2番手の外に付けていた3番人気(4対1)のスポーティファイ Sportify が堪らず300メートルで前を捉えて先頭で最後の1ハロンを迎えましたが、スタートで出遅れて最後方を走っていた4番人気(41対10)のブラムトー Bramtot が一気に末脚を爆発、3番手から間を衝いた5番人気(22対5)のスタンニング・スピリット Stunning Spirit に2馬身半差を付ける快勝です。人気のザーリノは後方、一旦は最後方まで下がってからの追い上げでしたが5着に終わる波乱となりました。

勝ったブラムトーはジャン=クロード・ルジェ厩舎、クリスチャン・デムーロ騎乗で、この馬もこれがシーズン初戦。去年はドーヴィルの1200メートルでデビュー勝ちし、同じドーヴィルで1500メートルのリステッド戦(エトレアム賞)に連勝。更にドーヴィルの1600メートルで2着となった後、ボルドーのリステッド戦(クリテリウム・ド・ボルドー)を1番人気で制していました。
父ラジサマン Rajsaman は2010年のフォンテンブロー賞勝馬で、父子制覇したことになります。ルジェ師、デムーロ騎手共にこのレースは初勝利。

次は牝馬によるグロット賞 Prix de la Grotte (GⅢ、3歳牝、1600メートル)。こちらは6頭立てで、去年のマルセル・ブーサック賞(GⅠ)で4着した実績が評価されたセンガ Senga がイーヴンの1番人気。彼女もこれがシーズン初戦です。
好ダッシュで逃げ宣言をしたのは、やはり最低人気(31対1)のラ・サルダーヌ La Sardane 、残り300メートルまで先頭で頑張ります。ここで抜けてきたのが、4番手で待機していた本命センガ、粘るラ・サルダーヌを1馬身抑えて人気に応えました。後方2頭の内の1頭に控えていた2番人気(29対10)のレディー・フランケル Lady Frankel が追い込んで、半馬身差の3着。

2005年のディヴァイン・プロポーションズ Divine Proportions 以来のグロットしよう2勝目となるパスカル・ベイリー師が管理するセンガは、ドーヴィルの1500メートルでデビューして2着、2戦目にサン=クルーの1600メートル戦で初勝利を挙げ、マルセル・ブーサック賞に挑戦していました。鞍上はデビューからコンビを組んでいるステファン・パスキエで、グロット賞は初勝利。余談ですが、グロット賞は2001年に武豊がゴドルフィンの馬で勝ったこともあります。
センガは英仏両1000ギニーに登録があり、ニューマーケットの1000ギニーのオッズはレース前の20対1から14対1に上がりました。陣営では英国遠征か、フランスに留まるかは未定とのこと。未だ焦って決めることも無いでしょう。

最後は英仏ダービーのトライアルでもあるノアイユ賞 Prix Noailles (GⅢ、3歳、2100メートル)。7頭立ての内3頭がアンドレ・ファーブル厩舎の馬で、中でもディープインパクト産駒で2戦2勝、去年のシェーヌ賞(GⅢ)を制したアキヒロ Akihiro が2対5の断然1番人気に支持されており、日本のファンも大注目です。
逃げたのはアキヒロと同じウェルザイマー兄弟の所有馬で、ペースメーカーを務める6番人気(38対1)のガリパッド Galipad 。一旦は他馬に交わされて2番手に下がりましたが再びリードを奪う頑張り。アキヒロは後方3番手で前がバテるのを待ちましたが、4番手の外に付けていた2番人気(29対10)のソレイユ・マリン Soleil Marin が残り1ハロンで先頭。これを目指してアキヒロが追い上げて一旦は交わしましたが、最後の50ヤードで再びソレイユ・マリンが差し返し、最後はソレイユ・マリンがアキヒロを頭差抑えての逆転劇です。1馬身半差で3番手を進んだ3番人気(71対10)のノルマンディー・イーグル Normandy Eagle が3着。

終わって見れば勝ったソレイユ・マリンもアンドレ・ファーブル師の管理馬で、ファーブル厩舎はワン・ツー・フィニッシュ。師はこのレース、断トツの11勝目となりました。勝馬に騎乗していたのは、このレース初勝利のミケール・バルザロナ。
ソレイユ・マリンはクレールフォンテンでの1400メートルのデビュー戦が4着。2戦目、距離伸びたドーヴィルの1900メートルで初勝利を挙げると、サン=クルーの2000メートル条件戦を連勝してシーズンを終了。今期も3月のサン=クルーで2100メートルのリステッド戦(フランソワ・マテ賞)に勝ち、4連勝でG戦初勝利を飾りました。
ファーブル厩舎でも、こちらはゴドルフィンの所有馬。英ダービーか仏ダービーか、現時点では厩舎情報が入ってきていません。アキヒロも今期初戦を考えれば好レースで、ファーブル師の決断を待ちましょう。

 

 

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