2017ヨーク・イボア開催初日

例年に比べて1週間ほど遅くなりましたが、ヨーク競馬場で毎年恒例のイボア・ミーティングが始まりました。8月23日から26日までの4日間、G戦は全部で10鞍、内GⅠ戦は3鞍です。

初日の昨日はG戦3鞍、朝方の雨で馬場は good to soft 、所により soft 。最初のアコーム・ステークス Acomb S (GⅢ、2歳、7ハロン)は1頭が取り消して10頭立て。今月初めにグッドウッドでデビュー勝ちした内容が目を惹いたディー・エックス・ビー Dee Ex Bee が6対5の1番人気に支持されています。
このレースは最初からアクシデント。最低人気(33対1)だったチーフ・ジャスティス Chief Justice という馬がゲートインを拒否し、更には騎手を振り落として放馬、競走から除外されます。
先ず2番人気(9対2)のフリート・レヴュー Fleet Review が逃げましたが、レース半ばからは8番人気(25対1)のダンザン Danzan が替わって先頭。人気のディー・エックス・ビーは3番手に付けていましたが、残り2ハロンで早くも赤信号。後方に付けていた4番人気(10対1)のジェームス・ガーフィールド James Garfield が追走グループから抜けて残り1ハロンで先頭に立った所に追い込んだのが、同じ10対1のウェルズ・ファー・ゴー Wells Farhh Go 、首の上げ下げでゴール板を通過しました。写真判定の結果、ハナ差でウェルズ・ファー・ゴーが優勝。やはり後方から伸びた3番人気(8対1)のランスキー Lansky が3馬身4分の3差で3着に入り、ディー・エックス・ビーは6着と期待を裏切っています。

勝ったウェルス・ファー・ゴーはティム・イースタービー厩舎、デヴィッド・アラン騎乗。7月28日に同じヨーク競馬場の7ハロン戦でデビュー勝ちし、これで2戦2勝、無敗でG戦勝馬となりました。ややズブい所のある大柄な馬で、アラン騎手はムチの過剰使用で7日間の騎乗停止を食らっています。
本格的に仕上がるのは3歳になってからで、2000ギニーのオッズは33対1、ダービーは50対1が出されました。ロイヤル・ロッジ・ステークスとジャン=リュック・ラガルデール賞の二つの2歳GⅠ戦に登録がありますが、実際に出走するかは未定とのことです。

この日のG戦二つ目は、古くからセントレジャーのトライアルとして知られるグレート・ヴォルティジュール・ステークス Great Voltigeur S (GⅡ、3歳牡せん、1マイル3ハロン188ヤード)。2頭が取り消して6頭立てとなり、ダービー3着、愛ダービー2着のクラックスマン Cracksman がG戦初勝利を目指して4対6の断然1番人気。
逃げたのは最低人気(25対1)のアッティー・パース Atty Persse 、残り5ハロンからは5番人気(16対1)のスパニッシュ・ステップス Spanish Stepps が交わして先頭に立ちましたが、残り3ハロンで早くもクラックスマンがスパートして躍り出ると、同時に大本命を追って2番人気(9対2)のヴェニス・ビーチ Venice Beach が追いかけましたが差は開き、拍手が巻き起こるゴールではクラックスマンがヴェニス・ビーチに6馬身の大差を付ける完勝でした。3着には更に6馬身差が付いて、後方から追い込んだ3番人気(5対1)のミレージ・ダンサー Mirage Dancer 。1着から6着まで全て人気順の着順と言う全く順当な結果で収まっています。

ジョン・ゴスデン厩舎、ランフランコ・デットーリ騎乗のクラックスマンは、フランケル Frankel 産駒としてダービーの筆頭候補にまでなった馬。漸くG戦初勝利となりましたが、明らかに秋に向けて成長が見られます。このあとはセントレジャーには向かわず、目標はあくまで4歳馬になってからのキングジョージ、凱旋門賞。
仮に今期もう一戦するとすれば、凱旋門賞か英チャンピオン・ステークス、というのがゴスデン師のコメントです。それでもブックメーカーは黙ってはいず、今年の凱旋門賞に8対1から10対1(レース前は16対1)、愛チャンピオンにも14対1のオッズが出されました。
凱旋門賞の8対1は、同厩のイネイブル Enable に次ぐ2番人気。今日(24日)イネイブルは凱旋門への足慣らしとしてヨークシャー・オークスに出走しますが、もしここで敗退するようなことがあれば、クラックスマンが替わって凱旋門賞、という可能性も無いとは言えません。同じデットーリのお手馬ですから、2頭ともシャンティーへ、という選択肢は殆ど無いと思いますが・・・。

初日の最後は、注目のジャドモント・インターナショナル・ステークス Juddmonte International S (GⅠ、3歳上、1マイル2ハロン56ヤード)。どれが勝ってもおかしくない7頭が参戦しましたが、この距離は初挑戦となるギニー2冠馬のチャーチル Chrchill が5対2の1番人気。そのチャーチルをセント・ジェームス・パレス・ステークスで破ったバーニー・ロイ Barney Roy が11対4の2番人気で続き、3歳馬優位のオッズとなっていました。
逃げたのはダービー2着、4番人気(9対2)のクリフス・オブ・モハー Cliffs Of Moher (オブライエン厩舎、ヘファーナン騎乗)。これを2番手でマークしたバーニー・ロイが残り2ハロンで捉えて先頭に立ちましたが、3番手に付けていたムーア騎乗のチャーチルが内から競り掛けます。しかし前2頭の争いを4番手で余裕を持って追走していたのが、3番人気(4対1)のユリシーズ Ulysses 。前2頭を残り1ハロンで外から一気に交わすと、競り勝ったチャーチルに2馬身差を付けて快勝。バーニー・ロイは首差の3着でした。

勝馬を管理するサー・マイケル・スタウト師は、このレース6勝目で記録更新。騎乗していたジム・クロウリーは初勝利ですが、目下のところリーディング・ジョッキー争いのトップを走ります。(クロウリーは大レースの勝鞍よりも数で勝負するジョッキー)
ユリシーズは2走前のエクリプス・ステークスに続くGⅠ戦2勝目。前走キングジョージは馬場が重すぎたこと、相手のイネイブルが強すぎたこともあって2着でしたが、この後はアメリカに遠征してBCターフを目指すことになっています。そのオッズは5対2に上がり、目下のところ1番人気。
一方2着とは言え、初の10ハロンを克服したチャーチルには愛チャンピオンに5対2のオッズが出され、こちらも1番人気です。オブライエン師も結果には満足、これが固い馬場なら10ハロンでも十分に戦えることに自信を深めたようでした。

 

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