ビチュコフが振るホヴァンシチーナ

今年のプロムスでは3本のオペラ全曲演奏が予定されていますが、6日の日曜日にはフィデリオに続く第2弾、ムソルグスキーのホヴァンシチーナが取り上げられました。
今年は全て政治絡みのオペラと言う所がミソですが、もちろん現代の生臭い話題を扱った政治オペラじゃありません。

8月6日 ≪Proms 29≫
ムソルグスキー=ショスタコーヴィチ/歌劇「ホヴァンシチーナ」(演奏会形式)
 BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
 指揮/セミョーン・ビチュコフ Semyon Bychkov
 舞台演出/ポール・カラン Paul Curran
 合唱/スコラ・カントゥルム・オブ・ザ・カーディナル・ヴォーン・メモリアル・スクール Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School
 ティフィン少年合唱団 Tiffin Boys’ Choir、BBCシンガーズ BBC Singers、スロヴァキア・フィル合唱団 Slovak Philharmonic Choir
 イワン・ホヴァンスキー/アンテ・イェルクニツァ Ante Jerkunica
 アンドレイ・ホヴァンスキー/クリストファー・ヴェントリス Christopher Ventris
 ワシーリイ・ゴリーツィン公/セヴォロド・グリヴノフ Vsevolod Grivnov
 マルファ(分離派教徒)/エレナ・マクシモヴァ Elena Maximova
 ドシフェイ(分離派教徒の長)/アイン・アンガー Ain Anger
 シャクロヴィートゥイ(大貴族)/ゲオルゲ・ガニッツェ George Gagnidze
 スザンナ(分離派教徒)/ジェニファー・リス=デイヴィス Jennifer Rhys-Davies
 代書屋/ノルベルト・エルンスト Norbert Ernst
 エンマ/アヌーシュ・ホヴァニシアン Anush Hovhannisyan
 クーシカ/コーリン・ジャドソン Colin Judson

ほぼ当初発表されていたメンバーが出演しましたが、エンマ役だけはヴラーダ・ボロフコ Vlada Borovko という人から上記ホヴァニシアンに替わりました。
なお、今回の歌い手たちのカタカナ表記は私の自己流で、スコアと首っ引きだったのでアナウンスの発音を細かくチェックする余裕はありませんでした。

さてホヴァンシチーナはムソルグスキーの未完の作品で、一般に舞台に掛けられるものはリムスキー=コルサコフ版か、今回のショスタコーヴィチ版。私はスコアは前者しか持っていないので、今回はペトルッチでゲットできるオリジナルのヴォーカル・スコアをパソコン上に展開しながら聴くことにしました。
ショスタコーヴィチ版は、有名な前奏曲しか見たことがありませんが、大筋オリジナル版に沿っていて、第2幕の最後にファンファーレ風の楽句が入ること、尻切れトンボになってしまう最後の第5幕の幕切れにショスタコーヴィチのオーケストレーションが光っているのが特徴でしょう。

全曲は5幕、第4幕が第1場と第2場に分かれていて、休憩も入れて4時間強を要します。プロムスでは休憩が2回、第1幕と第2幕の間、第3幕と第4幕の間に20分づつの休みが入っていました。
それでも放送全部を通して聴くのは大変で、各自適当な所でブレイクしながら聴くのがお勧めです。第4幕に置かれている「ペルシャ奴隷の踊り」など、コルサコフ版とショスタコーヴィチ版ではかなりオーケストレーションが違うので聴きモノ。

第2幕辺りまではチョッと退屈するところもありますが、第3幕から最後までは真に素晴らしい音楽で、一度は聴いておいた方が良いと思いました。歌手たち、総勢110人という合唱、もちろんビチュコフ指揮のオーケストラのどれもが素晴らしく、極めてレヴェルの高い公演であることは間違いなし。太鼓判を押しておきます。

 

 

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