7月8日のアメリカ競馬(1)ベルモント編

昨日の土曜日、アメリカ競馬は全土で14鞍ものG戦が行われる大賑わいで、とても全てを一つの記事に纏めていては気力も続きません。区切りが良い毎に分けながら記事をアップしていきますので、気長にお付き合いくださいな。

ということで、最初はニューヨークのベルモント・パーク競馬場で行われたG戦5鞍をレース順に。最初は今年が100回目の区切りとなる伝統の3歳マイル戦、ドワイヤー・ステークス Dwyer S (GⅢ、3歳、8ハロン)から。fast の馬場に5頭立て。2歳時にはGⅠ戦に2勝、前走ケンタッキー・ダービーは5着だったプラクティカル・ジョーク Practical Joke が3対5の1番人気。
2番人気(6対5)のバタリオン・ランナー Battalion Runner が逃げましたが、慌てず4番手に待機したプラクティカル・ジョークが内ラチ沿いから第4コーナーで大外に持ち出すと、最後方から追い込む5番人気(43対1)のテール・オブ・サイレンス Tale of Silence に2馬身差を付ける貫禄の勝利。逃げたバタリオン・ランナーが首差で3着に粘りました。
チャド・ブラウン厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のプラクティカル・ジョークは、去年のホープフル・ステークス(GⅠ)とシャンペン・ステークス(GⅠ)に勝ってBCジュヴェナイルは3着。今期はファウンテン・オブ・ユース(GⅡ)2着から始動し、ブルー・グラス(GⅡ)も2着し、ダービーを経てこれがシーズン4戦目となります。プリークネスを制したクラウド・コンピューティング Cloud Computing と同じオーナーで、2頭を巧く使い分けているのでしょう。

次はベルモント・スプリント・チャンピオンシップ Belmont Sprint Championship (GⅡ、3歳上、7ハロン)。勝馬にはBCスプリントの優先出走権が与えられるレースで、今年からGⅡに格上げされました。7頭が出走し、去年のBCスプリントの2着馬(2着馬の降着で繰り上がり)で、3月にドバイでゴールデン・シャヒーン(GⅠ)を制して以来の実戦となるマインド・ユア・ビスケッツ Mind Your Biscuits が7対5の1番人気。
逃げたのは6番人気(20対1)のグリーン・グラット Green Gratto でしたが、4番手に付けたマインド・ユア・ビスケッツが手応え良く第4コーナーで外から追い上げると、後方2番手から追い込む3番人気(5対1)のオウサム・スルー Awesome Slew に3馬身半差を付ける圧勝でした。5番手から伸びた5番人気(7対1)のトミー・マチョ Tommy Macho が1馬身差の3着。
チャド・サマーズ厩舎、ドワイヤーに続いてジョエル・ロザリオが騎乗したマインド・ユア・ビスケッツは、4歳の今期マリブー・ステークスでGⅠ戦に初勝利し、厩舎が替わったガルフストリーム・スプリント(GⅢ)2着で余裕を残してのドバイ遠征。言うまでもなくBC優先出走権を手にし、去年は2着に終わったスプリント(今年はデル・マー競馬場)で雪辱を期します。次走はサラトガのフォアゴー・ステークス(GⅠ)の予定。

ベルモントのG戦3鞍目は、この日最初のGⅠ戦ベルモント・オークス・インヴィテーショナル Belmont Oaks Invitational (芝GⅠ、3歳牝、10ハロン)。firm の芝コースに1頭が取り消して11頭立てとなり、フランスからチャド・ブラウン厩舎に転厩したばかりの仏オークス2着馬シスターチャーリー Sistercharlie が8対5の1番人気。
8番人気(20対1)のダイナテイル Dynatail が逃げ、ヨーロッパ出身の馬らしくシスターチャーリーは離れた最後方。3番手を進んでいた9番人気(39対1)のグリッゼル Grizzel が直線で先頭に立ちましたが、外から4番手追走の2番人気(5対2)ニュー・マネー・ハネー New Money Honey が交わすと、最後方から猛然追い上げるシスターチャーリーを首差抑えての優勝。これも後方2番手から追い込んだ4番人気(7対1)のユニ Uni が1馬身4分の3差で3着に入りました。
結果的に1着から3着までを独占することになったチャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のニュー・マネー・ハネーは、去年のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフの勝馬で、二つ目のGⅠ制覇。今期はアパラチアン・ステークス(芝GⅢ)こそ6着と敗れましたが、前走ベルモントでワンダー・アゲイン・ステークス(芝GⅢ)に勝っており、これでG戦2連勝。ブラウン師はこのレース、ガーデン・シティー・ステークスと呼ばれていた時代からここ6年で5勝と独占状態です。

続いては、かつてGⅠ戦だつたこともある伝統のサバーバン・ハンデキャップ Suburban H (GⅡ、4歳上、10ハロン)。去年のこのレースは5着だったものの、今期はサンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)を制し、前走ピムリコ・スペシャル(GⅢ)にも勝っているシャーマン・ゴースト Shaman Ghost が1対2の圧倒的1番人気。
10ハロンということでゆったりとしたスタート、2番人気(3対1)のマット・キング・コール Matt King Coal が逃げて、シャーマン・ゴーストは2番手を追走。第4コーナーで逃げ馬を捉えた本命馬がそのまま楽勝かと見えましたが、前半は4番手で控えていた3番人気(5対1)のキーン・アイス Keen Ice が外から追い込み、ゴールではシャーマン・ゴーストを3馬身振り切って久々の勝利となりました。最後方から伸びた4番人気(11対1)のフォロー・ミー・クレフ Follow Me Clev が更に3馬身差の3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ホセ・オルティス騎乗のキーン・アイスは、思い起こせば一昨年のトラヴァース・ステークス(GⅠ)を制した5歳牡馬で、勝鞍はそれ以来のもの。3歳時はBCクラシック4着、去年もBCクラシックで3着した強豪だけに、ここは長く待たれた復活劇と言えそうです。トラヴァースでは、あの三冠馬アメリカン・フェイロー American Pharoah を破っての戴冠。それがデビュー戦を除いては三冠馬にとって唯一の敗戦だっただけに、トラヴァースの意義は大きいと言えるでしょう。キーン・アイスの次なる目標は、10月に行われるジョッキー・クラブ・ゴールド・カップ(GⅠ)になる模様。

そして土曜日のベルモント、最後はベルモント・ダービー・インヴィテーショナル Belmont Derby Invitational (芝GⅠ、3歳、10ハロン)。アイルランドからはエイダン・オブライエン厩舎が2頭を送り込んでの11頭立てとなり、意外にも3対1の1番人気に推されたのは日本産馬のヨシダ Yoshida 、未だ3戦2勝の新星です。父はハーツクライで、母を社台の吉田勝巳氏が所有、オーナーには日本人関係者は無く、むしろ共同馬主の一団にチャイナ・ホース・クラブが顔を連ねているのが気になる所。
レースは3番人気(5対1)のオスカー・パフォーマンス Oscar Performance が逃げ、ヨシダは4番手辺りを追走。逃げ馬が快調に足を伸ばし、ヨシダも第4コーナーで3番手の外に上がって争覇圏内と見えましたが、オスカー・パフォーマンスの逃げ足衰えず、最後は3番手から伸びた6番人気(6対1)のコールド・トゥー・ザ・バー Called To The Bar (フランスからの遠征馬で、リス賞GⅢ勝馬)に2馬身差を付ける鮮やかな逃げ切り勝ちでした。7番手から伸びた7番人気(11対1)でオブライエン厩舎(オダナヒュー騎乗)のホームズマン Homesman (ガリニュール・ステークスGⅢ勝馬)が4分の3馬身差で3着に入り、ヨシダは最後で伸びず5着敗退。
ブライアン・リンチ厩舎、ホセ・オルティス騎乗のオスカー・パフォーマンスは、去年のBCジュヴェナイル・ターフの勝馬で、GⅠ戦は二つ目の勝利。前走ベルモントのペニー・リッジ・ステークス(芝GⅢ)にも勝っており、G戦2連勝で芝の3歳チャンピオンの座に就きました。

 

 

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