クァルテット・エクセルシオ第34回東京定期演奏会

6月は室内楽の月。サントリホールのベートーヴェン・ツィクルスは終了したようですが、昨日12日からはブルーローズでキュッヒルQを中心にしたブラームス・ツィクルスが始まりましたし、横浜でもディオティマQがバルトーク全曲演奏会を開催。クァルテット・ファンが分散を余儀なくされる中、私共は上野の文化会館小ホールで行われたクァルテット・エクセルシオの東京定期を聴いてきました。
4月から翌年3月までをシーズンと位置付けている「エク」、2018-19年シーズンが結成25周年と言うことで、一つの節目となるシーズンでもあります。ご存知のように、西洋では「25」はクォーターとして極めて重要な数字、本来ならもっと大々的に宣伝してもよさそうですが・・・。

その記念シーズン、4つの柱で構成されているシリーズ第1弾が昨日の東京定期で、プログラムは以下のもの。今年のテーマ作曲家ドヴォルザークをメインに据えています。

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第6番変ロ長調作品18-6
モーツァルト/弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421
~休憩~
ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番ヘ長調作品96「アメリカ」

全て自由席の定期、開場を待つ列に並んでホールに入り、手渡されたシーズン・プログラムに挟まれた1枚の案内チラシに目が行って苦笑してしまいました。続いて名物の「エク通信」、ここにも冒頭から山田百子氏による試演会のレポートが掲載されていて、理事長の仕事の速さに感心してしまいます。

件の試演会、ここ数年は世田谷区の某所で行われてきましたが、今回は都合により初めてエクがレジデンスを務める浦安ホールで去る9日に開かれ、私も参加した一人です。この日はサントリーのベートーヴェン・ツィクルスと重なって参加者も少なく、それが故に試演会後に場所を移して行われた懇親会も大いに賑わいました。
その様子はエク通信に活写されている通りですが、話題は結成25周年という呼称は何時から何時までを指すのかで見解が分かれたこと。結局、結成の2019年4月を終点とするシーズンこそが25周年シーズンでしょ、ということで意見が纏まりました。ならば記念の催しをするのは「今でしょ」ということで「クァルテット・エクセルシオ結成25周年企画」をやるべきじゃないか、というテーマに移り、何となく決まったのが「エクだからできる!弦楽四重奏リクエストコンサート」なのでありまする。

ということで、この企画、エクが一方的に決めた訳ではなく、彼らを熱く応援しているファン参加の合同企画とでも称すべきもの。エクセルシオのコンサートに出かけてチラシを手にされたら、是非投票をお願いしたいと、当欄からもお願いします。複数の公演で毎回投票されても可。その結果が弦楽四重奏曲の人気投票にも繋がることで、21世紀の今、どんな作品が好まれているかの指標にもなると考えます。皆さんの予想は如何に、上位2曲が「アメリカ」と「死と乙女」といった単純な回答にはならないと思っていますが、果たしてどうでしょうか?

さて肝心の東京定期、曲目はどれもエクが日頃から得意にしてきたレパートリーで、私も色々なホールや会場で聴いてきた作品が並びました。最初のベートーヴェンは全曲演奏達成後の新たな一歩でもあり、作品18はCDが発売されたばかりで、2020年のベートーヴェン・イヤーでは再び脚光を浴びることになるでしょう。
続くモーツァルトは、エクとしてはやや久し振り。試演会で最も完成度が高い、と話題になっていたのもこのモーツァルトで、少し間が空いたことでメンバーにも新鮮な感覚が良い方向に作用していたのかも知れません。本番も変わらず見事なバランスでモーツァルトのニ短調ワールド(ドン・ジョヴァンニの調)を堪能させてくれました。

メインはドヴォルザーク、いきなりの「アメリカ」ですが、意外や定期演奏会では初登場だそうな。エクのアメリカは機会ある毎に弾かれてきましたし、まるでチェコの団体かと聴き紛うほどにエクの独壇場。
毎シーズンの総合プログラム誌の名コーナー「エク、大いに語る」を読むと、スメタナQのシュカンパ、プラハQのノヴォトニー、アルバン・ベルクQのピヒラー、アマデウスQのブレイニンといった大御所の名前がさり気無くもズラリと出てくるように、室内楽の伝統やスタイルをミッチリ叩き込まれた彼等の経験の蓄積が其処此処に顔を出していることに改めて気付き、感動を呼ぶのでした。これぞ結成25年の成果と称えましょう。

今シーズンのMCは大友チェロ、上記25周年企画の紹介に続き、定期には珍しくアンコールが演奏されました。今年のメイン・テーマ、ドヴォルザークの「糸杉」から第1曲「分かっているとも、あまい望みをもって」。初めて聴かれた方が “何て素敵な曲と美しい演奏なんでしょう” と涙ぐまれていた程に、心温まるアンコールでした。

 

 

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