第9@神奈川県民ホール

個人的な趣味で今年最後の演奏会に選んだのが、これ。クリスマス目前の金曜日、横浜は山下公園が見渡せる神奈川県民ホールで年末恒例の第9を聴いてきました。
この会場は暫く改修のため閉館されていましたが、私にとってはリオープン後最初のコンサートでもあります。

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
 管弦楽/神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 指揮/広上淳一
 ソプラノ/高橋絵里
 メゾソプラノ/平山莉奈
 テノール/宮里直樹
 バリトン/浅井隆仁
 合唱/神奈川フィル合唱団(音楽監督/大久保光哉)
 コンサートマスター/石田泰尚
 コンサートマスター/﨑谷直人

常任指揮者・川瀬賢太郎の元で大躍進を遂げている神奈フィル、今年もいくつかの定期を聴きましたし、来年も面白そうなコンサートをピック・アップする積り。今回の第9も予定が発表されるや、早々とマルを付けていた公演でもあります。
理由は聞かれるまでもないでしょう。やはり第9はこの人で締めたい。

歌手陣もフレッシュ、当初はヴェテランのテノール吉田浩之が歌う予定でしたが、健康上の理由で初めて聴く宮里に代わりました。メゾの平山も確か私は初体験ですが、ソプラノの高橋は先月、同じ広上の指揮でフィオルディリージを聴いたばかり。バリトンの浅井も初めてじゃありませんね、広上とはバッハでも共演していたと思います。

広上の第9は極めてオーソドックスなもの。何度か紹介していますし、特に付け加えることもありますまい。
今回の私共は1階の右寄り、目の前がヴィオラの最後列プルトという位置でしたが、最初の二つの楽章はティンパニを強調していたためもあってか、やや硬めの響き。舞台が横長で広いこともあって、少し遠い印象でした。

第2楽章と第3楽章の間で合唱団が入場、これに続いて4人のソリストたちが登場すると客席から拍手。指揮者も一緒に拍手していましたから、全曲を一気に通すタイプの第9ではありません。
神奈川フィル専属の合唱団、神奈川フィル合唱団はアマチュア。年齢層も比較的高いメンバーが多いようで、先日聴いた音楽大学の若手たちとはやはり一味も二味も違います。如何にも大人の合唱というか、声音にも落ち着きと暖かさが聴き取れました。

合唱団が入って舞台後方を埋めたこともあるのでしょうか、第3楽章以降は硬めだったホールの響きにも柔らかさが加わり、楽器の音もより明瞭に聴こえてきました。単に演奏が次第に白熱を帯びてきただけでもなさそう。指揮台の広上のアクションも後半からは一層大きくなり、アダージョは立体的に構築されたカンタービレが心を打ちます。
そしてフィナーレ、レシタティーヴォに続いて歓喜のテーマが歌いだされ、次第に音量を上げながらオーケストラ全総によるテーマ高奏。ここに至るジワジワとした盛り上げ方は広上独特のもので、舞台上はもちろん、聴き手も次第に興が乗っていくようなモチヴェーションの上げ方は彼の独壇場と言えましょうか。

ソリスト4人はオケの前、客席に最も近い位置で歌いますが、これにより歌詞も明瞭に聴こえます。最近は合唱団の前、即ち管弦楽の後ろで歌うケースが多くなったようにも思いますが、私は今回のような配置の方が好みですね。「おお友よ」は、聴き手と演奏者の間に立って呼び掛ける方が、よりリアルに体験できると思うのですがどうでしょうか。
広上の第9は、アンダンテ・マエストーソに入ってからが肝。後に二重フーガを形成する第2のテーマですが、特に後半「幾百万の者たちよ、跪いているか?」 Ihr sturzt nieder, Millionen ? の表現力は正に圧巻。私もこれが聴きたくて毎年、第9に出掛けているのです。「Muss」の絶唱に、今年も涙しました。

ということで今年最後の、いや平成最後の第9になるかもしれないコンサートを満喫してきました。今回は第9一曲のみで、演奏会が終わったのも未だ午後8時をを少し回った宵の口。ついつい、来た時とは反対の中華街方向に足が向いてしまいました。

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