アイルランドではガリレオ/オブライエンのワン・ツー・スリー

ニューマーケットで1000ギニーが行われているのと同じ時間、アイルランドのレバーズタウン競馬場ではクラシック・トライアルを含むG戦3鞍が行われていました。レース順に取り上げましょう。

馬場はこちらも good to firm 、最初のアメジスト・ステークス Amethyst S (GⅢ、3歳上、1マイル)は古馬のマイル戦で、6頭が出走し、9対4の1番人気には2頭が並びました。1頭は去年のジョエル・ステークス(GⅡ)に勝ったオブライエン厩舎の6歳馬クーガー・マウンテン Cougar Mountain 。もう1頭は去年のデスモンド・ステークス(GⅢ)勝馬のトライバル・ビート Tribal Beat 、こちらはボルジャー厩舎の4歳馬です。
逃げたのは英国から遠征してきた3番人気(9対2)のカスタム・カット Custom Cut 、そのまま速いペースで押し切り、2番手を追走した4番人気(5対1)のレイモンダ Raymonda に半馬身差を付けて見事に逃げ切りました。3番手を進んだクーガー・マウンテンがハナ差で3着に入り、トライバル・ビートは5着敗退。

勝ったカスタム・カットは、デヴィッド・オメーラ厩舎、ダニエル・タドホープ騎乗の古豪8歳せん馬で、これがG戦7勝目。前回の勝利は2015年のサンダウン・マイル(GⅡ)でしたから、2年振りの勝ち星となります。
2014年には5連勝したほどの堅実なタイプ、前走はサースクの条件戦での2着でした。因みに去年のこのレースにも出走していて、その時は8頭立ての8着と大敗しています。

続いてデリンスタウン・スタッド・1000ギニー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud 1000 Guineas Trial S (GⅢ、3歳牝、1マイル)。1000ギニーと同じ日にトライアルというのは、もちろんアイルランドの1000ギニーを視野に入れたもの。かと言って勝馬に愛1000ギニーへの優先出走権が与えられるわけではありません。
6頭が出走し、オブライエン厩舎からも2頭が参戦していましたが、100対30の1番人気に支持されたのはボルジャー厩舎の未勝利馬ビーン・フェーザ Bean Feasa 。前走レバーズタウン1000ギニー・トライアル(GⅢ)の5着という所がポイントで、この時の2着馬が同じ日に1000ギニーを制したウインター Winter でした。

オブライエン厩舎の4番人気(9対2)アスキング Asking が逃げましたが、2ハロン地点で先頭を奪ったビーン・フェーザがそのままアスキングに2馬身4分の3差を付けて優勝。3番手を進んだ最低人気(7対1)のシーズ・レンジャー Shes Ranger が1馬身半差で3着に入りました。
ジム・ボルジャー厩舎、ケヴィン・マニング騎乗のビーン・フェーザは、これが6戦目での初勝利。未勝利馬がいきなりG戦に勝つことは、ヨーロッパでは必ずしも珍しいことではありません。今期初戦のレバーズタウンは5着でしたが、前走ゴウラン競馬場の未勝利戦は2着。重馬場を徹底的に嫌う馬で、これまで未勝利だったのは馬場に恵まれなかったからです。実際前走も、レース直前で雨が降り出したために勝てなかったのだそうです。
愛1000ギニーにではなく、英オークスに20対1のオッズが出されました。

アイルランドの最後はデリンスタウン・スタッド・ダービー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud Derby Trial S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)。6頭が出走し、内3頭がオブライエン厩舎の馬。中でも1勝馬ながら去年のレーシング・ポスト・トロフィーで2着したユカタン Yacatan が13対8の1番人気。
レースは同じオブライエン厩舎の4番人気(7対1)ダグラス・マッカーサー Douglas Macarthur が逃げ、ユカタンは最後方。2番手を進んだ2番人気(9対4)がピッチを上げ、最後方から急襲するユカタンを加えた3頭の熾烈な叩き合いとなりましたが、最後はダグラス・マッカーサーがユカタンを頭差抑えて逃げ切ってしまいました。短頭差でカプリが3着。

終わって見れば上位3頭は何れもエイダン・オブライエン厩舎の馬で、3頭とも父はガリレオ Galileo 。何のことはない、オブライエン/ガリレオのワン・ツー・スリーという結果でした。この3頭、夫々の前走バリーサックス・ステークス(GⅢ)でも対戦していて、この時は3頭が全く同じ順番で2・3・4着していたもの。ユカタンがマッカーサーを逆転すると思われていましたが、今回も同じ着順だったわけ。勝馬に騎乗していたのはエメット・マクナマラ。もちろんムーアはニューマーケットで乗っていました。
このレースはオブライエン師にとっては11勝目。過去にはそのガリレオ Galileo (2001年)、ハイ・シャパラル High Chaparral (2002年)がエプサム・ダービーを制しましたし、2004年の勝馬イェーツ Yeats はゴールド・カップ4連覇を成し遂げた名ステイヤー。
ダグラス・マッカーサーは2歳時、2戦目で初勝利を挙げただけですが、2歳の最後はクリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)に挑戦して2着。今期の2戦目でG戦初勝利となりました。当然ながらダービー候補の1頭に上がり、オッズは40対1から半分の20対1にまで上がっています。

オブライエンさん、今年は2000ギニーをチャーチルで、ダービーはマッカーサーで、なんて考えていないでしょうね。何やら政治っぼくなって来ましたゾ。

 

 

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