オブライエン、8度目の2000ギニー!

今日は早速2000ギニーから始めましょう。今年はカレンダーの関係から例年より数日遅く、5月6日が本番でした。ニューマーケット競馬場は good to firm 、クラシックの前に2鞍のG戦が行われていましたが、それは後回しにして先ず今年最初のクラシックから行きましょう。

2000ギニー・ステークス 2000 Guineas S (GⅠ、3歳牡牝、1マイル)は、事前に枠順を紹介したように10頭立て。前評判も4強で、冬場からずっと本命の座を守ってきたチャーチル Churchill が6対4の1番人気。不安があるとすれば、これがシーズン初戦であることと、2歳から3歳にかけて順調に成長しているか、ということでしょうか。
今年になって頭角を現してきた3頭の無敗馬が相手で、グリーナム・ステークスを勝って2戦2勝のバーニー・ロイ Barney Roy が7対2で2番人気。同じく2戦2勝、クレイヴァン・ステークス勝馬のエミネント Eminent が5対1で3番人気、フランスから遠征してきた3戦無敗のアル・ヴケイア Al Wukair は11対2の4番人気と順当な評価でしょう。

出走馬が10頭ということもあり、レースは終始ほぼ一団。6番人気(14対1)で本命馬のペースメーカーを務めるドンナチャ・オブライエン騎乗のランカスター・ボンバー Lancater Bomber が逃げ、チャーチルはこれを見ながら4番手辺り。ペースメーカーは丁度馬1頭分のスペースを空けてスタンド側を逃げ、3番枠スタートのライアン・ムーアは本命馬を徐々にスタンド側に寄せ、この空間に進路を取ってラチ沿いに抜け出します。
一方ライヴァルたちは馬場の中央所から機を窺い、後方3頭の中で我慢していたアル・ヴケイアは外に出して末脚に賭けます。坂を上って早目に抜け出したチャーチル、3頭の2着争いに1馬身差を付けて堂々の戴冠でした。中団から追ったバーニー・ロイが、首差で後方一気のアル・ヴケイアを抑えて2着。頭差でランカスター・ボンバーが4着に粘る大健闘を見せ、ゴドルフィンの5番人気(8対1)ドリーム・キャッスル Dream Castle が5着、エミネントは中団で伸びず6着に終わりました。

チャーチルについては改めて紹介することも無いでしょう。これが三つ目のGⅠ戦制覇で、デビュー戦3着の後は6連勝となりました。管理するエイダン・オブライエン師は、2000ギニー8勝目で歴代単独で首位に立ちました。去年までは19世紀にジョン・スコット師が打ち立てた7勝と並んでいましたが、これで前人未到の領域です。
騎乗したライアン・ムーアは、一昨年のグレンイーグルス Gleneagles に続いて2勝目。

早速話題になっているのが、チャーチルの次走。選択肢は3本あって、一つはダービー、そしてロイヤル・アスコットのセント・ジェームス・パレス・ステークス。もう一つが地元に戻って愛2000ギニーというもの。この時点でオッズは、ダービーが4対1(レース前の5対1から)、アスコットが6対4(3対1)、愛ギニーは4対6(7対4)となっています。
オブライエン厩舎では、担当するラッドたちが合議の上でローテーションを決めていく仕組みのようで、オブライエン師もオーナー・サイドもアドヴァイスという立場のようですね。彼らがどう判断するか。ただオブライエン師は、チャーチルは常にリラックスして走るタイプ。ガリレオ Galileo 産駒でスタミナに欠けるのは極めてレアなこと、とも発言していました。血統面はいずれプロフィールを紹介しますが、母からスピード、父からスタミナという図式は確実なところでしょう。

2000ギニーは以上にして、続いて第2・第3レースとして行われたG戦を。
パレス・ハウス・ステークス Palace House S (GⅢ、3歳上、5ハロン)は当初16頭の登録がありましたが、去年の勝馬プロフィタブル Profitable が獣医の勧告があって取り消しての15頭立て。去年のアベイ・ド・ロンシャン賞(GⅠ)で僅差2着したオブライエン/ムーアのワシントン・ディーシー Washington Dc が100対30の1番人気に支持されていました。アベイを制したマーシャ Marsha もシーズン初戦を迎えていましたが、GⅠ勝ちのペナルティー7ポンドが負担となり、8対1の4番人気まで。

レースは14番人気(40対1)のジャスト・グラマラス Just Glamorous が逃げましたが、後方で待機したマーシャが徐々にポジションを上げ、残り2ハロンで先頭。ここに先行策から仕掛けたワシントン・ディーシーが猛追してマーシャに迫りましたが、最後は首差の2着。1馬身差で一昨年の勝馬ゴールドリーム Goldream (12対1、5番人気)が3着と気を吐いています。結果的には、去年のアベイ・ド・ロンシャン賞と同じワン・ツー。負担重量の差を計算すれば、マーシャが強かったということでしょう。
サー・マーク・プレスコット厩舎、ルーク・モリス騎乗のマーシャについては、去年のアベイを振り返ってください。4歳牝馬が7ポンドの不利を覆したというのは、英国競馬の生き字引の様なプレスコット師によれば、ロックソング Lochsong 以来のことじゃないか、とのことでした。キングズ・スタンド・ステークスに5対1のオッズが提示されています。アスコットでのワシントン・ディーシーとの3度目の対決が楽しみ。

最後は、今年のミドル・ディスタンス界を占うジョッキー・クラブ・ステークス Jockey Club S (GⅡ、4歳上、1マイル4ハロン)。金曜日の段階で有力馬のアクロス・ザ・スターズ Across The Stars が取り消してしまったため、6頭立て。牝馬とは言え去年の愛オークス、ヨークシャー・オークスを制したセヴンス・ヘヴン Seventh Heaven が4対7の断然1番人気に支持されていました。もちろん2000ギニーの本命となるチャーチルと同じオブライエン/ムーアのコンビです。
先ず3番人気(5対1)のガラピアット Galapiat が逃げましたが、2ハロン地点からは替わって4番人気(25対1)ピンゾロ Pinzolo が先頭。これを4番手で見ていたセヴンス・ヘヴンが残り2ハロンで先頭に躍り出ると、後方に控えていた2番人気(7対2)のワン・フット・イン・ヘヴン One Foot In Heaven に何と5馬身差を付ける圧勝で、クラシックの前祝としました。ピンゾロが1馬身4分の3差で3着。

セヴンス・ヘヴンはヨークシャー・オークスの後、ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリー・アンド・メア(GⅠ)で5着。更にアメリカに遠征してBCフィリー・アンド・メア・ターフ4着でシーズンを締め括っていました。今期は既にドバイのシーマ・クラシックに出走して2着しており、これがシーズン2戦目です。
コロネーション・カップに4対1、キングジョージにも7対1のオッズが提示されました。

 

 

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