土曜日のアメリカ競馬パート1 ヴァニティーの逆転劇

今週のアメリカはGⅠが2鞍、ハリウッドのヴァニティーとチャーチル・ダウンズのスティーヴン・フォスターが目玉ですが、チャーチルは照明の下で行われるナイター競馬。今日はマチネーを聴きに行くのでチャーチルの結果が入ってくるのがギリギリ。
先に他にG戦が組まれている3競馬場の結果と共にレポートし、チャーチル・ダウンズは帰宅してから稿を改めての報告としましょう。

最初はデラウエア・パーク競馬場からオベアー・ステークス Obeah S (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。6頭が登録していましたが、コロニアル・ダウンズのオール・アロング・ステークスと掛け持ちで登録していたパチャタック Pachattack が取り消して5頭立て。去年のこのレースで年度代表馬アーヴル・ド・グラース Havre de Grace の2着だったティズ・ミズ・スー Tiz Miz Sue が4対5の1番人気。アゼリ・ステークス(GⅢ)に勝ち、前走アップル・ブロッソム・ハンデ(GⅠ)でも3着して好調をキープしています。
馬場は fast 、2番人気(イーヴン)のラヴ・アンド・プライド Love and Pride がスタート良く先頭に立ち、ティズ・ミズ・スーは3~4番手に待機。本命馬が直線で逃げ馬を捉えに掛かりますが、ラヴ・アンド・プライドの逃げ脚は衰えず、最後は1馬身4分の3差での逃げ切り勝ち。ティズ・ミズ・スーは2年連続で2着という結果になりました。3着は9馬身の大差が付いてチェック・ポイント Check Point の順。4着に入ったサルーフ Saroof まではデラウェア・ハンデの優先出走権が与えられます。
勝ったラヴ・アンド・プライドはトッド・プレッチャー師の管理馬、ジェレミー・ローズ騎乗。G戦はこれが初勝利ですが、5月19日にピムリコ競馬場で行われたアレール・デュポン・ディスタッフ・ステークス(GⅢ)ではオウサムムンド Awesomemundo の頭差2着に惜敗していました。

続いてベルモント・パーク競馬場のヒル・プリンス・ステークス Hill Prince S (芝GⅢ、3歳、8ハロン)。14頭の登録がありましたか、3頭はメインコースに変更になった場合のみの予備登録。オリジナルの芝登録からは1頭が取り消して10頭立てで行われました。馬場は firm 、ダートに挑戦して結果が出ず、芝に戻ってきた馬に人気が集まりました。
6対5の1番人気に支持されたサマー・フロント Summer Front は、去年12月にガルフストリームでダニア・ビーチ・ステークス(芝の一般ステークス)に勝った後キーンランドのポリトラック・コースでレキシントン・ステークス(GⅢ)が2着、前走ベルモントのピーター・パン・ステークス(GⅡ)は8着に終わっていました。一方2番人気(2対1)のハウ・グレート Howe Great も3月にパーム・ビーチ・ステークス(芝GⅢ)などに勝ってキーンランドのメインコースでブルー・グラス・ステークス(GⅠ)に挑みましたが5着、前走は芝に戻ってアメリカン・ターフ・ステークス(芝GⅡ)で3着していました。
レースはスプリング・トゥー・ザ・スカイ Spring to the Sky が逃げ、スタートで内に寄れたサマー・フロント(1番枠スタート)は4番手に付けます。ハウ・グレートはその前、3番手マーク。直線、ハウ・グレートを含め3頭が壁になって出られなかったサマー・フロントでしたが、内ラチから外に出して仕掛けると一気の末脚を爆発させ、先に抜け出していたハウ・グレートを半馬身差し切っての快勝です。3着は1馬身差で2番手を進んだフィルム・ショット Film Shot 。
クリストフ・クレメント厩舎、ラモン・ロドリゲス騎乗のサマー・フロント、次走は芝のGⅡ戦、ヴァージニア・ダービーになる予定です。クレメント師はヒル・プリンス、2008年のジオ・ポンティ Gio Ponti に続く2勝目です。

次にハリウッド・パーク競馬場からのレポートが入ってきました。あのゼニヤッタ Zenyatta が2008年から2010年まで3連覇したヴァニティー・ハンデキャップ Vanity H (GⅠ、3歳上牝、9ハロン)です。8頭が登録していましたが、有力2頭が取り消して6頭立て、3対5の断然1番人気に支持されたG戦3連勝中のインクルード・ミー・アウト Include Me Out には死角が無いように見えました。
レースは2番人気(5対2)ロック・アンド・グローリー Rock and Glory の逃げ、これを本命インクルード・ミー・アウトなど3頭が追走し、他は大きく置かれる展開。先ず逃げ馬が脱落し、インクルード・ミー・アウトが先頭で直線に入り、3馬身のリードを取った時には楽勝かに思われましたが、後方に待機していた伏兵(18対1、ブービー人気)ラヴ・ザウエイ・ユーアー Love Theway Youare が一気に追い上げ、並ぶ間も無く本命馬を2馬身半差し切っての番狂わせ。3着には6馬身4分の3差で英国産のアメリカ・デビューとなる最低人気(26対1)のザフィーンズ・パール Zafeen’s Pearl が食い込みました。
韓国系のミュン・ウォン・チョー師が管理、ギャレット・ゴメス騎乗のラヴ・ザウエイ・ユーアーはこれがステークス初勝利ですが、泥んこのサンタ・マルガリータ・ステークス(GⅠ)ではインクルード・ミー・アウトの2着していた馬。前走マージョリー・イヴェット・ハンデ(GⅡ)ではスタートで落馬、ほとんど競馬をしていませんでした。11連敗に終止符を打ちましたが、オッズ以上に力のある馬ではありました。人気の盲点だったと言えるでしょうか。

G戦4つ目はコロニアル・ダウンズ競馬場からオール・アロング・ステークス All Along S (芝GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。去年は開催されなかった一戦で1981年創設。1988年にGⅢに格付けされ、1990年以降GⅡに格上げされましたが、2000年からは再びGⅢに格下げされて現在に至っています。
firm の芝コース、2頭が取り消して9頭立て。オベアー・ステークスと掛け持ち登録をしていたパチャタック Pachattack が最終的にこちらを選び人気になりましたが、結局は6着と期待を裏切っています。
レースはスピーク・イージー・ギャル Speak Easy Gal とサンダリング・エミリア Thundering Emilia が逃げる流れ。これを3番手でマークした6対1のスノー・トップ・マウンテン Snow Top Mountain が直線では内ラチ沿いギリギリを衝いて抜け、追い込むクレア・スカイズ・アヘッド Clare Skies Ahead を首差抑えて優勝、パコ・ロペス騎手の好判断が光りました。頭差3着も追い込んだシメリング・モーメント Shimmering Moment 。本命パチャタックはスタートで安目を売り、最後方追走の苦しい展開。一旦は5番手まで上がる勢いを見せましたが、最後は伸びを欠いての凡走です。
トーマス・プロクター師が管理するスノー・トップ・マウンテンは、2月にガルフストリームでスワニー・リヴァー・ハンデ(芝GⅢ)を制していた馬。その後タンパ・ベイでヒルスボロー・ステークス(芝GⅢ)7着、チャーチル・ダウンズのミント・ジュレップ・ハンデ(芝GⅢ)でも6着と奮わず、人気を落としていました。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【土曜日のアメリカ競馬パート1 ヴァニティーの逆転劇】

    今週のアメリカはGⅠが2鞍、ハリウッドのヴァニティーとチャーチル・ダウンズのスティーヴン・フォスターが目玉ですが、チャーチルは照明の下で行われるナイター競馬。今日はマチ…

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