アイルランドから、残念なニュース

7月2日、愛ダービーの翌日もアイルランド、カラー競馬場でG戦が4鞍行われました。メインはGⅠ戦のプリティー・ポリー・ステークスですが、今日はレース順に紹介していきましょう。

この日の馬場はやや乾いて、 good 、直線コースは所により good to firm という状態。最初のG戦はインターナショナル・ステークス International S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン)。6頭が出走し、最近は勝鞍に恵まれないもののGⅠ馬の実績からヨハンネス・フェルメール Johannes Vermeer が5対2の1番人気に推されていました。
逃げたのは5番人気(6対1)のサクセス・デイズ Success Days 、これを3番手で追ったヨハンネス・フェルメールが半馬身捉えて久し振りの勝利を飾りました。2番手を進んだ4番人気(11対2)のムーンライト・マジック Moonlight Magic が2馬身4分の1差で3着に入り、今期からウェルド厩舎に移って初戦となるザ・グレイ・ギャッツビー The Grey Gatsby (11対4の2番人気)は4着に終わっています。

ヨハンネス・フェルメールは、エイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗の4歳馬。オブライエン/ムーアのコンビは前日、愛ダービーとレイルウェイ・ステークスで本命に推されながらも結果が伴わずアンラッキーでしたが、この日は第1レースをグスターヴ・クリムト Gustav Klimt という馬で制し、早々とダブルを達成しました。
同馬は2歳時のクリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)以来の勝鞍。3歳時は1戦しか出来ず、4歳の今期はムーアスブリッジ・ステークス(GⅡ)4着、トトソルズ・ゴールド・カップ(GⅠ)5着、2週前のロイヤル・アスコットではプリンス・オブ・ウェールズ・ステークス(GⅠ)の7着と奮いませんでしたが、ここはクラスを落としての復活劇となりました。より長い距離にも適性があり、スタミナよりも実力が試されることになりそう。

続いてはグランジソン・スタッド・ステークス Grangecon Stud S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)。8頭が出走し、未だ未勝利ながらオブライエン/ムーア・コンビのクレンミー Clemmie が6対4の1番人気。前走ロイヤル・アスコットに遠征し、アルバニー・ステークス(GⅢ)では7着でしたが、血統的な魅力が人気を押し上げたのでしょう。
逃げたのは、同じオブライエン厩舎でシーミー・ヘファーナンが騎乗する2番人気(3対1)のバタースコッチ Butterscotch 。4番手を追走したクレンミーが期待に応えて末脚を伸ばすと、バタースコッチを2馬身4分の3差捉えて初勝利を飾ると同時に、オブライエン師にワン・ツー・フィニッシュをプレゼントしました。中団から追い込んだ7番人気(25対1)のマンバ・ノワール Mamba Noire が4分の3馬身差で3着。

クレンミーはカラーの6ハロン戦でデビューして3着、2戦目が上記ロイヤル・アスコット挑戦で、今回が3戦目。それでも人気になったのは、今年の英愛2000ギニー2冠馬チャーチル Churchill の全妹に当たるからで、当然ながら来年の1000ギニー候補の1頭に挙げられるのは間違いないでしょう。チャーチルに続いてクラシックホースに成長できるか・・・。

そして古馬牝馬のGⅠ戦、プリティー・ポリー・ステークス Pretty Polly S (GⅠ、3歳上牝、1マイル2ハロン)。無事であればマインディング Minding の独壇場となる筈でしたが、故障を発症して戦線離脱。この日の発表では回復が遅れているようで、現役復帰はもう少し先になるとのコメントが出されています。
ということで、女王不在もあって11頭と多頭数。イギリスからゴスデン厩舎が送り込んだジャーニー Journey が15対8の1番人気。去年秋にアスコットのブリティッシュ・チャンピオン・フィリーズ・アンド・メアーズ(GⅠ)を制した5歳馬で、今期はコロネーション・カップ(GⅠ)5着を叩いて二つ目のGⅠを狙います。

レースは8番人気(25対1)クレッグス・パイプス Creggs Pipes の逃げで始まり、人気のジャーニーは後方8番手。しかし鞍上ケヴィン・マニングがムチを落とすというハプニングもあって精彩を欠き、最後は10着での入線となってしまいました。
一方、2番手を進んだ2番人気(7対2)のズーコーヴァ Zhukova がバテた逃げ馬を捉えて先頭に躍り出ましたが、7番手に控えていた4番人気(13対2)のネズワー Nezwaah が猛然と追い込み、これも最後方から追い込んだ3番人気(6対1)のレイン・ゴッデス Rain Goddess に3馬身4分の1差を付ける波乱となりました。4番手を進んでいた8番人気(25対1)のターレット・ロックス Turret Rocks が1馬身半差の3着にはいり、ズーコーヴァが頭差で4着。

勝ったネズワーは、英国のロジャー・ヴァリアン師が管理し、アンドレア・アッゼニが騎乗した4歳馬。ここまでは主にリステッド戦で活躍していた存在で、今期初戦もエア競馬場のリステッド戦に勝っての2連勝でG戦自体が初勝利となりました。
これまで参戦したG戦は2鞍で、一つはフランスのノネット賞(GⅡ)での5着、もう一つはカナダのE・P・テイラー・ステークス(GⅠ)7着でしたから、今回のGⅠ勝ちは中々予想が出来なかったと言えるでしょう。次はナッソー・ステークス(GⅠ)を予定しており、ここが試金石でしょうか。
ヴァリアン師はこのレース、2013年のアンビヴァレント Ambivalent に続いて2勝目、アッゼニ騎手はアイルランドのGⅠ戦は3勝目になるそうです。

カラーの最後は、文字通りカラー・カップ Curragh Cup (GⅡ、3歳上、1マイル6ハロン)。4頭の古馬に3頭の3歳馬が挑む7頭立てで、去年の愛セントレジャーを制した8歳馬のウィックロウ・ブレイヴ Wicklow Brave が11対8の1番人気。
ディープインパクト産駒でオブライエン厩舎、4番人気(7対1)のウィスコンシン Wisconsin が逃げ、2番手でマークしたウィックロウ・ブレイヴがこれを捉えて先頭に立った時、5番手を追走していた3番人気(4対1)のリキンドリング Rekindling が本命馬に襲い掛かり、最後は半馬身を付ける逆転劇となりました。6番手を進んだ7番人気(25対1)のエリドール Elidor が1馬身差の3着。

リキンドリングは、エイダンの息子で元ジョッキーのジョセフ・パトリック・オブライエンが調教し、ウェイン・ローダンが騎乗した3歳馬。3歳初戦のバリーサックス・ステークス(GⅢ)に勝ち、ダンテ・ステークス(GⅡ)が4着。エプサムのダービーにも遠征して16着と惨敗に終わりましたが、長距離で能力を活かしました。
明らかにセントレジャー・タイプで、ドンカスターの他にも地元アイルランドで古馬に挑むというローテーションもあり。1000ギニー2冠のウインター Winter と同様、昨シーズン限りで引退したデヴィッド・ウォッチマンからオブライエン軍団に加わった1頭です。

ところで、日記のタイトルに残念なニュースと書きましたが、それは二つ。
何れもエイダン・オブライエン厩舎から発表されたもので、一つは4歳牝馬サムハウ Somehow が調教中の事故で致命的な骨折をし、安楽死処分になった事。去年のオークス4着馬で、今期もダリア・ステークス(GⅡ)に勝ち、トトソルズ・ゴールド・カップでは2着したばかり。順当ならこの日のプリティー・ポリーで好勝負する筈でした。

もう一つは、今年のダービー馬で、前日の愛ダービーで僅差の3着だったウイングズ・オブ・イーグルス Wing Of Eagles の引退。実は愛ダービーのレース中に左前脚を骨折していて、ボルトを入れて固定する手術をしたものの競走馬としては再起不能の由。予後が順調なら種牡馬として再出発する器ですが、骨折しても3着だったこの馬の能力が早くも断たれてしまったことは残念の一語に尽きるでしょう。

 

 

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