サルビアホール 第76回クァルテット・シリーズ

関東地方の梅雨入りに合わせたように、鶴見サルビアホールのベートーヴェン・サイクルが始まりました。
6月のベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会と言えば、2011年にサントリーホールがチェンバー・ミュージック・ガーデンが企画をスタートさせて以来6年間続けてきました。
演奏団体は毎年交替し、パシフィカ、ヘンシェル、ボロメーオ、キュッヒル、ミロ、エクセルシオと襷を繋いできましたが、ご存知のように今年はサントリーホールが改修中のためベートーヴェン・サイクルはお休み。

そこで、企画継続の合意があったわけではないでしょうが、2017年のサイクルに鶴見のサルビアホールが名乗りを上げ、殆ど同じ時期に今年はロータス・カルテットが全曲演奏に挑戦することになったワケ。
6月8日から14日まで、間の土日は休んで5日間のマラソンとなります。その第1夜が昨日、開幕しました。

私も通常のシリーズ会員席で全会予約、通して聴く予定。ブログでは最後に纏めて報告、と思っていましたが、6月は他のカテゴリーも滅茶苦茶忙しく、後回しにしていては感想も薄れてしまうと思い直し、毎回簡単に曲目だけでも報告しておくことにしました。
第1夜は作品18の一気演奏。こんなスケジュールでした。

ベートーヴェン・サイクル2017≪第1夜≫

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第1番ヘ長調作品18-1
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第2番ト長調作品18-2
     ~休憩~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第3番ニ長調作品18-3
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第4番ハ短調作品18-4
     ~休憩~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第5番イ長調作品18-5
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第6番変ロ長調作品18-6

ロータス・カルテットは説明の必要もないでしょう。ファースト/小林幸子、セカンド/マティアス・ノインドルフ Mathias Neundorf 、ヴィオラ/山碕智子、チェロ/斎藤千尋。
このサイクルはシーズン24と通し番号が振られていますが、私の周りの客席はいつものシーズンの顔ぶれ。これに鶴見では珍客ながら東京の室内楽の演奏会では常連の諸氏が揃い、首都圏室内楽サミットの様相を呈していました。

いつもは淡いブルーかグリーンの4ページ仕立てで簡素なプログラムですが、今回は3つの団体(アサヒグループ芸術文化財団、日本室内楽振興財団、ロームミュージックファンデーション)からの助成が出ているということもあり、プログラムもカラー写真が載った8ページと豪華版。
解説も、音楽ジャーナリスト渡辺和氏による「ロータス・カルテット、ベートーヴェン全曲演奏を語る」と、「日本におけるベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏」の2本立てと力が入っています。

ベートーヴェン全曲のプログラミングは様々で、そこに団体の個性や意図が現れるものですが、ロータスは基本的には年代順によるサイクルとしているようです。初日は初期の6曲全曲ですが、ラズモフスキーの3曲を第3夜にしたのは、演奏上のスケジュールやスタミナを考慮したためでしょう。6曲の翌日にラズモ3曲では聴き手にも負担、懸命な配列だと思います。
とは言っても初日の6曲は時間的にも内容的にも相当にタフな一晩。定刻通り7時に始まって、終わったのは10時少し前という長丁場でした。
当初は終演後にサイン会を行う予定だったようですが、2度の休憩を挟んで全曲が終わると、ロビーはCD展示即売コーナーも片付けられ、テーブルも一切無し。時間を考えてサイン会は第2夜以降となったようで、多くの聴き手が脱兎の如く鶴見駅や京浜鶴見駅に飛んで行きました。

プログラムに書かれているように、“作品18を一晩で全曲演奏会というのを聴いたことがありませんので”とのことですが、個人的にはミロQで2度も経験していました。
経験者も初体験の聴き手も、休憩で軽食を摂る方、トイレに駆け込む方、“やっぱり、こうなりますか”とボヤく方など十人十色です。

私の感想は最後に纏めるとして、初日は“短期集中によって得られるであろう特別なエネルギーや緊張感、親近感、達成感などを分かち合える5日間”の出だし。先ずは緊張感が前面に出た作品18と聴きました。
全6曲とも提示部の繰り返しを省略し、速いテンポで一気呵成、一筆書きの如く弾き切った演奏が、その感を強めたものと思います。

 

 

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