2017ヨーク・イボア開催3日目

8月25日、ヨーク競馬場のイボア開催3日目はG戦3鞍。馬場は good 、所により good to soft と徐々に回復しています。この日はゴール前のカメラ・アングルが微妙で、結果に泣き笑いもありました。

先ず、2マイルの長距離戦ロンスデール・カップ Lonsdale Cup (GⅡ、3歳上、2マイル56ヤード)は9頭立て。出走馬中に今期G戦に勝った馬は唯1頭しかおらず、2走前にヨークシャー・カップ(GⅡ)を勝ったエリザベス女王のダートマウス Dartmouse が11対4の1番人気に上がっていました。
最低人気(33対1)のハイ・ジンクス Hi Jinks が逃げましたが、先行していた本命ダートマウスがスタンドから遠い側を抜けて先頭に立った所に、逆にスタンド側からは7番人気(16対1)のモンタリー Montaly が伸び、更には後方から追い込んだ6番人気(14対1)のサン・ミシェル St Michel も2頭の間を衝いて3頭の争い。
サン・ミシェルはやや遅れを取りましたが、写真判定の1・2着は、カメラアングルではダートマウスが有利にも見えました。しかし結果はモンタリーが本命馬をハナ差抑えており、モンタリー陣営にとっては驚きの結果でもあったようです。半馬身差でサン・ミシェルが3着。

アンドリュー・ボールディング厩舎、ピージェイ・マクドナルド騎乗のモンタリーは、これがG戦初勝利となる6歳せん馬。3歳の終わりに去勢手術を受け、今期初戦にチェスターのハンデ戦(チェスター・カップ)に勝ったのがせん馬としての初勝利でした。前走サンダウンのリステッド戦は2着で、これで今期は3戦2勝。
10月アスコットのブリティッシュ・チャンピオンズ・ロング・ディスタンス・カップのオッズは12対1に上がっています。

去年からGⅢ戦に格上げされたシティー・オブ・ヨーク・ステークス City of York (GⅢ、3歳上、7ハロン)は、2頭の取り消しがあっても18頭立てと多頭数。ここは今年の1000ギニー3着馬のダバン Daban の実績が評価されて4対1の1番人気。
しかしこのG戦は最初から波乱含み。スタートから1ハロン進んだ地点で、何と本命ダバンが競走を中止してデットーリ騎手が下馬してしまいます。スタンドがどよめく中、6番人気(12対1)のムブタシム Mubtasim が後続に5馬身差を付ける大逃げに出ましたが、中団から追い上げたのは4番人気(9対1)のタラーイェブ Talaayeb 、先行して粘る12番人気(20対1)のトスカニーニ Toscanini を首差抑えての優勝。2番人気(13対2)のスードア Suedois が短頭差で3着に入る接戦でした。

勝ったタラーイェブはオーウェン・バロウズ厩舎、シェイク・ハムダン・アル・マクトゥーム氏の所有馬で、本来ならシェイクの主戦騎手ジム・クロウリーが乗る筈。しかしクロウリーは体重の問題もあり、同じ勝負服の牡馬ルスマート Rusumaat に騎乗していました。そこで負担重量が軽い牝馬のタラーイェブには、今回が同馬に初騎乗となるクリス・ヘイズが頼まれて騎乗していたというワケ。因みに6番人気(12対1)だったルスマートは16着に敗れています。
タラーイェブは2歳時の9月にニューマーケットの7ハロンでデビュー勝ちしてシーズンを終え、今期初戦は1000ギニーに挑んでの4着。母がオークス2着馬という血統的背景もあり、次はニューバリーで10ハロンのリステッド戦に出走しましたが、明らかなスタミナ不足を露呈しての7着敗退に終わっていました。ここは短距離に戻り、これが未だ生涯の4戦目。この勝利で、今年レヴェルの高い3歳牝馬の1頭であることを証明した形です。

3日目の最後は、今開催で組まれている最後のGⅠ戦となるナンソープ・ステークス Nunthorpe S (GⅠ、2歳上、5ハロン)。2歳から出走が可能ですが、今年は2歳馬の参戦は無し。1頭が取り消して11頭立てとなり、2頭のみ出走した3歳馬が人気上位を独占していました。即ち前走キングズ・スタンド・ステークスを圧勝したアメリカの怪物レディー・オーレリア Lady Aurelia が10対11の断然1番人気。本命と同じく今期無敗で前走キング・ジョージ・ステークス(GⅡ)を快勝したバターシュ Battaash が11対4の2番人気。
頭数も多く、馬群は二手。馬場の中央を女王レディー・オーレリアが飛ばし、スタンド側はバターシュと、8番人気(40対1)のファイナル・ヴェンチャー Final Venture が主導します。残り1ハロンでバターシュが脱落し、レーディー・オーレリアが逃げ切ったかに見えましたが、スタンド側を離れず追走していた3番人気(8対1)のマーシャ Marsha が猛追。2頭がハナ面を揃えた所がゴールでしたが、大本命に騎乗したデットーリ騎手が拳を突き上げるガッツポーズで勝者を主張します。
しかし写真は非情、デットーリが愕然としたように、最後はマーシャがハナ差でレディー・オーレリアを捉えていました。確かにテレビのカメラアングルではデットーリが制したようにも見えたのでしたが・・・。馬場中央の後方に付けていた9番人気(50対1)のコタイ・グローリー Cotai Glory が3馬身4分の3差の3着に入り、バターシュは4着に終わっています。

勝ったマーシャはサー・マーク・プレスコット厩舎、ルーク・モリス騎乗の4歳馬で、終わって見れば去年のアベイ・ド・ロンシャン賞の勝馬。GⅠ勝ちはこれが二つ目となります。
今期はパレス・ハウス・ステークス(GⅢ)に勝って始動しましたが、次のキングズ・スタンド・ステークス(GⅠ)ではレディー・オーレリアの後塵を拝して3着。続いてカラーのサファイア・ステークス(GⅡ)も2着と勝ち切れず、前走キング・ジョージ・ステークス(GⅡ)ではバターシュにも遅れを取って3着に終わっていました。そのために今回は3番人気だったのです。
これで勢いを取り戻した(はず)マーシャ、連覇が掛かる今年のアベイ・ド・ロンシャン賞のオッズは2対1に上がり、目下の所1番人気。一方敗れたレディー・オーレリアも期待を裏切ったわけではなく、秋のBCターフ・スプリントのオッズは11対10となり、こちらも本命の地位を維持しています。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください