ウインスター・ファームに3頭目のダービー候補

3月24日、ケンタッキー・ダービー(5月5日)まで6週間となったアメリカ競馬、ダービー100ポイント戦の第一弾となるルイジアナ・ダービーが行われました。この日は3つの競馬場で合計7鞍のG戦、順に取り上げていきましょう。

最初はフロリダを取り上げます。ガルフストリーム・パーク競馬場で行われたハッチェソン・ステークス Hutcheson S (GⅢ、3歳、6ハロン)はクラシック・トライアルというより短距離の3歳戦で、去年は施行されませんでした。2年振りとなった今年は、fast の馬場に6頭立て。未勝利戦とアローワンス戦に連勝し、ここがステークス初挑戦となるインパクト・プレイヤー Impact Player が8対5の1番人気。
5番人気(8対1)のベル・タピスリー Belle Tapisserie が飛ばしましたが、3番手を追走していた4番人気(9対2)のマディソンズ・ルナ Madison’s Luna が第4コーナーの手前で前2頭を外から捉えると、5番手から追い込む3番人気(5対2)のスーターシュ Soutache に5馬身の大差を付ける圧勝でした。2番手を粘った2番人気(5対2)のトリックス・トゥー・ドゥー Tricks to Do が2馬身4分の1差で3着に入り、人気のインパクト・プレイヤーは最後方を進むも5着敗退です。
フィリップ・バウアー厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のマディソンズ・ルナは、2月10日にタンパ・ベイでデビュー戦に勝ったばかり。2戦2勝の無傷でG戦勝ち馬となりました。

続いてルイジアナ州のフェア・グラウンズ競馬場に行きましょう。この日が同競馬場の競馬フェスティヴァルで、GⅡ戦が4鞍のビッグ・デイ。最初のニュー・オ ーリーンズ・ハンデキャップ New Orleans H (GⅡ、4歳上、9ハロン)は fast のメインコースに1頭が取り消して5頭立てとなり、前走このレースのトライアルとなるマインシャフト・ハンデ(GⅢ)に勝ったザ・プレイヤー The Player が順当に4対5の1番人気。
そのザ・プレイヤー、スタートから先手を取って逃げ切る作戦でしたが、第3コーナーの手前で後続に交わされ、更に第4コーナー手前では騎手が追うのを止め、競走を中止してしまいました。波乱の展開となる中、前半はポツンと最後方を進んでいた2番人気(6対5)のグッド・サマリタン Good Samaritan が直線外から一気に前を交わすと、4番手に付けていた4番人気(14対1)のハリウッド・ハンサム Hollywood Handsome に2馬身4分の1差を付ける追い込み勝ち。3番手を進んだ3番人気(5対1)のスクーバ Scuba が5馬身差の3着に入りました。荒れる小頭数の見本のような結果でしょうか。
ウイリアム・モット厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のグッド・サマリタンは、これが今期初戦となる4歳馬。2歳時にBCジュヴェナイル・ターフで3着した馬で、去年はベルモント・ダービーで4着したあとジム・ダンディー・ステークス(GⅡ)でG戦初勝利。以後トラヴァース5着、ジョッキー・クラブ・ゴールド・カップ4着、クラーク・ハンデ2着とダートのGⅠ戦に連戦してシーズンを終えていました。

フェア・グラウンズのG戦第2弾は、芝コースのミュニッツ・メモリアル・ハンデキャップ Muniz Memorial H (芝GⅡ、4歳上、約9ハロン)。firm の馬場に11頭が揃い、2月の前走トライアルとなるフェア・グラウンズ・ハンデ(芝GⅢ)で見事に追い込み勝ちを決めたシンクロニー Synchrony が余勢を駆って3対1の1番人気。
最低人気(91対1)の伏兵ズールー・アルファ Zulu Alpha が逃げて先頭で直線に向きましたが、6番手の内に控えていたシンクロニーが直線で外から伸び、4番手を進んだ6番人気(11対1)のアークロウ Arklow に1馬身4分の3差を付けて見事に人気に応えました。逃げたズールー・アルファが粘って4分の3馬身差の3着。
マイケル・シュティドハム厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のシンクロニーは、これでG戦2連勝と末脚が冴えてきました。そもそも前走は昨年5月にモンマス競馬場でレット・バンク・ステークス(芝GⅢ)で2着して以来の休み明けだったもの、休養が良い方向に働いているのでしょう。

このあとはオークスとダービー、先ずフェア・グラウンズ・オークス Fair Grounds Oaks (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)は2頭の取り消しがあり、7頭立て。イーヴンの1番人気に推されたのは、前走トライアルのレーチェル・アレキサンドラ・ステークス(GⅡ)で逃げて2着に粘ったクラッシー・アクト Classy Act 。
今回もクラッシー・アクトが逃げ、後続を引き離して直線に向きましたが、6番手に待機していた4番人気(13対1)のチョコレート・マルティニ Chocolate Martini が外から追い上げ、7番手から更に外を回って急襲する3番人気(4対1)エスキモー・キッシズ Eskimo Kisses を辛うじて頭差抑えての優勝。4番手を進んだ2番人気(9対5)のワンダー・ガドー Wonder Gadot が4分の3馬身差で3着に入り、最後はバテた人気のクラッシー・アクトは更に半馬身差の4着に沈みました。
トーマス・エイモス厩舎、ミッチェル・マリル騎乗のチョコレート・マルティニは、2歳時は3戦して未勝利。3歳初戦のフェア・グラウンズで初勝利を挙げ、アローワンス戦で4着、1着と続けてここで2連勝。ステークスも初挑戦でのG戦勝ち馬となりました。

そしてメインのルイジアナ・ダービー Louisisns Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)。ケンタッキー・ダービーに向けた6つの重要なステップ・レースの一つで、今年はルイジアナが最初に行われます。10頭が出走し、G戦は未勝利ながら前走リズン・スター・ステークス(GⅡ)で3着したノーブル・インディー Noble Indy が5対2の1番人気。
レースは最低人気(141対1)マーメロ Marmello の逃げで始まりましたが、これを2番手でマークしたノーブル・インディーが第3コーナーでスパートし、先頭で直線。しかし7番手で待機していた5番人気(9対1)のローン・セイラー Lone Sailor が直線で外から本命馬に並び掛け、一旦はリードを奪ったものの、内から二の足を使って差し返したノーブル・インディー、ゴールでは首差を付けて期待に応えました。最後方から大外を追い込んだ3番人気(3対1)のマイ・ボーイ・ジャック My Boy Jack が半馬身差の3着。
これがこのレース4勝目となるトッド・プレッチャー厩舎、2勝目となるジョン・ヴェラスケス騎乗のノーブル・インディーは、去年12月3日にガルフストリーム・パークでデビュー勝ちし、今年1月11日にもガルフストリームのアローワンス戦に連勝。前走リズン・スターで初黒星を喫しましたが、ルイジアナの大一番を制してダービー候補に名乗りを上げました。オーナーであるウインスター・ファームとしては、既にホーリー・ブル・ステークスに勝ったオーディブル Audible 、タンパ・ベイ・ダービーを制したクイップ Quip を所有しており、ノーブル・インディーは3頭目のダービー有力候補となります。恐らくここからケンタッキーに直行するものと思われます。

土曜日の最後は、いつものようにサンタ・アニタ競馬場から2鞍。先ずサンタ・モニカ・ステークス Santa Monica S (GⅡ、4歳上牝、7ハロン)は、以前は長くG戦に格付けされていた一戦で、去年は1月21日に施行されたもの。今年は fast の馬場に5頭が出走し、古馬牝馬3強の一角でもあるパラダイス・ウッズ Paradise Woods が参戦してきたとあって4対5の断然1番人気。
2番人気(5対2)のセルコート Selcourt が逃げ、パラダイス・ウッズは2番手からいつでもこれを捉える構え。しかし大本命、逃げ馬を捉えるどころか直線ではリードを広げられる始末。結局セルコートが堂々の逃げ切り勝ちを収め、4番手を進んだ4番人気(8対1)のマーレーズ・フリーダム Marley’s Freedom が4馬身半差の2着に入り、更に1馬身4分の1差で3番手に付けた3番人気(3対1)のスカイ・ダイヤモンズ Skye Diamonds が3着、パラダイス・ウッズは4着惨敗に終わりました。
ジョン・サドラー厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のセルコートは、前走2月のラス・フローレス・ステークス(GⅢ)に勝って頭角を現した馬。詳しくはその時に紹介しましたが、3強の一角を崩したことで、古馬牝馬スプリンター界の新星と呼んで良いでしょう。

最後は伝統ある芝の長距離戦、サン・ルイ・レイ・ステークス San Luis Rey S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。good の芝に1頭が取り消しての9頭立て。前年の覇者で目下G戦2連勝中の古豪イッツインザポスト Itsinthepost がイーヴンの1番人気。
5番人気(11対1)アクアフォビアAquaphobia の逃げを3番手でマークしたイッツインザポスト、第4コーナーで外から先行2頭を捉えると、5番手から差を詰める2番人気(2対1)のハヤブサ・ワン Hayabusa One に4分の3馬身差を付けての貫禄勝ちです。7番手から追い込んだ6番人気(17対1)のリスポンシブルフォーラヴ Responsibleforlove が5馬身4分の1差の3着。
ジェフ・マリンズ厩舎、タイラー・ベイズ(この日のG戦ダブル)騎乗のイッツインザポストは、これがG戦6勝目となる7歳せん馬。今年は1月のサン・ガブリエル・ステークス(芝GⅡ)、2月のサン・マルコス・ステークス(芝GⅡ)に続くG戦3連勝で、老いてますます盛ん。サン・ルイ・レイの2連覇は、確かシダー・キー Cedar Key 、ノーブル・ダンサー Noble Dancer 、ジョン・ヘンリー John Henry に続く史上4頭目の快挙だと思います。

 

 

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