2017クレイヴァン開催3日目
前日に引き続き、英国では今年最初の本格的な平場開催となるニューマーケット競馬場のクレイヴァン開催です。3日目にして最終日、メインは2000ギニーのトライアルであるクレイヴァン・ステークスですが、その前に。
先に行われたのは今期のスプリント路線の皮切りとなるアバーナント・ステークス Abernant S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。前日と同じ good to firm の高速馬場に1頭が取り消して6頭立て。ここは去年のチャンピオン開催でブリティッシュ・チャンピオンズ・スプリント(GⅠ)で3着したブランド Brando の実績が断然で、イーヴンの1番人気。
ムーアが騎乗した5番人気(9対1)のオーネイト Ornate が飛ばし、ゴール前2ハロンでは他馬が付いて行くのがやっとという逃げっぷり。しかし4番手で満を持していた本命ブランドに漸くエンジンが掛かると一気に差を詰め、ゴールではオーネイトを1馬身差し切って見事人気に応えました。5番手から追い上げた2番人気(5対1)のウインドファスト Windfast が2馬身差の3着。
ケヴィン・ライアン厩舎、トム・イーヴスが騎乗したブランドは、これが去年7月サンダウンのザ・スプリント・ステークス(GⅢ)に続くG戦2勝目となる5歳馬。そのあとナンソープ・ステークス(GⅠ)はGⅠの壁に阻まれて9着と奮いませんでしたが、エアの短距離ハンデ戦エア・ゴールド・カップ(6ハロン)に快勝して再挑戦したアスコットのGⅠ戦で3着。確実に力を付けているスプリンターと見て良いでしょう。
次走は5月のダンテ開催で行われるデューク・オブ・ヨーク・ステークス(GⅡ)を予定しており、ロイヤル・アスコットではキングズ・スタンド・ステークスでGⅠ獲りと5ハロンへの挑戦が目標になりそうです。
そして、開催の目玉でもあるクレイヴァン・ステークス Craven S (GⅢ、3歳牡せん、1マイル)。今年もGⅠ馬、GⅡ馬が揃うハイレヴェルの7頭立てとなり、オブライエン/ムーア・チームで去年7月グッドウッドのヴィンテージ・ステークス(GⅡ)優勝以来となるウォー・ディクリー War Decree が9対4の1番人気。去年10月のレーシング・ポスト・トロフィー(GⅠ)を逃げ切ったリヴェット Rivet が11対4の2番人気で続いていました。
ニューマーケットはコースが広いため、得てしてレースはスタンド側のラチ沿いを選ぶグループと、スタンドからは遠い外ラチ選択グループの二手に分かれる傾向があります。枠順の若い順に遠い側から並びますので、この日も1番枠から3番枠までの3頭が馬場中央からスタンド側を走り、4番枠から7番枠までの4頭がスタンド側に纏まりました。
遠い側は6番人気(25対1)のガリヴァー Gulliver が引っ張り、ウォー・ディクリーが2番手。一方のスタンド側は、リヴェットがいつものように逃げ作戦。スタンドからは良く判りませんが、2ハロン地点ではスタンド側が有利に進んでいるのがハッキリしてきます。
結局はスタンド側を逃げたリヴェットを2番手でマークしていた5番人気(8対1)のエミネント Eminent が抜け、そのままリヴェットに1馬身4分の3差を付ける逆転勝ち。同じくスタンド側を追走していた3番人気(4対1)のベンバトル Benbatl が首差の3着に入り、スタンド側の4頭が1着から4着までを独占。遠い側を選んだ(選ばざるを得なかった)3頭が5着以下で、人気のウォー・ディクリーは6着に沈んでしまいました。
勝ったエミネントは、去年10月に同じニューマーケットの1マイル戦でデビュー勝ち(2馬身4分の3差で)しただけの馬。これで2戦2勝、GⅠ馬を差し切って彗星の様にギニー候補に挙がってきました。管理するのはマーチン・ミアード師、騎乗していたのは去年のチャンピオン・ジョッキー、ジム・クロウリーです。
何と言っても父がフランケル Frankel という血統で、2000ギニーのオッズはレース前の25対1から10対1へと急上昇。レース内容からして距離が更に伸びても問題なさそうで、2000ギニーをステップに更にその先、という夢も膨らみました。
人気で敗れたウォー・ディクリーは、去年のグッドウッドのあと調子を崩したため無理をせず、この日はほぼ9か月振りの実戦。レース後の様子見という状況でしょう。2着のリヴェットは2歳時から平坦コース向きの馬で、やはりニューマーケットの坂が敗因かも。2000ギニーの可能性は消えてはいませんが、より平坦なアイルランドかフランスに向かう公算が大きいのではないでしょうか。
いずれにしても2000ギニーは来月の6日。ほぼ2週間でいきなりクラシック本番となる英国は、馬の能力を比較するのが滅茶苦茶難しいのが正直なところですね。
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