エクセルシオ@浦安
当ブログでは初めての紹介ですが、今年春に京葉線の新浦安駅前(横か)にオープンした浦安音楽ホールからのレポートです。昨日、12月16日の土曜日にマチネーとして行われた以下のコンサート。
エルガー/愛の挨拶
ヴォルフ/イタリアン・セレナーデ
モーツァルト/セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」~第1楽章
チャイコフスキー/弦楽四重奏曲第1番~第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第6番~第3楽章
ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」~第4楽章
~休憩~
シューベルト/弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」
クァルテット・エクセルシオ
千葉県の浦安に新しい音楽ホールが出来る、という噂は以前から耳にしていましたが、我がクァルテット・エクセルシオがそのレジデンスを務めることになった、と聞いて俄かに浦安が身近になった次第。ホールのこけら落としは今年4月でしたが、主催公演の他にも様々な企画が並んでおり、個人的にはこれが3度目の浦安行となりました。
東京駅の地下深く、京葉線に乗って人気駅・葛西臨海公園と舞浜の次に来るのが新浦安。中央改札を出、高架の京葉線が右手に見えるように進むと、直ぐ左手に見える高いビルが、音楽ホールがある建物。6階と7階がこの日の浦安ホールがある階で、この施設にはホールがもう一つと、いくつかのスタジオも併設されています。ホールの受付は5階。最初は施設が多いので戸惑いましたが、3度目ともなれば目隠しされても行けるほど。それは大袈裟か。
吹き抜けも音響が良く、チョットした演奏も可能。そのロビーからは遠くディズニーランドの造作も見えたりして、チョットしたリゾート気分ではあります。
私が初めてここを訪れたのは6月22日のことで、エクの公開リハーサルがあることを知ったから。早速申し込んで、音楽ホールに初めて足を踏み入れました。音楽を聴くというよりはホールの音響が目当てで、リハーサルの間に足を忍ばせながら1階と2階、様々な席で音響を試してみました。結果は素晴らしいの一言。何処で聴いても響きは同質ですし、良く響く空間と、未だ木の香が残るアクースティックが魅力。この日、思いもかけぬ方から声を掛けられ、業界でも新ホールに寄せる関心の高さが伺われました。
二度目は8月11日に行われた、ホール公認のバックステージ・ツアー。この会はエクが施設内の3箇所で実際に演奏し、担当者がホールの設備について詳しく説明する催しで、写真撮影はいくらでも可でしたが、内容をSNS等に投稿することは遠慮して欲しいとのことでした。このステージ体験会はその後も何度か行われ、今後も開催の予定で、内容がネタバレにならないようにとのこと。従って内容や詳細は触れません。2時間のツアーでホールの秘密を探ることが出来ますから、興味ある方はホームページから申し込んでください。
以上が前置き。この日はレジデンスを務めるエクとしての最初の浦安コンサートで、上記のように、演奏されたのは弦楽四重奏の入門編、と言った内容です。作品や演奏に付いては特に紹介することも無いでしょう。
エクは浦安地区で様々なアウトリーチや教育プログラムも行っており、この日もプレ・コンサートとして浦安ユースオーケストラとの合奏も披露されました。モーツァルトのディヴェルティメントK136の第1楽章と、シベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォでしたが、11人の若者をサポートするようにエクの4人が加わり、日頃の練習の成果を披露。こうした活動が浦安で行われていることに感心し、音楽を目指していた大人世代たちも昔を懐かしんでいた様子でした。
プログラム・ノート(渡辺和氏)も如何にも入門編らしく、若い聴き手にも読みやすく配慮されています。開場のベル、というか音楽が鳴りだしましたが、あれ、何処かで聞いたような。そう、サルビアホールと全く同じメロディーが流れてきたのに思わずニンマリしてしまいました。
4人が登場し、先ずはエルガーで挨拶。そのあとは大友チェロが簡単に解説しながらの進行で、特にモーツァルトからドヴォルザークまでは弦楽四重奏つて何、楽章ってどういうこと、という基本的な話。私も初めて気が付きましたが、モーツァルト以降の4曲は4つの楽章の代表的な作品例を紹介していくという企画だったのですね。単に名作を雑然と並べたわけでは、ない。
前半が終わると、休憩時の音楽雀たちの話題はホールの音響。2階で聴いても良く響きます、弱音もシッカリ聴こえるという好評価でした。
後半は本格的な弦楽四重奏の大曲をタップリ味わってもらい、エク@浦安のファースト・コンサートが終了しました。3人のサンタクロースと1匹(いや、一人)のトナカイが登場して、賛美歌「荒れ野の果てに」を弦楽四重奏の響きで。
予想していたことではありますが、前2回のリハや体験会とは違い、この日はほぼ満席に近い状態。誰もいない空間とは異なり、やはり客席に吸収されて音の響きが物足りなくなるのも事実でしょう。特に演奏する側からはホールの響きが聴こえてこないという戸惑いもあったとか。最初のリハーサルでも、舞台に座る位置によっても響きに差が出ることが実験されていましたから、この辺りが将来の研究材料になりそうです。いずれにしてもホールそのものも時の経過とともに熟成されていくもの。これからも聴き続けながら、ホールの成長を見守っていきたいと思います。
ということで、ここには同じく浦安ホールのレジデンスを務める仲道郁代氏が選定したヤマハとスタインウェイの最新モデルが常備されています。一度ピアノの響きも体験しないと、ということで来年2月の河村尚子リサイタルを予約しました。
京葉線は起点の東京駅が不便と言う難点がありますが、当方にはりんかい線の木場駅で乗り換えるという手が。尤もこちらも運賃が高いという欠点がありますが・・・。
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