ヨーク・イボア開催4日目とグッドウッド、ウインザー

水曜日に始まったヨーク競馬場のイボア開催、昨日の土曜日がフィナーレで、開催のタイトルでもあるイボア・ハンデが行われました。
当欄はG戦レポートが主体ですからハンデ戦はパスし、最終日のG戦2鞍と、他にグッドウッドとウインザーで行われたG戦も併せて紹介していきましょう。どれも比較的マイナーなG戦、簡単なレポートで勘弁してください。

先ずヨークの千穐楽、馬場は最後に来て good にまで回復し、ストレンソール・ステークス Strensall S (GⅢ、3歳上、1マイル177ヤード)は7頭立て。前走チェルムスフォードで1マイルのハンデ戦に勝った上がり馬ムスタシュリー Mustashry が5対2の1番人気。
5番人気(13対2)のフォレスト・レンジャー Forest Ranger が逃げて良く粘りましたが、4番手を進んだムスタシュリーが伸び、逃げ馬を4分の3馬身捉えて期待に応えました。3番手を進んだ4番人気(6対1)のソヴリン・デット Sovereign Debt が1馬身半差の3着。

サー・マイケル・スタウト師が管理し、ジム・クロウリーが騎乗した4歳馬のムスタシュリーは、これが今期3戦目での2勝目で、もちろんG戦は初勝利。古馬再生工場の異名をとるスタウト師と、今開催4勝目を挙げたチャンピオン・ジョッキー、クロウリーとのコンビネーションでした。

ヨーク・イボア開催、最後のG戦はジムクラック・ステークス Gimcrack S (GⅡ、2歳牡せん、6ハロン)。2頭が取り消して10頭立てとなり、3頭が9対2の1番人気で並ぶ大混戦。即ちコヴェントリー・ステークス(GⅡ)2着のヘッドウェイ Headway 、モールコム・ステークス(GⅢ)2着のインヴィンシブル・アーミー Invincible Army 、サパラティヴ・ステークス(GⅡ)とリッチモンド・ステークス(GⅡ)で連続2着のネボ Nebo です。
しかし勝ったのは人気3頭のどれでもなく、8番人気(14対1)のサンズ・オブ・マリ Sands Of Mali の鮮やかな逃げ切り勝ちでした。インヴィンシブル・アーミーが2馬身4分の3差で2着に入り、ヘッドウェイと4番人気(5対1)だったカードシャープ Cardsharp が1馬身差で3着同着を分け合い、ネボは6着に終わっています。

リチャード・ファヘイ厩舎、久し振りのG戦勝ちとなるポール・ハナガンが騎乗したサンズ・オブ・マリは、ヨークのデビュー戦こそ7着だったものの、2戦目の前走ノッティンガムで初勝利。2連勝でG戦初勝利となり、来年のコモンウェルス・カップに16対1のオッズが出されました。

次は今月初めにグローリアス開催が行われていたグッドウッド競馬場から。夏の終わりを告げる馬場は good 、先ずプレスティージ・ステークス Prestige S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)は10頭が参戦し、ケンプトンの新馬勝ちが注目されたヴェランダ Verandah が3対1の1番人気。
そのヴェランダはスタートで出遅れて後方からの競馬。3番人気(5対1)のイジー・ビズー Izzy Bizu が逃げましたが、最後は何れも中団から伸びた3頭の争いとなり、2番人気(4対1)のビルスドン・ブルック Billesdon Brook が6番人気(10対1)のホワイトファウンテンフェアリー Whitefountainfairy に4分の3馬身差で優勝。最低人気(33対1)のミス・バー・ビーチ Miss Bar Beach が更に4分の3馬身差で3着に入り、人気のヴェランダは5着敗退です。

リチャード・ハノン厩舎、シーン・レヴィー騎乗のビルスドン・ブルックは、これが既に今期7戦目とキャリア豊富。前走同じグッドウッドのグローリアス開催で、同じ7ハロンのなーざりー戦に勝っており、クラスを上げてのG戦初勝利となりました。

グッドウッドのもう一鞍は、セレブレーション・マイル Celebration Mile (GⅡ、3歳上、1マイル)。残念サセックス・ステークス的なマイルGⅡ戦で、6頭が出走し、去年の勝馬ライトニング・スピア Lightning Spear がイーヴンの1番人気。
3番人気(11対2)のハサル Hathal が逃げ、3番手を進んだ去年の2着馬で2番人気(9対2)のゾンダーランド Zonderland が残り75ヤードで先頭に立ち、前年の雪辱を果たしたかに見えましたが、4番手を追走していた本命ライトニング・スピアが最後でグッと一伸び、ゾンダーランドをハナ差捉えて2連覇達成です。逃げたハサルが粘って4分の3馬身差の3着。去年のビデオを見ているような2年連続のワン・ツー・フィニッシュでした。

デヴィッド・シムコック厩舎、オイジン・マーフィー騎乗のライトニング・スピアは今年6歳、去年はセレブレーション・マイルのあとクィーン・エリザベス2世ステークス(GⅠ)3着でシーズンを終え、今期はロッキンジ2着、クイーン・アン9着、エクリプス7着、そして前走サセックス3着と全てGⅠ戦を戦い抜いてきました。GⅡ戦に勝って当然と言えるでしょう。

土曜日の最後は、エリザベス女王のお膝元でもあるウインザー競馬場で行われる唯一のG戦、ウインター・ヒル・ステークス Winter Hill S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン)。馬場は good to firm 、所により good で、2頭が取り消して6頭立て。去年のこのレースで後のGⅠ馬ユリシーズ Ulysses を破って優勝したチェイン・オブ・ディジーズ Chain Of Daisies が2連覇を目指して出走してきましたが、これを抑えて3対1の1番人気に支持されたのは、前走ローズ・オブ・ランカスター・ステークス(GⅢ)を勝ち上がったフランケル Frankel 産駒のフランクース Frankuus 。チェイン・オブ・ディジーズは僅差、100対30の2番人気で続きます。
人気のフランクースが逃げ切りを図って先頭に立ちましたが、1ハロン地点からは替わってチェイン・オブ・ディジーズが替わっての逃げ。しかしこれを先行して見ていた4番人気(11対2)のファブリケイト Fabricate が残り1ハロンで一気に捉えると、後方から追い込む3番人気(7対2)のスパーク・プラグ Spark Plug に1馬身4分の1差を付ける快勝。同じく1馬身4分の1差でチェイン・オブ・ディジーズが3着に入り、フランクースは5着と期待を裏切りました。

勝ったファブリケイトは、何と言ってもエリザベス女王自身が所有する5歳せん馬で、マイケル・ベル師が管理し、フランスから呼ばれてジェラルド・モッセが騎乗していました。モッセはもちろん女王の馬に騎乗したのは初めてで、この特別な勝利に大感激の様子でした。
ファブリケイト自身もG戦に挑んだのはこれが初めてで、前走グローリアス・グッドウッドのハンデ戦では2着で入線したものの、先頭の馬が同馬に進路妨害したと判定され、裁決室で優勝を拾っていました。

 

 

 

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