ダービー直前の芝マイル戦3題

ケンタッキー・オークス、ケンタッキー・ダービーを1週間後に控えたアメリカ競馬は、恐らくアメリカでも年間を通じて最も静かな週末と言えそうです。マスコミが伝えるのはクラシック有力候補たちの動静ばかりで、これは日本でも同じことか。

ということで、4月29日の土曜日は全米でもG戦は3鞍のみ。しかも全てが芝コースのマイル戦とは、偶然も重なっているのでしょう。
先ず冬開催が終わって熱気が去った感のあるフロリダ、ガルフストリーム・パーク競馬場からはマイアミ・マイル・ステークス Miami Mile S (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)。映像を見ると、芝というより野原という印象で、馬場は一応 firm 。それでも3頭が取り消したところを見ると、競馬に適しているようには見えません。主役がいなくなったメンバーで3対5の1番人気に支持されたのは、前走2月のガルフストリーム・パーク・ターフ・ハンデ(芝GⅠ)で(進路妨害で4着から繰り上がって)3着したウォー・コレスポンダント War Correspondent
本命馬が内枠から好スタートを切りましたが、クラブハウス・ターンを回った所で外の4番人気(14対1)アプリケイター Appicator がハナを主張、譲って2番手に控えます。直線に向いて直ぐ、外からアプリケイターを捉えたウォー・コレスポンダントがそのまま1馬身差を付けて優勝。最高から追い込んだ3番人気(4対1)の10歳馬ラバッシュ Lubash がハナ差で3着に入っています。
クリストファー・クレメント厩舎、タイラー・ガッファリオーン騎乗のウォー・コレスポンダントは、2015年のアップルトン・ステークス(芝GⅢ)以来となる勝鞍で、G戦も2勝目となる7歳牡馬。と言ってもレース経験は未だ14戦5勝と少なく、例えば去年はG戦のみ3戦して全て4着以下でした。3歳時はフランスで走っていた(2勝)馬で、年齢以上に馬が若いと言えるでしょう。

続いてはカリフォルニアの2場。ゴールデン・ゲート競馬場で行われたサン・フランシススコ・マイル San Francisco Mile (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)は、firm の馬場に1頭が取り消して6頭立て。フロリダに比べれば遥かに走り易そうな馬場で、去年のこのレースの勝馬アラート・ベイ Alert Bay が3対5の1番人気。
先手を取ったのは、2番人気(5対2)のメニー・ロージズ Many Roses 。これを2番手で追走したアラート・ベイが直線でこれを捉えると、3番手から追い込む3番人気(7対1)で一昨年の勝馬ジー・ジー・ライダー G. G. Ryder に1馬身4分の1差を付けて見事2連覇達成です。今回の1・2着馬でこのレース3勝という結果になりました。ハナ差で逃げ粘ったメニー・ロージズが3着。
ブレイン・ライト厩舎、フアン・ヘルナンデス騎乗のアラート・ベイは、これがアメリカのG戦4勝目となる6歳せん馬。去年のこのレースの他、4歳時にはシティー・オブ・ホープ・マイル(芝GⅡ)、3歳時にもマティス・ブラザーズ・マイル(芝GⅡ)に勝っており、芝の1マイルに滅法強い馬。3歳時にはブリティッシュ・コロンビア・ダービーなどカナダのG戦にも2勝しており、前走ゴールデン・ゲートのアローワンス戦に勝っての連勝でもあります。

最後はサンタ・アニタ競馬場のサンダー・ロード・ステークス Thunder Road S (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)。去年からGⅢに格上げされたレースで、去年は4歳上として4月9日に施行されていました。G戦としては2回目となる今年は、firm の馬場に7頭立て。2月にアルカディア・ステークス(芝GⅡ)を2連覇で飾ったボロ Bolo が6対5の1番人気。
2番人気(7対2)のソイヤーズ・ヒル Sawyer’s Hill が逃げ、ボロは2番手でマーク。直線、逃げ馬を捉えてボロが先頭に立ちましたが、後続馬が追い上げて大混戦。前半は後方2番手で待機した5番人気(8対1)のファールハーン Farhaan が大外から一気に末脚を爆発させ、同じく後方3番手から伸びた3番人気(7対2)のパーフェクトリー・マジェスティック Perfectly Majestic に4分の3馬身差を付ける鮮やかな差し切り勝ちです。1馬身4分の1差でボロは3着。
フィリップ・ダマト厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のファールハーンは、今年からダマト師の管理下に加わり、これがG戦初勝利となる8歳牡馬。2・3歳時は英国で走り2勝し、ロイヤル・ロッジ・ステークス(GⅡ、5着)、ゴードン・ステークス(GⅢ、6着)に出走したこともありました。4歳からアメリカに転じ、アメリカでもこれが通算7勝目。一般ステークスに3勝していましたが、G戦は去年9月のバーナード・バルーク・ハンデ(芝GⅡ)4着が最高でした。8歳の今年は3月にサンタ・アニタのアローワンス戦で2着、叩き2戦目で念願のG戦奪取となりました。

 

 

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