2017クレイヴァン開催2日目

フランスとアイルランドの平場G戦が次々と行われていく中、イギリス独りが中々本格的な平場シーズンを迎えていませんでした。障害レース好きな英国は、チェルテナムの障害レースの祭典とエントリーのグランド・ナショナルが終わらないと平場には目を向けないのですね。
ということで漸く今週、ニューマーケット競馬場で恒例のクレイヴァン・ミーティングが始まりました。ここで施行される4鞍のG戦が、英国平場シーズで最初に行われる芝コースのパターン・レースということになります。
開催そのものは火曜日(18日)からの3日間ですが、初日はG戦はありませんでした。今までは開催3日間に振り分けられていたG戦、今年は初日のアール・オブ・セフトンが2日目にズレたため、このパターンとなったワケ。

さて4月19日、ニューマーケット競馬場最初のG戦はアール・オブ・セフトン・ステークス Earl Of sefton S (GⅢ、4歳上、1マイル1ハロン)。馬場は good to firm とこの時期にしては乾いており、1頭が取り消しての7頭立てとなりました。今年既にドバイで実戦を積んできたゴドルフィンの2頭に注目が集まり、中でもハンデ戦に勝って現地のGⅠ戦でも2着したフォークスウッド Folkswood が5対2の1番人気。
そのフォークスウッドはスタートから積極的に飛ばし、そのまま逃げ切るかに見えましたが、3番手を進んでした6番人気(10対1)のスティール・オブ・マドリッド Steel Of Madrid が3ハロン地点で2番手に上がり、残り1ハロンで本命馬を捉えると半馬身差を付けて快勝。中団を進んだ3番人気(11対2)でケンブリッジシャー・ハンデ勝馬のスパーク・プラグ Spark Plug が4馬身差の3着に入りました。

勝ったスティール・オブ・マドリッドは、リチャード・ハノン厩舎でパット・ダブス騎乗。去年も春のニューマーケットでリステッド戦に勝っている4歳馬で、ドーヴィルのGⅡ戦(ギョーム・ドルラーノ賞)では仏ダービーとチャンピオン・ステークスを制したアルマンザー Almanzor の5着に入った実績もあります。
1マイル4ハロンでも好勝負出来るタイプですが、やはり距離は少し短い方が適していて、今回はそれを証明する結果となりました。

この日のもう一鞍が、第4レースととして行われたネル・グィン・ステークス Nell Gwyn S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)。もちろん1000ギニーのトライアルで、11頭が参戦。去年のチーヴリー・パーク・ステークスでワン・ツーとなったオブライエン厩舎の2騎が注目で、勝って3ポンドのペナルティーを背負うブレイヴ・アンナ Brave Anna より、2着でライアン・ムーアが選んだロリー・ポリー Roly Poly が7対2で1番人気。フランスから態々アンドレ・ファーブル師が送り込んだ1戦1勝のパンプルムース Pamplemousse (フランス語でグレープフルーツの意味)も4対1と2番人気に支持されていました。
4番人気(6対1)でオー・ソー・シャープ・ステークス(GⅢ)の勝馬ポエツ・ヴァニティー Poet’s Vanity が逃げて粘るところ、先行していた7番人気(14対1)のアンフォーゲッタブル・レディー Unforgetable Filly が残り1ハロンで先頭。しかしここに急襲してきたのが中団に待機していた6番人気(12対1)のダバン Daban で、アンフォーゲッタブル・レディーを一気に4分の3馬身突き放しての鮮やかな差し切り勝ち。
粘ったポエツ・ヴァニティーが1馬身4分の1差で3着に粘り、人気のロリー・ポリーは2番手に付けたものの行き脚が鈍く、7着惨敗。5番人気(13対2)だったブレイヴ・アンナも10着と期待を裏切りました。更に、パンプルムースも4着と期待ほどには走らなかったようです。

勝ったダバンは、このレース5勝目となるジョン・ゴスデン師の管理馬で、やはりこのレース4連覇と強いランフランコ・デットーリ騎乗。ゴスデン師は去年、このレースをナスラ Nathra で制しており2連覇。更にこの日、最後のダ6・7レースも制してハットトリックを達成する絶好調の一日となりました。
ダバンは去年11月にケンプトンのオールウェザー・コースで新馬勝ちしたのみ。1000ギニーのオッズは、レース前の40対1から一気に16対1に上昇しています。もしネル・グィンから1000ギニーを制すれば、2006年のスペシオザ Speciosa 以来のこととなります。
GⅢ勝馬シクリヤート Thikriyaat の半妹に当たる血統で、ゴスデン/デットーリのコンビで臨むクラシックでは侮れない1頭でしょう。

以上が2日目の結果ですが、二つのG戦の前にも注目されるクラシック・トライアルがありました。7頭立てで行われたリステッド戦のフリー・ハンデキャップ(7ハロン)。
これを鮮やかに逃げ切ったのがエイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗のホワイトクリフスオブドーヴァー Whitecliffsofdover で、2番人気(100対30)、2馬身4分の3差でした。
去年のジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)で3着した馬で、英2000ギニーには登録が無いため、出走には追加登録料が必要。コストを掛けてニューマーケットに向かうか、フランスに回るか、陣営の決断にも注目です。

 

 

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