2月第1週のアメリカ競馬(1)ニューヨークとフロリダ
2月3日、愈々本格的に始まった感のあるアメリカ競馬は、3つの競馬場で10鞍のG戦が行われる大賑わい。ここは都合で記事を2つに分けてレポートしていきましょう。
先ずニューヨークのアケダクト競馬場から。この日は東海岸のクラシック・トライアルの一つ、ウィザーズ・ステークス Withers S (GⅢ、3歳、9ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消しての5頭立て。事実上3頭の争いとなり、イーヴンの1番人気は去年の秋、アケダクトでナシュア・ステークス(GⅡ)を制しているエイヴリー・アイランド Avery Island 。
逃げたのは最低人気(34対1)のコルトアンドミシシッピ Coltandmississippi でしたが、やはり直線は3頭の争い。2番手追走から抜け出した本命エイヴリー・アイランドが、3番手を進んだ3番人気(2対1)フィレンツェ・ファイア Firenze Fire に2馬身差を付けて期待に応えました。最後方から追い込んだ2番人気(2対1)のマルコーニ Marconi が半馬身差の3着に入り、4着以下は18馬身以上の大差が付けられています。
キアラン・マクローリン厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のエイヴリー・アイランドは、ナシュア・ステークスに続く二つ目のG戦制覇でシーズンを始動しました。その間、12月初めのレムゼン・ステークス(GⅡ)では2着、着実に経験を積んでクラシックに備えている印象です。
そして、全て3歳馬のためのG戦5鞍が組まれているガルフストリーム・パーク競馬場、最初に行われたのがスウェイル・ステークス Swale S (GⅢ、3歳、7ハロン)。去年までのGⅡ戦からGⅢに降格されましたが、fast の馬場に6頭が出走し、去年の暮れに新馬戦を圧勝したストライク・パワー Strike Power が2戦目ながら4対5の断然1番人気。
スタートから先手を取ったストライク・パワー、そのまま後続を寄せ付けず、最後方から内を衝いて追い込む5番人気(15対1)のガッタ・ゴー Gotta Go に2馬身4分の3差を付けて逃げ切り、堂々人気に応えました。3番手を進んだ3番人気(5対1)のダイアモンド・キング Diamond King が1馬身差の3着。
マーク・へニング厩舎、ルイス・サエズ騎乗のストライク・パワーは、これで2戦2勝。12月23日にガルフストリーム・パークで行われた5.5ハロンのデビュー戦は、人気こそ12対1とありませんでしたが、2着以下に8馬身差を付ける圧巻の逃げ切り勝ち。いきなりのG戦挑戦で厩舎の期待が本物であることを証明して見せました。このあとクラシック路線に乗るのか、スプリントに徹するのか、次走は未だ決まっていません。
3歳G戦5連発、二つ目は芝の牝馬戦、スイーテスト・チャント・ステークス Sweetest Chant S (芝GⅢ、3歳牝、8ハロン)。good の馬場に9頭が参戦し、去年11月のデル・マーのジミー・デュランテ・ステークス(芝GⅢ)で2着したデータ・ディペンデント Data Dependent が8対5の1番人気。
8番人気(32対1)のマイ・フェイヴァリット・ギフト My Favourite Gift が逃げましたが、7番手の内ラチ沿いに待機していた3番人気(9対2)のザウェイアイアム Thewayiam が第4コーナーで外に持ち出すと、直線では一気の末脚を爆発させ、同じく最後方からの末脚に賭けた4番人気(5対1)サルサ・ベラ Salsa Bella に4分の3馬身差を付けて優勝。4番手を進んだ5番人気(5対1)のアンディーナ・デル・サー Andina Del Sur が1馬身4分の3差で3着に入り、やはり後方8番手に付けていたデータ・ディペンデントは伸びず、7着に終わりました。
グレアム・モーション厩舎、ホセ・オルティス騎乗のザウェイアイアムは、去年10月にフランスから移籍した馬。フランス時代は3戦、2戦目にローカルで1勝しましたが、キーンランドのアメリカ・デビュー戦は快勝。続くデルマーで、本命馬が2着したジミー・デュランテ・ステークスに出走したものの11着に惨敗していました。去年はこれでシーズンを終え、今年は1月6日に同じガルフストリーム・パークでリステッド戦(ジンジャー・ブリュー・ステークス)を制し、連勝で早くも4勝目を記録しています。
続いて行われたフォワード・ギャル・ステークス Forward Gal S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)は、去年まではGⅡ戦でしたが、今年からGⅢに降格。8頭が参戦し、目下ブラックタイプの一般ステークスを2連勝中のテイク・チャージ・パウラ Take Charge Paula が5対2で1番人気。
4番人気(5対1)ヘヴンハズマイニッキ Heavenhasmynikki の逃げを2番手で追走したテイク・チャージ・パウラ、第4コーナーで危なげなく外から先頭に立つと、6番手から追い込む逃げ馬と同じ4番人気(5対1)のサルトリー Sultry に3馬身半差を付けて成長を見せ付けています。4番手に付けた3番人気(7対2)のマイ・ミス・リリー My Miss Lilly が1馬身差の3着。
キアラン・マクローリン厩舎厩舎、パコ・ロペス騎乗のテイク・チャージ・パウラは、これが念願のG戦初勝利。ニューヨークのウィザーズもエイヴリー・アイランドで制したマクローリン師は、1日2勝のクラシック・トライアル勝ちです。デビューから2連勝で臨んだポカホンタス・ステークス(GⅡ)こそ10着と大敗したテイク・チャージ・パウラでしたが、続くマトロン・ステークス(GⅢ)が2着。11月にはローレルのスマート・ヘイロー・ステークス、12月にはガルフストリーム・パークでハウス・パーティー・ステークスと一般ステークス連勝で2歳シーズンを締め括り、ここが今期のデビュー戦でした。
土曜日のガルフストリーム・パーク、最後から2番目のG戦は、スイーテスト・チャント・ステークスの牡馬版で、ダニア・ビーチ・ステークス Dania Beach S (芝GⅢ、3歳、8ハロン)。去年は1月7日に7.5ハロンで行われていました。一月後ろにずれ込んだ今年は、1頭が取り消しての9頭立て。去年のBCジュヴェナイル・ターフで2着したアンテイムド・ドメイン Untamed Domain が6対5の1番人気。
2番人気(2対1)のギドゥー Gidu が後続を引き離して逃げ、直線も良く粘ります。これを2番手で追走した3番人気(4対1)スピード・フランコ Speed Franco が徐々に差を詰め、第4コーナーで外から並び掛けると2頭の一騎打ち。内外相譲らず写真判定に持ち込まれましたが、外のスピード・フランコが頭差でギドゥーを抑えての優勝。人気のアンテイムド・ドメインも6番手から追い上げましたが、2馬身4分の3差及ばず3着に終わりました。
グスターヴォ・デルガド厩舎、エミサエル・ジャラミーヨ騎乗のスピード・フランコは、これがG戦初勝利。ここまでの4戦は全てガルフストリーム・パークでのもので、9月のデビュー戦が2着、2戦目の12月には未勝利ながら一般ステークス(パルピット・ステークス)に挑戦して見事に勝ち、1月のリステッド戦(キッテンズ・ジョイ・ステークス)6着からのリバウンドでした。
この日最後は、ケンタッキー・ダービーのポイント対象(10-4-2-1)でもあるホーリー・ブル・ステークス Holy Bull S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。2頭が取り消して9頭立てとなり、昨シーズンをケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)優勝で締め括ったエンタイスド Enticed が9対5の1番人気。2番人気には3頭がほぼ一戦で並ぶ大混戦となりました。
逃げたのは6番人気(32対1)のマスター・マニピュレーター Master Manipulator でしたが、強かったのは3番手を追走していた僅差3番人気(3対1)のオーディブル Audible 。第3コーナーで早くも逃げ馬を捉えると、4番手から追い縋る4番人気(3対1)のフリー・ドロップ・ビリー Free Drop Billy に何と5馬身半差を付けていました。6番手から伸びた2番人気(これも3対1)のティズ・ミスチーフ Tiz Mischief が更に7馬身4分の3差遅れの3着に入り、5番手を進んだエンタイスドは4着、大敗と言って良いでしょう。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のオーディブルは、9月ベルモントのデビュー戦こそ3着でしたが、11月アケダクトの未勝利戦、12月にもアケダクトでアローワンス戦と連勝し、これが今期初戦での3連勝。名門プレッチャー厩舎のダービー候補に名乗りを上げました。
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