ロイヤル開催前のアスコット

今週の英国競馬は愈々ギニー開催となりますが、その前、5月3日にはアスコット競馬場でG戦が2鞍行われました。もちろん6月のロイヤル・アスコットで行われるGⅠ戦へのトライアルと言えるGⅢです。

goot to firm の馬場、先ずサガロ・ステークス Sagaro S (GⅢ、4歳上、2マイル)は当然ながらアスコット・ゴールド・カップに向かう馬たちの試走で、多くがシーズン初戦を迎えます。
1頭が取り消して7頭立てとなり、7対2の1番人気には2頭が並んでいました。その2頭は何れも古豪ステイヤーで、8歳馬パラセイター Pallasator は一昨年のこのレースでは8着凡走、去年の終戦ロワイアル・オーク賞(GⅠ)でも8着に終わっていましたが、一昨年のドンカスター・カップ(GⅡ)と去年のヘンリー2世ステークス(GⅢ)に勝った馬。
もう1頭は7歳馬のニアリー・コート Nearly Caught で、去年ドーヴィルでケルゴレー賞(GⅡ)に勝ち、カドラン賞(GⅠ)3着。アスコットのブリティッシュ・チャンピオンズ・ロング・ディスタンス・カップ(GⅡ)では5着だった馬です。去年のセントレジャー馬ハーバー・ロウ Harbour Law も参戦してきましたが、GⅠ勝ちのペナルティー7ポンドが不安視されて11対2の4番人気。

レースは人気の一角ニアリー・コートがスローペースで逃げましたが、2番手を追走した同厩の5番人気(15対2)スイート・セレクション Sweet Selection が残り1ハロンで寮馬を捉えると、3番手から追う6番人気(10対1)のプリンス・オブ・アラン Prince Of Arran に1馬身半差を付けて優勝。4分の3馬身差でニアリー・コートが3着に粘り込み、パラセイターは5着、ハーバー・ロウも7着最下位と奮いませんでした。
1・3着は共にハギー・モリソン師の管理馬で、勝馬にはシルヴェストル・ド・スーザが騎乗していました。モリソン師はこのレース3勝目、先週もフランスの長距離戦バルべヴィユ賞(GⅢ)をマルメロ Marmelo で制しており、優れたステイヤーを多く擁している厩舎です。
これがG戦初勝利のスイート・セレクションは昨シーズンをセザレウィッチ・ハンデ優勝で締め括った5歳牝馬で、当然ながらゴールド・カップに向かいます。オッズはレース前の33対1から16対1に上昇。もし牝馬がゴールド・カップに勝てば、戦後では4頭目、2013年のエスティメート Estimate 以来の快挙となります。

続いては、コモンウェルス・カップのトライアルとなるパヴィリオン・ステークス Pavilion S (GⅢ、3歳、6ハロン)。新設されたコモンウェルス・カップに合わせて一昨年からGⅢに格上げされたレースで、コースも距離もGⅠ戦と全く同じという絶好のトライアルです。
2頭の取り消しがあって10頭立て。前評判では、2歳時にG戦勝した2頭のマッチレース。ジムクラック・ステークス(GⅡ)に勝ったゴドルフィンのブルー・ポイント Blue Point が13対8の1番人気、2戦目に未勝利ながらミル・リーフ・ステークス(GⅡ)を制したハリー・エンジェル Harry Angel が7対2の2番人気で続き、3番人気は7対1と2強対決との評価でした。

レースも人気通り。馬場の中央を先行していたブルー・ポイントが、スタンド側を先行していたハリー・エンジェルを1馬身半差抑えて期待に応えました。3着は馬場の中央を選んだ5番人気(10対1)のムブタシム Mubtasim で、2着との着差は同じく1馬身半。
チャールズ・アップルビー厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗のブルー・ポイントはジムクラックのあとミドル・パーク・ステークス(GⅠ)で2着、デューハースト・ステークス(GⅠ)でも3着しており、この時点で短距離路線を歩むことを決定。コモンウェルスに直行するとのことです。デューハーストではチャーチル Churchill との着差はほぼ2馬身。デューハーストの結果が正統だったことを証明した形で、2000ギニーでのチャーチル本命は動かないところでしょう。
一方2着のハリー・エンジェルは、これが未だ3戦目と経験の浅い馬。もう一つのコモンウェルス・トライアルであるヘイドックのサンディー・レーン・ステークス(GⅡ)を使ってロイヤル・アスコットというローテーションになりそうです。

 

 

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