指揮者ナタリー・シュトウツマン
プロムスの第3週、水曜日と木曜日はBBCウェールズが日替わりで二人の指揮者と共演します。水曜日は歌手として業績を重ねてきたナタリー・シュトウツマンが指揮者としての腕を揮いました。ドイツ音楽を並べたプログラム。
8月7日 ≪Prom 26≫
ブラームス/悲劇的序曲
ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
~休憩~
モーツァルト/レクイエム(ジュスマイヤー版)
BBC National Orchestra of Wales
指揮/ナタリー・シュトウツマン Nathalie Stutzmann
ソプラノ/ファトマ・サイード Fatma Said
メゾ・ソプラノ/キャスリン・ラッジ Kathryn Rudge
テノール/サニーボーイ・ドラドラ Sunnyboy Dladla
バス/デヴィッド・シプリー David Shipley
合唱/BBC National Chorus of Wales
シュトウツマンは言わずと知れたフランスのコントラルト歌手。10年ほど前から指揮活動を始め、オルフェオ55という室内オケを設立して古楽系の演奏を行っています。水戸室内管弦楽団にも指揮者として登場したことは日本のファンの間でも評判になっていました。
今年のプロムスでは女性指揮者の活躍が目立ちますが、彼女もその分野での第一人者と言えるでしょう。
ブラームスに続いて演奏されたワーグナーは、もちろんオーケストラ版。これが素晴らしい演奏でした。その濃密な表現を是非お聴きください。
後半は真夏のレクイエム。この季節に演奏されること、日本では余り違和感ありませんね。シュトウツマン、モーツァルトはもちろん歌手としても指揮者としても何度も演奏経験がある作品で、ここでは金管やティンパニに古楽器を用い、ピリオド系の演奏に徹しています。
冒頭の弦のリズムからして、オールド・ファンが馴染んできた巨匠風レクイエムとは異なりますから、古楽アレルギーの方は要注意でしょう。私は、と言えば流石にこのスタイルにも慣れっこになりました。女性指揮者だからどう、ピリオド系だからこう、という感想は抱きません。
4人の歌手はどれも知らない方ばかりですが、ソプラノはエジプト出身で、かつてBBCのニュー・ジェネレーション・アーティストに選ばれている美形。英国のメゾ、ラッジもBBCのニュー・ジェネレーション・アーティストでした。
テノールのドラドラは南アフリカ出身という珍しい経歴で、英国のバス、シプリーはグラインドボーンでビリーバッドを歌っていました。
4人ともホームページがありますから、各自で検索してみてください。
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