日本フィル・第349回横浜定期演奏会

もうこれっきりにしよう、と思うのですが、また行ってしまいました。西本智実のコンサート、日本フィルの7月横浜定期です。

プロコフィエフ/交響曲第1番ニ長調作品25(古典交響曲)
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
     ~休憩~
プロコフィエフ/バレエ音楽「ロメオとジュリエット」作品64抜粋(西本智実版)
 指揮/西本智実
 ヴァイオリン/小林美樹
 コンサートマスター/木野雅之
 ソロ・チェロ/菊地知也

自分のブログ内で確認してみると、私が彼女の指揮にナマで接するのは3回目。全て7月の日フィル横浜定期での遭遇です。感想と言うより、こんな演奏会を聴きました、という記録ですが・・・。
過去の2回とは、最初が2012年7月の第279回、前回が2014年7月で第299回、そして今回。偶然でしょうが、全て演奏回数の最後の一桁が「9」という因縁。5年振りの西本でした。

プレトークは小宮正安氏。テーマは専ら「ロメオとジュリエット」に関してで、シェークスピアの悲劇が初めてオペラ化されたのは1776年のベンダという作曲家のものが最初で、登場人物を8名に縮小し、何と最後をハッピーエンドに仕立て直してしまったのだそうな。ヨーロッパ文化史が専門の小宮氏は、このあと悲劇をハッピーエンドに変更してしまう文化の背景、歴史などに触れ、プロコフィエフも元々はハッピーエンド版だったものが最終的には現在の悲劇版に落ち着いた経緯を大変判りやすく、興味深く纏めてくれました。

ロメオとジュリエットのオペラ化、早速帰宅してからコンサイスのオペラ辞典で調べてみましたが、なるほど第1号は Benda ベンダ。そのあと続々と様々な作曲家がチャレンジし、18世紀だけで7人、19世紀には12種類の歌劇「ロメオとジュリエット」が生まれているのですねェ~。もちろんこの中には戯曲と同じタイトルではなく、ベルリーニの「カプレーティとモンテッキ」という作品もあります。
20世紀に入ってもロメジュリの人気は衰えず、手元の辞典1979年版に記載されているだけでも13種類も作曲されていることが判りました。トータルすると、え~と、32作品ですか。これはオペラだけですから、「ロメオとジュリエット」をテーマとした音楽となると、それこそ数えきれない、ということになりそうですね。

プロコフィエフのバレエはその中でも最高クラスの傑作で、作曲家自身が編んだ3つの組曲の他、全曲演奏も含めて様々な「抜粋」が試みられていることは皆さまご存知の通り。実は私が前回の西本智実/日フィルで聴いたメインも同じ「ロメオとジュリエット」の西本智実版でした。
その詳しい内容と感想はその時のブログにアップしていますので、ここでは繰り返しません。因みにアンコールも全く同じでした。今回は冒頭に古典交響曲が演奏されましたから、プログラムが循環する形で閉じられたことにもなりましょう。

私が思い切って今回出掛けたのは、真ん中に置かれた小林美樹が演奏するメンデルスゾーンを聴きたかったから。彼女ののびのびとしたメンデルスゾーン、見事な技巧と美しい音色を十二分に堪能できました。
小林は去年11月の横浜定期でもラザレフとチャイコフスキーを共演していますから、同じシーズンで二度、それもメンチャイを完奏してしまったのですから、これは記録でしょう。しかも前回のチャイコフスキーでもメインはプロコフィエフのロメオとジュリエットでしたっけ。
多分アンコールの予定は無かったと思いますが、拍手が止まらず、背中を押されるようにバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番からラルゴを弾いてくれました。

西本智実に付いては改めて記すまでもないでしょう。シンフォニーよりバレエが適している指揮、に尽きると思いました。

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