ダービー2週前のアメリカ競馬
アメリカ競馬、今週はダービー2週前とあって、土曜日に各地の競馬場で散発的にG戦が5鞍行われただけでした。静かな週末、こちらも淡々とレポートしておきましょう。
先ずキーンランド競馬場からは、芝の長距離戦エルクホーン・ステークス Elkhorn S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。雨で渋った yielding の馬場で3頭が取り消しての8頭立て。前走サンタ・アニタで芝長距離のサン・ルイス・レイ・ステークス(芝GⅡ)を制したイッツインザポスト Itsinthepost が5対2の1番人気。
大外から出た7番人気(14対1)のチョコレート・ライド Chocolate Ride が逃げましたが、3番手で追走したイッツインザポストが第3コーナーで早くもこれを捉え、最後方から追い込む4番人気(6対1)のチャーミング・キッテン Charming Kitten に1馬身4分の1差を付けて人気に応えました。2番手を追走した微差2番人気(5対2)のビッガー・ピクチャー Bigger Picture が首差の3着。
ジェフ・マリンズ厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のイッツインザポストは、去年11月まではアローワンス戦にばかり走っていた5歳せん馬ですが、今期は4戦連続してG戦に出走、2着を二度続けた後、前走サンタ・アニタでG戦初勝利。これでG戦に連勝です。プロフィールは3月26日の日記をご覧ください。
次はウエスト・ヴァージニアのチャールズ・タウン競馬場に行きましょうか。この競馬場で行われるG戦は春と秋一鞍づつですが、春に行われるのがチャールズ・タウン・クラシック Charles Town Classic (GⅡ、4歳上、9ハロン)。こちらも雨で馬場は sloppy と泥んこ状態。それでも取り消し無く8頭が出走し、前年の覇者スタンフォード Stanford が2連覇を掛けて6対5の1番人気。
最低人気(84対1)のコーシャス・ジャイアント Cautious Giant が逃げ、スタンフォードは2番手でマーク。逃げ馬を交わして一旦は先頭に立ったスタンフォードでしたが、直線で一杯、替わって6番手に付けていた4番人気(5対1)のインペラティヴ Imperative が追い込み、3番手から伸びた5番人気(8対1)マット・キング・コール Matt King Coal との接戦を首差制して優勝。4番手を進んだ3番人気(7対2)のウォー・ストーリー War Story も首差で3着に入る大混戦で、スタンフォードは5着に沈みました。
ロバート・ヘス厩舎、これがこのレース3勝目となるハヴィエル・カステラノ騎乗のインペラティヴは、チャールズ・タウン・クラシックの常連となる7歳せん馬。2014年に4歳馬としてこのレースに勝ち、5歳時は2着、去年も4着していて、これでレース史上2頭目の2度勝った馬となりました。G戦そのものも2014年に続いて2勝目で、2014年の師走には中京のチャンピオンズ・カップに参戦(15着)したことを覚えているファンもいるでしょう。前走サンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)は9着でしたが、その前はガルフストリームで一般ステークス(ポセイドン・ハンデ)に勝っていました。目標は6月20日のメトロポリタン・ハンデ(GⅠ)と、未だ未だ意気盛んなヴェテランです。
続いてイリノイ州、ホーソン競馬場で行われたイリノイ・ダービー Illinois Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)。去年は施行されず、2年振りのレースとなります。7頭が出走し、前走サンランド・ダービー(GⅢ)で3着したヘッジ・ファンド Hedge Fund が9対5の1番人気。
ここも最低人気(18対1)のスタンド・アンド・チアー Stand and Cheer が逃げ、ヘッジ・ファンドは2番手追走。直線で予定通りヘッジ・ファンドが先頭に立ちましたが、5番手を進んでいた3番人気(4対1)のマルチプライアー Multiplier が外から一気に追い上げ、ゴール寸前で本命馬を頭差捉えていました。4番手から伸びた6番人気(7対1)のイッツ・ユア・ニッケル It’s Your Nickel が4馬身4分の3差で3着。
ブレンダン・ウォルシュ厩舎、ジェームズ・グレアム騎乗のマルチプライアーは、前走フェア・グラウンズで、3戦目て初勝利を挙げたばかり。3着・2着と徐々に着順を挙げ、ステークス初挑戦で「ダービー」馬となりました。
土曜日最後は、サンタ・アニタ競馬場の2鞍。先に行われたサン・ファン・カビストラーノ・ステークス San Juan Capistrano S (芝GⅢ、4歳上、14ハロン)は、GⅢに降格されて3年目となる芝のマラソン・レース。firm の馬場に6頭が出走し、前走サン・ルイ・レイ・ステークス(芝GⅡ、イッツインザポストが制したレース)で2着したシンタックス Syntax が4対5の1番人気。同じ日にキーンランドで快勝したイッツインザポストに続きたいところ。
5番人気(23対1)のランナソーラス・レックス Runasaurus が逃げ、シンタックスは6番手。直線、2番手から前を捉えた4番人気(10対1)のパワー・フット Power Foot と、外から追い上げるシンタックスの間を割る様にして伸びたのが、4番手を進んでいた2番人気(5対2)のインオーディネイト Inordinate 、最後はシンタックスにハナ馬身差を付ける差し切り勝ちでした。4分の3馬身差でパワー・フットが3着。
リチャード・バルタス厩舎、コーリー・ナカタニ騎乗のインオーディネイトは、ここまで11連敗中だった5歳牡馬。2歳時にフランスでデビューから2連勝して以来の勝鞍となりました。4歳でアメリカに転戦し、2走前にチャド・ブラウン厩舎からバルタス師の元に移り、もちろんアメリカでの初勝利。連敗中に一度1着で入線しましたが、その時は進路妨害で降着となっています。前走は因縁のサン・ルイ・レイで、この馬は7着でした。
昨日の最後はカリフォルニアン・ステークス Californian S (GⅡ、3歳上、9ハロン)。去年は5月22日の開催でしたから、1か月前倒してのレース。fast の馬場に1頭が取り消して5頭立て。去年プリークネス・ステークスに出走(10着)したこともある実力馬コレクテッド Collected が3対5の断然1番人気。
4番人気(8対1)プライム・アトラクション Prime Attraction の逃げを2番手でマークしたコレクテッド、第3コーナーでは早くも内から交わして先頭に立つと、3番手から追う2番人気(5対2)フォロー・ミー・クレフ Follow Me Crev に3馬身4分の3差を付ける楽勝で格の違いを見せ付けました。4番手を進んだ3番人気(6対1)のプロスペクト・パーク Prospect Park が1馬身半差の3着と順当。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のコレクテッドは、去年1月のシェイム・ステークス(GⅢ)、4月のレキシントン・ステークス(GⅢ)に続く三つ目のG戦勝利で、プリークネスを最後に3歳シーズンを終えていました。今期は4月1日にサンタ・アニタの一般ステークス(サンタナ・マイル・ステークス)に勝ってスタートし、これで2戦2勝、ステークスも連勝。5月27日にサンタ・アニタで行われるゴールド・カップでGⅠ戦初制覇を目指します。
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