読売日響・第476回定期演奏会

11月の読響はオペラ公演でピットに入ったり、正指揮者とスメタナの滅茶苦茶に難しい曲と取り組んだりと、目一杯の公演が続いています。
その真打がオスモ・ヴァンスカとのベートーヴェン交響曲シリーズの2年目でしょう。
今日はその第3回、オール・ベートーヴェン・プログラムです。
ベートーヴェン/序曲「コリオラン」
ベートーヴェン/交響曲第4番
     ~休憩~
ベートーヴェン/序曲「命名祝日」
ベートーヴェン/交響曲第8番
 指揮/オスモ・ヴァンスカ
 コンサートマスター/デヴィッド・ノーラン
 フォアシュピーラー/小森谷巧
一昔前、ベートーヴェンはコンサートの中心であり、王道でした。現在では珍しくなった感のあるオール・ベートーヴェン。意外にも客席にはかなり空席が目立ちます。確かに「英雄」「運命」「田園」などのタイトル付き作品はありませんが、ベートーヴェンはベートーヴェンですからね、この入りの悪さはなんじゃぁ~。
私の席の列など、ゴソッと欠席。コンサート後半は明らかに他席から移動してきた人たちが座っていました。
誰が見ても“ガラガラじゃん”と思えたのでしょう。
実際にはガラガラと評する程ではなかったのですが、ベートーヴェンでもこれだけ、しかも大人気の読響定期で、ということで一層意外感がありました。
ヴァンスカ氏、先日初台で見掛けたときは無精髭で恐ろしく老けて見えましたが、今日の本番でも髭姿でした。心境の変化でもあったのでしょうか。
念のために去年の日記を読み返してみましたが、ヴァンスカのベートーヴェン・アプローチは、髭を剃ろうと剃るまいと些かの変化もありません。
「前進また前進」、極めてアグレッシヴなベートーヴェン像を目指すのです。
コントラバスを下手奥に並べる対抗配置。身体全体を大きく使うダイナミックな指揮振り。
ただし、今回はやや複雑な感想になってしまったのは私の方の変化でしょう。歳だなぁ~。
去年心地良かった超快速も、弦楽器群のゴリゴリ、ゴツゴツした音色も、作品には不似合いに聴こえてきたのでした。
特に第4交響曲は馴染めませんでした。あの快速では終楽章のファゴットが落ちてしまうのは当然。プレイヤーに責任はないと思います。
それ以上に疑問符を付けたかったのは、弦のアンサンブルの「汚さ」でした。
弦の擦過音は、ここぞと言う時に使えば大きな効果が上がります。しかしこの日のように頻発させてしまうと返って逆効果。
最初は凄いな、と感心していた耳も、いつしか煩いな、という感想に変わってしまうのでした。
第4の第2楽章も、速度が速すぎる故に、弦の弓をタップリ使えないのでカンタービレが生きてきません。もう少し歌わせて欲しい。
珍品に属する命名祝日、あの序奏のテンポでは。コーダでは読響自慢の金管群からも異様な音が聴こえてきました。
最後の第8交響曲だけは、作品の性格にもマッチしたのか、かなり楽しめましたが・・・。
この辺で止めておきます。
11月は大阪シンフォニカー、札幌交響楽団と素晴らしいアンサンブル(特に弦楽アンサンブルの「美しさ」)を聴いてきたので、あるいは私の耳が読売日響のアグレッシヴな合奏に馴染めなかったのかも知れません。
次の回に期待しましょう。エッ、田園? あのスピードでやられちゃかなわんなぁ~。

 

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