フロラン・ジェルーのＧ戦ダブル
アメリカでは１０月９日の日曜日も戦が行われました。短期集中開催のキーンランドと、今年のブリーダーズ・カップの舞台となるサンタ・アニタです。
先ずキーンランド競馬場からは２鞍。先に行われたバーボン・ステークス Bourbon S (芝ＧⅢ、２歳、８．５ハロン)は、firm の芝コースに２頭が取り消して１４頭立て。勝馬にはＢＣジュヴェナイル・ターフへの優先出走権が与えられます。９月１０日にベルモントの芝コースで勝った２戦１勝のタイカンデローガ Ticonderoga が４対５のやや被った１番人気。
最低人気(９９対１)のコールド・スナック・サーティー Cold Snack Thirty が逃げ、タイカンデローガは８番手辺りに控えます。第３コーナーで逃げ馬は一杯になり、３番手を進んでいた２番人気(４対１)のキープ・クワイエット Keep Quiet が脚を伸ばし、第４コーナーで外から前を捉えて先頭。内ラチ沿いに進路を取ると、最後で漸く外から追い上げるタイカンデローガに１馬身４分の１差を付ける快勝でした。５番手を進んだ８番人気(２３対１)のバーズ・アイ・ヴュー Bird’s Eye View が半馬身差の３着。
マーク・カッセ厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のキープ・クワイエットは、フランス産。前走８月３１日にサラトガのウイズ・アンティシペイション・ステークス(芝ＧⅡ)で２着していた馬で、通算成績は５戦２勝２着１回となりました。権利を得たＢＣに挑戦することになるでしょう。
キーンランドのもう一鞍は、ＢＣディスタッフの優先出走権を掛けたスピンスター・ステークス Spinster S (ＧⅠ、３歳上牝、９ハロン)。fast の馬場に出走馬は僅かに５頭で、既に７月にデラウェア・ハンデ(ＧⅠ)を制してＢＣの資格充分なアイム・ア・チャッターボックス I’m a Chatterbox が２対５の圧倒的１番人気。
レースは２番人気(３対１)のペイド・アップ・サブスクライバー Paid Up Subscriber の逃げで始まりましたが、クラブハウス・ターン(第１コーナー)を回ったところでミス・ピンク・ディーヴァ Miss Pink Diva が故障を発症して競走中止。そのまま安楽死となるアクシデントがありました。しかしレースは淡々と進み、２番手でピタリとマークしていたアイム・ア・チャッターボックスが馬なりのまま抜け出すと、ペイド・アップ・サブスクライバーに７馬身の大差を付ける圧勝で人気に応えました。離された４番手から追い込んだ３番人気(７対２)のジャンル Genre が更に５馬身差の３着。
ラリー・ジョーンズ厩舎、バーボンに続いてＧ戦ダブルとなるフロラン・ジェルー騎乗のアイム・ア・チャッターボックスは、去年のコーティリオン・ステークスに続いて三つ目のＧⅠ制覇。デラウエア・ハンデの後はパーソナル・エンサイン・ステークス(ＧⅠ)で４着に終わっていましたが、これで堂々とＢＣに臨みます。今年のディスタッフはビホールダー Beholder 、ソングバード Songbird 、ステラー・ウインド Stellae Wind と、どれが勝ってもおかしくない強豪揃い。近年に無いハイ・レヴェルの闘いが期待されますが、アイム・ア・チャッターボックスも優勝争いの一角であることは間違いありません。
一方、サンタ・アニタ競馬場からはエル・エー・ウーマン・ステークス L.A.Woman S (ＧⅢ、３歳上牝、６．５ハロン)。ＧⅢに格付けされて未だ３回目という歴史の浅い牝馬の短距離戦で、ＢＣ対象ではありません。fast の馬場に８頭が出走し、去年のサンタ・アニタ・オークス(ＧⅠ)で２着したことのあるリュミナンス Luminance がイーヴンの１番人気。
レースはスタートから３頭がハナを争う激しい流れ。３番人気(９対２)のグローリーザッパー Gloryzapper が主導権を奪い、２番人気(３対１)のパーフェクト・ピック Perfect Pic が並んで食らいつきましたが、終始外のグローリーザッパーが最後まで譲らず、５番手追走から内ラチ沿いに伸びた５番人気(８対１)のワイルド・アット・ハート Wild At Heart に半馬身差を付けて逃げ切りました。同じく半馬身差でパーフェクト・ピックも３着を粘り、４番手を追走したリュミナンスは頭差で４着敗退。
フィリップ・ダマト厩舎、スチュワート・エリオット騎乗のグローリーザッパーは本命馬と同じ４歳馬で、３歳の７月にデル・マーでデビュー(６ハロン)して初勝利。今期はサラトガの一般ステークス(サザン・トゥルース・ステークス、８．５ハロン)で２着していましたが、これがステークス初勝利となります。短距離一辺倒の馬ではないようですが、陣営はＢＣフィリー・アンド・メア・スプリント参戦も計画しているようです。
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