ニューバリー、今年は無事に開催
今週本格的に平場シーズンが始まったばかりの英国、週半ばのニューマーケット・クレイヴァン開催に続いて、昨日の４月２２日はニューバリーでクラシック・トライアルを含むＧ戦３鞍が行われました。
ニューバリー競馬場の当開催、去年はコース冠水のためポリトラックのチェルムスフォード・シティー競馬場で代替され、クラシックとはほとんど無縁のレースとなってしまいましたが、今年は天候も良く、 good to firm の馬場で無時に開催されています。
この日は一日８レースで、Ｇ戦は第１レースから第３レースまで立て続けというのが日本とは異なる習慣でしょう。その先陣を切って行われたのが古馬の長距離戦、ジョン・ポーター・ステークス John Porter S (ＧⅢ、４歳上、１マイル４ハロン５ヤード)。近年は別のレース名になっていますが、伝統的にこの名前で紹介します。
馬場状態を嫌って１頭が取り消しての８頭立て。去年のダンテ・ステークス(ＧⅡ)５着のあと故障し、秋に復帰して２戦をこなしたミッドターム Midterm が３対１の１番人気に支持されています。スタウト師は古馬再生の名匠として知られ、鞍上はライアン・ムーア。
６番人気(１２対１)のディラン・マウス Dylan Mouth が馬群からポツンと離れる逃げを打ちましたが、中団を進んだ２番人気(９対２)のケミカル・チャージ Chemical Charge が残り２ハロンから抜け、同じく先行から伸びた同じ２番人気のムンタハー Muntahaa との叩き合いに。最後は内のムンタハーが外のケミカル・チャージに首差を付けていました。１馬身４分の１差で６番人気(１２対１)のセカンド・ステップ Second Step が３着に入り、ミッドタームは後方から若干伸びたものの５着まで。
勝ったムンタハーは今期絶好調のジョン・ゴスデン師が管理する４歳馬で、ジム・クロウリー騎乗。去年のセントレジャーで２番人気に推されて４着だった馬と言えば思い出す方も多いでしょう。３戦目にケンプトンの１マイル半で初勝利を挙げ、ロイヤル・アスコットではキング・エドワード７世ステークス(ＧⅡ)で３着。続いてチェスターで長距離のハンデ戦に勝って臨んだのがセントレジャーでした。
今期は既に４月２日、ドンカスターの条件ステークスで一叩きされており、その時は今回も争ったケミカル・チャージの３着でしたが、４歳の２戦目でＧ戦初勝利。今期も長距離Ｇ戦の常連になっていくでしょう。
続いて第２レースのフレッド・ダーリング・ステークス Fred Darling S (ＧⅢ、３歳牝、７ハロン)。１１頭が出走し、前のレースで管理馬が勝っているゴスデン厩舎のダブヤー Dabyah が６対４の１番人気。去年秋にフランスに遠征し、マルセル・ブーサック賞(ＧⅠ)で３着した実績は伊達じゃありません。
そのダブヤー、好スタートを決めると、そのまま逃げ切って実力と人気を証明して見せました。先行から本命馬を追った７番人気(２５対１)のアーバン・フォックス Urban Fox が１馬身４分の１差で２着、３番手を進んだ３番人気(８対１)のプロマイジング Promising が４分の３馬身差でそのまま３着に粘っています。
管理するジョン・ゴスデンは、いきなりのＧ戦ダブル。実はこのあと第７レースも勝ってハットトリックを達成しています。先のクレイヴァン開催では６勝し、この日も３鞍とフライング・スタートを切った幸運の年と言えそうです。こちらは名手ランフランコ・デットーリの騎乗。
ダブヤーは去年、ニューマーケットの７ハロンでデビュー勝ちし、続くニューバリーの７ハロン条件ステークスを連勝。無敗でフランス遠征し、これが今期初戦でのＧ戦初制覇となりました。早速１０００ギニーに１０対１(レース前は１４対１)のオッズが出されましたが、同じオーナーでゴスデン厩舎、先日ネル・グィン・ステークスを快勝したダバン Daban との兼ね合いが難しそう。
オーナーの意向も配慮すると、ダバンは英１０００ギニーに、既にフランス経験のあるダブヤーは仏１０００ギニーにと、２頭共にクラシック制覇という虫の良い構想を練っているのかもしれません。
ニューバリー最後のＧ戦は、あのフランケル Frankel もステップにしたグリーナム・ステークス Greenham S (ＧⅢ、３歳牡せん、７ハロン)。ここは１０頭が参戦し、ゴドルフィンの所有馬で共に１戦１勝の２頭が人気を分け合っていました。９対４で１番人気となったドリーム・キャッスル Dream Castle は４月２日にドンカスターの７ハロンで新馬勝ちしたばかりで、そのフランケル産駒ということで人気を集めたのでしょう。もう一方のバーニー・ロイ Barney Roy は去年新馬勝ちした直後にゴドルフィンが購入したもので、５対２の２番人気。
最初は６番人気(２０対１)のヴィア・セレンディピティー Via Serendipity が逃げましたが、２ハロン地点からは人気２頭のマッチ・レース。先手を取ったドリーム・キャッスルがそのまま押し切るかに見えましたが、最後はバーニー・ロイが本命馬を２馬身抑えての快勝でした。中団から伸びた３着、４番人気(８対１)のザインホム Zainhom は４馬身離されていました。ゴドルフィンの２強によるワン・ツー・フィニッシュです。
本命馬はサイード・ビン・スロール厩舎ですが、勝ったバーニー・ロイはリチャード・ハノン厩舎、ジェームス・ドイル騎乗。上記の様に去年、ヘイドックの１マイルで新馬勝ちし、これが今期初戦でした。２０００ギニーのオッズはレース前の１６対１から一気に６対１へと上昇し、ハノン師はダービー距離にも問題はないと夢を膨らませています。
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