アガ・カーン陣営、GⅠ戦を2連勝

ところで7月14日と言えば、ご存知フランスでは革命記念日、世に言うバスティーユ・デイでもあります。パリではマクロン対トランプという政治ショーもあったようですが、当欄の話題は当然ながらパリ大賞典一本です。

本来はロンシャン競馬場が舞台ですが、今年は2年連続でサン=クルー競馬場に移しての開催。もう一鞍のG戦が組まれているのも例年と同じです。昼間は政治とデモに任せておいて、白夜の季節は夜の競馬。昼間はニューマーケットでG戦ダブルを達成したライアン・ムーアもパリに飛来してのグラン・プリとなりました。
ということでパリ大賞典 Grand Prix de Paris (GⅠ、3歳牡牝、2400メートル)、good の馬場に1頭が取り消して9頭立て。前々走の英ダービーこそ10着でしたが、その後ロイヤル・アスコットでキング・エドワード7世ステークス(GⅡ)を快勝、追加登録料を支払って遠征したマーク・ジョンストン厩舎のパーミアン Permian が3対1の1番人気に支持されていました。

レースは7番人気(229対10)のファルコン・ウイングス Falcon Wings が逃げましたが、1ハロン行った地点でパーミアンが前に出ての逃げ。そのまま後続を引き付けながらゴールまで先頭を守り続けましたが、中団の内5番手でマークしていた5番人気(57対10)のシャキール Shakeel が内ラチ沿いから最後は本命馬の外に持ち出し、追って追ってギリギリ迫った所がゴール。
首の上げ下げで、見た目にはパーミアンが辛うじて逃げ切ったように見えましたが、写真判定の結果では、シャキールが首を下げ、パーミアンが首を挙げた所が丁度ゴール板。結局、シャキールがハナ差だけ出ているというラッキーな結末となりました。1馬身差で3番手を先行していた8番人気(28対1)のヴェニス・ビーチ Venice Beach が3着。オブライエン厩舎は3頭を送り込んでいましたが、ムーアが選んだ3番人気(23対5)のオーダーオブザガーター Orderofthegarter は7着に沈み、3頭の中で最も人気が無かったヘファーナン騎乗のヴェニス・ビーチが最先着したことになります。
パーミアン同様、追加登録料を支払って参戦した無敗のイタリア・ダービー馬で日本人オーナー(豊川隆哉氏)のマク・マホン Mac Mahon は、6番人気(13対2)で8着に終わりました。

名前から想像できるように、勝ったシャキールはアガ・カーン所有、アラン・ド・ロワイヤー=デュプレ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗で、スミオン騎手はこれが節目のGⅠ戦100勝目に当たるそうです。このコンビは先週、サン=クルー大賞典をザラク Zarak で制したばかりで、2週連続でのGⅠ制覇となりました。凱旋門賞への2枚看板が揃ったことになります。
2歳時は1戦して3着のみ。今期2戦目にシャンティーの2000メートルで初勝利を挙げた後、リス賞(GⅢ)3着、オカール賞(GⅡ)2着と徐々に成績を上げ、G戦初勝利がGⅠ戦勝利となったわけ。3代母に仏オークス馬シェマカ Shemaka がいるファミリーで、本格化するのは秋でしょう。

パリ大賞典の興奮の後で行われたのが、モーリス・ド・二エィユ賞 Prix Maurice de Nieuil (GⅡ、4歳上、2800メートル)。ステイヤー10頭が顔を揃え、ここ2戦のG戦で2着続きのタリスマニック Talismanic が21対10の1番人気。
レース内容が入電していないので詳しいことは判りませんが、中団の5番手に付けていたタリスマニックが、2番人気(17対5)で英国から遠征したマルメロ Marmelo に1馬身4分の1差を付けて人気に応えました。3番人気(67対10)のシリウス Sirius が4分の3馬身差で3着と順当。

アンドレ・ファーブル厩舎、ミケール・バルザロナ騎乗のタリスマニックは、これがG戦初勝利となる4歳馬。去年は仏ダービーが4着、パリ大賞典は5着でしたが、凱旋門賞にも挑んでの11着でした。
今期は4月にメゾン=ラフィットで2400メートルのリステッド戦に勝ち、デドーヴィル賞(GⅢ)、シャンティー大賞典(GⅡ)が何れも2着。ここで念願だったG戦初勝利を果たしています。

 

 

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