今シーズン最初のシャンティーG戦
ロンシャン競馬場の改修は予定より時間が掛かり、今年も凱旋門賞はシャンティー競馬場で行われるようです。そのシャンティー競馬場で、4月9日の日曜日に今年最初のG戦開催が行われました。全部で4鞍。
馬場は good 、レース順に取り上げて行くと・・・。
最初のヴァントー賞 Prix Vanreaux (GⅢ、3歳牝、1800メートル)は、本来はロンシャンの1850メートルで5月に仏オークスのトライアルの一つとして行われてきた一戦。去年と今年はシャンティーが舞台で、更に今年は仏ギニー前に行われました。
1頭が取り消して8頭立て。多くがシーズン初戦を迎える中、6対5の1番人気に支持されたのは、去年9月にシャンティーの1600メートルでデビュー勝ちしただけの戦績を持つモンロー・ベイ Monroe Bay 。
4番人気(84対10)のユニ Uni が逃げましたが、2ハロン進んだ地点で7番人気(151対10)のヴュー・ファンタスティック Vue Fantastique が代わって先頭。更に3ハロン地点で本命のモンロー・ベイが抜け出すという出入りの激しい競馬となり、最後は4頭が1馬身以内に流れ込む激しいレース。
結局、混戦を制したのは外を先行し、残り150ヤードで先頭に躍り出た2番人気(16対5)のゴールド・ラック Gold Luck 、本命モンロー・ベイを短頭差で差し切っていました。更に頭差で、後方から内を衝いて追い込んだ3番人気(36対5)のヘバー Hebah が3着。
勝ったゴールド・ラックはウェルザイマー兄弟の所有馬で、フレディー・ヘッド厩舎、マクシム・グィヨン騎乗。去年9月にメゾン=ラフィットの1600メートル戦でデビュー勝ちし、10月ドーヴィルのリステッド戦(アイソノミー賞、1600メートル)で2着。この日のシーズン初戦でG戦初勝利となりました。
仏1000ギニーはもちろん、仏オークスも射程圏に入れているクラシック候補でしょう。
続いてはヴァントーと同じ距離で行われる牡馬(せん馬も)によるラ・フォース賞 Prix La Force (GⅢ、3歳牡せん、1800メートル)。本来がシャンティーのG戦で、去年はサン=クルーで開催されていました。こちらも1頭が取り消して11頭立てとなり、ゴドルフィン期待の1戦1勝馬フランツ・シューベルト Franz Schubert が7対5の1番人気。
好スタートから先手を取ったのは2番人気(61対10)のハイ・アルファ High Alpha でしたが、ヴァントー賞同様にゴール前は大接戦。上位3頭が半馬身以内で犇めく混戦を制したのは、中団の内から伸びた4番人気(63対10)のグラファイト Graphite 。首差で4番手を進んだ2番人気(61対10)のフェルプス・ウイン Phelps Win が2着に入り、後方の外から追い上げた本命フランツ・シューベルトが頭差の3着。この3頭は展開次第ではどれが勝ってもおかしくない実力差でしょう。
グラファイトは、本命馬で3着したフランツ・シューベルトと同じくゴドルフィンの馬で、共にアンドレ・ファーブル厩舎。勝馬にはピエール=シャルル・ブードーが騎乗していました。フランツ・シューベルトが去年10月にシャンティーの1800メートルでデビュー勝したのに対し、グラファイトは9月メゾン=ラフィットの1600メートルのデビュー戦は4着、10月のメゾン=ラフィット1800メートル戦で初勝利を挙げていました。
この馬もフランツ・シューベルトと併せ、仏2000ギニー、仏ダービー共に狙える2頭と言えそうです。
日曜日の三つ目は、古馬によるダルクール賞 Prix d’Harcourt (GⅡ、4歳上、2000メートル)。3月のエクスバリー賞(GⅢ)と5月のガネー賞(GⅠ)の間に挟まる、春の2000メートル路線第2弾に相当します。11頭が参戦し、上記エクスバリー賞を制したクロース・オブ・スターズ Cloth of Stars が9対10の1番人気。
レースは英国から遠征した7番人気(26対1)のロビン・オブ・ナヴァン Robin of Navan の逃げで始まり、2ハロン地点からは先行していた3番人気(7対1)のメークタール Mekhtaal が代わって先頭。後方4頭の中で満を持していたクロース・オブ・スターズが残り1ハロン、3番手に押し上げて3馬身差を一気に詰めると、メークタールを首差捉えて堂々1番人気に応え、G戦2連勝を達成しました。1馬身半差で4番手追走の6番人気(209対10)マニアコ Maniaco が3着。
またもアンドレ・ファーブル厩舎、ミケール・バルザロナ騎乗のクロース・オブ・スターズは、前走エクスバリー賞で詳しく紹介したばかり。順調にガネー賞を制して春の古馬三冠を達成するかが見所でしょう。
シャンティーの最後は、3歳スプリンター路線のスタートを飾るシジー賞 Prix Sigy (GⅢ、3歳、1200メートル)。10頭が出走し、2歳時コーンウォーリス・ステークス(GⅢ)をフィナーレに5戦無敗の英国馬ミセス・ダンヴァース Mrs Danvers が9対10の断然1番人気。但し2歳時の5戦は全て5ハロンで、今期初戦が初めての経験となる6ハロン=1200メートルというのが死角でしょうか。
8番人気(39対1)の伏兵ファーシャド Farshad が逃げ、レース半ばからは替わって3番人気(56対10)のファス Fas が交わして先頭。この動きを手応え良く3番手で追走していたミセス・ダンヴァースでしたが、いざ追い出してみると動きは鈍く、平均ペースのまま6着に沈んでしまいました。結局途中からハナに立ったファスがそのまま逃げ切り、後方から追い込んだ2番人気(43対10)のプレシューズ Precieuse が3馬身半差の2着。更に3馬身半差で5番人気(132対10)のスパニッシュ・フライ Spanish Fly が、最後方から3着に食い込んでいます。
ピア・ブランド夫人が管理し、ヴァントー賞に続いてマクシム・グィヨンが騎乗したファスは、去年8月のドーヴィル1200メートルでデビュー勝ち。3戦目で初挑戦したG戦エクリプス賞(GⅢ、メゾン=ラフィット、1200メートル)は3着で、2歳終戦のクリテリウム・ド・メゾン=ラフィット(GⅡ)では4着に終わっていました。今期は既に3月のシャンティーでリステッド戦(ロンド・ド・ニュイ賞、1200メートル)に勝っており、使われた強みと距離適性がもたらした勝利と言えるでしょう。
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