奇遇、ジャン・プラ賞デイ

昨日の日曜日、7月9日にはフランスのシャンティー競馬場でG戦が2鞍行われています。一つはGⅠのジャン・プラ賞、もう一つがGⅢのクロエ賞ですが、何とも不思議な縁で繋がりが出来た2レースでした。

この日の馬場はズバリ、 good 。先に行われたクロエ賞 Prix Chloe (GⅢ、3歳牝、1800メートル)は7頭立て。2戦2勝で臨んだ仏1000ギニーで4着した実績のワジナー Wajnah が成績上位、7対5の1番人気に支持されていたのは当然でしょう。
3番人気(3対1)のモンロー・ベイ Monroe Bay が逃げ、残り100ヤードまで粘る好走を見せましたが、これを4分の3馬身差で捉えたのは本命馬ではなく、5番人気(124対10)でしかなかったイビザ Ibiza 。掛かり気味に先行したがる馬を内で抑え、直線は外に出しての差し切り勝ちでした。3番手に付けていた2番人気(5対2)のダラス・アフェアー Dallas Affair が半馬身差で3着に入り、ワジナーは外から積極的に2番でマークしたものの失速、7着敗退に終わっています。

ニコラス・クレメント厩舎、ステファン・パスキエが騎乗したイビザは、今年5月にサン=クルーの1600メートルでデビュー勝ち。そのあとメゾン=ラフィットの1600メートル条件戦で3着、コンピエーニュで2000メートルのリステッド戦で2着し、今回が2勝目でG戦初制覇となりました。
実はイビザ、去年のこの日に行われたジャン・プラ賞を制したゼルザル Zelzal の半妹に当たる血統で、同日の二つのG戦を2年がかりで制覇するというファミリーの勝利でもあったのです。

そしてジャン・プラ賞 Prix Jean Prat (GⅠ、3歳牡牝、1600メートル)。ゼルザルが制した去年は牡馬6頭、牝馬3頭の9頭立て、内8頭が各国のギニー参戦馬という豪華版でしたが、今年は牡馬2頭に対し牝馬3頭、僅か5頭立て。しかもギニーからの転戦馬は牡馬1頭のみという寂しいメンバーになってしまいました。
11対10の1番人気に支持されたのはそのギニー組ではなく、前走ポール・ド・ムーサック賞(GⅢ)に勝って4戦無敗の牡馬トレ・フリョール Trais Fluors です。このポール・ド・ムーサック賞こそ、去年はゼルザルが制しており、ここにもクロエ賞との繋がりが見つかりました。

5頭立てと言いましたが、スタートで4番人気(154対10)で並んでいた2頭の牝馬の内の1頭、ライトアップザナイト Lightupthenight がゲートを出ず、何とかスタートはしたものの後尾を回るだけと言う珍風景。実質4頭立ての競馬になってしまいました。
その牝馬とは逆に好スタートから先手を取ったのが、2番人気(7対5)てせ只1頭ギニーを体験してきたサンダー・スノー Thunder Snow 。これを3番人気(5対1)の牝馬ゴールド・ラック Gold Luck が追走し、人気のトレ・フリョールは4番手、というか最後方で追いかけます。
後手を踏んだ感のある本命馬が最後で差を詰めたものの、耳を立てたまま楽走していたサンダー・スノーがトレ・フリョールの末脚を1馬身4分の1差封じての逃げ切り勝ち。3着も同じく1馬身4分の1差でゴールド・ラックという結果に終わりました。

勝ったサンダー・スノーはゴドルフィンの所有馬で、ニューマーケットでサイード・ビン・スロール師が管理し、クリストフ・スミオン騎乗。去年2歳時にサン=クルーでクリテリウム・インターナショナルを制しており、GⅠ戦は2勝目。
今期はUAEダービーを制し、敢えて挑んだケンタッキー・ダービーは馬が舞い上がってしまっての競走中止。ヨーロッパに戻って愛2000ギニーに参戦して2着となり、前走ロイヤル・アスコットのセント・ジェームス・パレス・ステークスではチャーチル Churchill に先着したものの3着に終わっていました。
スロール師にとっては、これが今期最初のGⅠ制覇でもあります。サンダー・スノーの適距離には幅があると考えている陣営、このあとはジャドモント・インターナショナル、ジャック・ル・マロワ賞、クイーン・エリザベス2世ステークスなどを考慮しているようですが、何れにしても3つ目のGⅠ戦を目指しているのは間違いないでしょう。

 

 

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