2年連続、グラジニテ=ティラとバーミンガム市響

声楽付きの大曲が続いたあとは、スリムなことこの上ないグラジニテ=ティラとバーミンガム市響がベートーヴェンを中心にしたプログラムでの登場。同コンビは2年連続のプロムスです。
去年は首席指揮者と言う肩書だったグラジニテ=ティラ、今年は更に格が上がって音楽監督という立場でした。よほど楽員からの信頼が厚いのでしょう。

8月21日 ≪Prom 50≫
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番
ストラヴィンスキー/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
ジェラルド・バリー Gerald Barry/カナダ(BBC委嘱、世界初演)
ベートーヴェン/交響曲第5番
 バーミンガム市交響楽団 City of Birmingham Symphony Orchestra
 指揮/ミルガ・グラジニテ=ティラ Mirga Gražinytė-Tyla
 ヴァイオリン/ライラ・ジョセフォヴィッツ Leila Josefowicz
 テノール/アラン・クレイトン Allan Clayton

リトアニア出身の女性指揮者、去年のプロム55でチャイコフスキーの第4交響曲他を披露しましたが、今年はベートーヴェンで勝負。演奏会のコンセプトは政治的にも芸術的にも自由、という事だそうです。
芸術的に自由、ということでこの指揮者はやりたい放題。冒頭の序曲からして奇異な印象を受けました。

しかし続くストラヴィンスキーは至極真っ当。古典では奇抜な解釈をする癖に、現代作品は常識的と言うのが私にはよく理解できません。
現代作品にも積極的に取り組んでいるという印象が強いジョセフォヴィッツ、足を踏み鳴らしながら演奏する滅茶苦茶テクニカルなアンコールは、エサ=ペッカ・サロネンの Lachen Verlernt (学ばざる笑い)からの抜粋。彼女はこの作品も録音していると思います。

後半の最初は、アイルランドの作曲家バリーの新曲世界初演。バリーに付いては出版社であるショット社のホームページをご覧あれ。

https://en.schott-music.com/shop/autoren/gerald-barry

今回の新作、実はベートーヴェン繋がりなのだそうで、歌劇「フィデリオ」の囚人の合唱にある“Speak Softly”という歌詞を転用したものらしいのですが、聴いている内に笑いがこみ上げてきました。客席からも笑い、というか苦笑も。
笑ってしまう、という意味ではメインの第5も同じで、私には第2楽章、第3楽章のトリオなど殆ど漫画に聴こえてきましたがどうでしょうか。芸術的にも自由という考え方は理解できますが、私には付いて行けません。それでも客席は大喝采。ロンドンは鷹揚ですな。
アンコールもあって、やはりコミック系のバッハ。第3組曲からアリアでした。

 

 

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