初めての芝体験も苦にせず

土曜日のアメリカ競馬は4つの競馬場で5つのG戦。GⅠ戦こそありませんが、BCを前にした静かな戦いが続きます。

先ずベルモント・パーク競馬場からはG戦2鞍。2歳の若駒たちによるフューチュリティー・ステークス Futurity S (GⅡ、2歳、6ハロン)は6頭立て。どの馬も勝てばG戦初勝利と言う新鮮なメンバーで、8対5の1番人気に支持されたキング・クランツ King Kranz は何と未だ未勝利馬。前走の未勝利戦は勝馬から4分の3馬身差で2着という成績です。
ハナを切ったのは4番人気(9対2)のマンハッタン・ダン Manhattan Dan でしたが、前半は最後方に置かれていた5番人気(7対1)のアニュアル・レポート Annual Report が第4コーナーでは大外を回って追い込み、ゴール前で内に寄れはしたものの後方2番手から連れて追い上げたキング・クランツに1馬身半差を付けて差し切り勝ち。4馬身半差で逃げたマンハッタン・ダンが3着に粘りました。
キアラン・マクローリン厩舎、じょー・ブラーヴォ騎乗のアニュアル・レポートは、ゴドルフィンの所有馬で、9月20日にパークス・レーシングでデビュー勝ちしたばかり。2戦2勝で、何れも追い込んでの勝鞍となります。

ベルモントのもう一鞍は芝コースのアセーニア・ステークス Athenia S (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。13頭が出走し、今回と同じ条件のジェームス・ペニー・メモリアル・ハンデ(芝GⅢ)に勝っているコーヒー・クリック Coffee Clique が3対1の1番人気。
9番人気(29対1)のケリー・ベル Keri Belle が後続を離して逃げましたが、スローペースにも拘わらずバテて後退。前半は内の5番手で我慢していた3番人気(5対1)のステラー・パス Stellar Path が内ラチ沿いを通って外から前を交わすと、これも内ラチ沿いに伸びたブービー人気(66対1)の伏兵ヴィーナー・ヴァルキリー Wiener Valkyrie に半馬身差を付けて優勝。4分の3馬身差で2番人気(3対1)のレディー・ララ Lady Lara が最後方から追い込んで3着、コーヒー・クリックは6番手追走も7着に終わりました。
クリストファー・クレメント厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のステラー・パスは、2歳時にフランスでレゼルヴォアール賞(GⅢ)に勝っていた4歳馬で、これがアメリカでのG戦初勝利。今年4月のアケダクトでのアメリカ・デビューを一般ステークス(プレンティ―・オブ・グレース・ステークス)勝利で飾りましたが、その後の3戦は何れも4着以内には入りましたが、勝ち切れなかったもの。これで欧米でG戦を制覇したことになります。

続いてキーンランド競馬場のレイヴン・ラン・ステークス Raven Run S (GⅡ、3歳牝、7ハロン)に行きましょう。fast の馬場に1頭が取り消して10頭立て。テスト・ステークス(GⅠ)とプライオレス・ステークス(GⅡ)で共に2着しているバー・オブ・ゴールド Bar of Gold が3対2の1番人気。
そのバー・オブ・ゴールドが逃げましたが、2番手でマークしていた8番人気(17対1)のセーラー・シス Sarah Sis が直線で外から並び掛け、最後まで粘る本命馬を半馬身競り落としての優勝。ハナ差で最低人気(42対1)のアイム・ア・ルッカー I’m a Looker が後方3番手から3着に追い込みました。
イングリッド・メイソン厩舎、今回が初めてとなるフロラン・ジェルー騎乗のセーラー・シスは、今年ハネービー・ステークス(GⅢ)とアイオワ・オークス(GⅢ)に勝っていましたが、前走チャールズ・タウン・オークス(GⅢ)では1番人気に支持されながら6着に敗れ、今回は人気を落としていました。

次にイリノイ州はホーソン競馬場のホーソン・ダービー Hawthorne Derby (芝GⅢ、3歳、9ハロン)。去年は施行されず、今年が50回目に当たるレース。firm の芝コースに1頭が取り消して12頭立て。これがアメリカ・デビューながらカナダから遠征してきたラッキー・リンディー Lucky Lindy が5対2の1番人気。
先ず7番人気(18対1)のミッション・ドライヴン Mission Driven 、続いて最低人気(99対1)のフラッシー・ジュエル Flash Jewel が逃げる展開となりましたが、攪乱されることなく6番手を進んだラッキー・リンディー、直線では外から確実に脚を伸ばすと、3番人気(4対1)のサハーム Saham に2馬身4分の1差を付けて見事人気に応えました。頭差で7番人気(18対1)のナン・ザ・レス Nun the Less が3着。
マーク・フロスタード厩舎、ロビー・アルバラード騎乗のラッキー・リンディーは、オンタリオ産のカナダ馬で、前走ウッドバイン競馬場のポリトラック・コースでオンタリオ・ダービー(カナダGⅢ)に勝っての参戦で、G戦は2連勝で2勝目となります。アメリカ競馬も芝コースも初体験でしたが、堂々殴り込みでカナダのレヴェルを証明して見せました。

最後はサンタ・アニタ競馬場のオータム・ミス・ステークス Autumn Miss S (芝GⅢ、3歳牝、8ハロン)。firm の馬場に10頭立て。今年サンタ・アニタの芝コースで行われた一般ステークスを3勝しているシンギング・キッティー Singing Kitty が2対1の1番人気。
2番人気(5対2)のドリーモロジスト Dreamologist が逃げましたが、2番手を追走していた4番人気(5対1)のポーリーナズ・ラヴ Paulina’s Love と、3番手に上がった5番人気(9対1)のベル・ヒル Belle Hill が並んで第4コーナー。直線では2頭の叩き合いとなり、外のベル・ヒルがポーリーナズ・ラヴを半馬身抑えて優勝。人気のシンギング・キッティーが後方2番手から追い込み、1馬身4分の1差で3着に入りました。
ラリー・ロス厩舎、レスリー・モーイング騎乗のベル・ヒルは、ワシントン州のエメラルド・ダウンズに本拠を置く馬で、これが初めての芝コース、初めてのカリフォルニアで、G戦も初勝利となります。地元ではワシントン・オークスなど一般ステークスに3連勝しての遠征で、これで4連勝となりました。

 

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