還暦を迎えたマーティン・ブラビンス

先週ダウスゴーの指揮で2連続公演を行ったBBCスコティッシュ、13日には再び登場して面白いプログラムを披露してくれました。

8月13日 ≪Prom 35≫
様々な作曲家による「描かれる範囲」 Pictured Within ~M.C.B.へのバースデー変奏曲(世界初演)
ヴォーン=ウイリアムス/音楽へのセレナード
     ~休憩~
ブラームス/運命の歌
エルガー/エニグマ変奏曲
 BBCスコティッシュ交響楽団
 指揮/マーティン・ブラビンス Martyn Brabbins
 ソプラノ/ナディーヌ・ベンジャミン Nadine Benjamin
 メゾ・ソプラノ/イダヌー・ムンク Idunnu Munch
 テノール/ウイリアム・モーガン William Morgan 
 バス・バリトン/デヴィッド・アイルランド David Ireland
 合唱/English National Opera Chorus, BBC Singers

この日は丁度ブラビンスの60歳回目の誕生日に当たっていました。ヨーロッパには還暦という風習はありませんが、楽壇を挙げてのお祝いになったようです。
ブラビンスは、もちろん2012年から2016年まで名古屋フィルの首席指揮者を務めたマエストロで、日本でもお馴染みの方。

最初に演奏されたのは、エルガーのエニグマ変奏曲を基にした合作。14人の現役作曲家の協力、エルガーも14の変奏から成る作品ですから、14という数字も大いに意味があるのです。折角の機会ですから、14人の名前を挙げておきましょう。即ち、
カレヴィ・アホ、サリー・ビーミッシュ、サー・ハリソン・バートウィッスル、リチャード・ブラックフォード、ギャヴィン・ブライアーズ Gavin Bryars 、ブレット・ディーン、藤倉大、ウィム・ヘンデリック Wim Henderickx 、コリン・マシューズ、アンソニー・ペイン、ジョン・ピカード、デヴィッド・ソイヤー、アイリス・ター・シホルスト Iris ter Schiphorst 、ジュディス・ウェアーの面々。日本では知られていない人から、藤倉大やバートウィッスルまで、全てブラビンスの友人達でもあります。
もちろん副題のM.C.B.は、ブラビンスのイニシャル。エルガーのエニグマ変奏曲に倣ってイニシャルで暗示するのは、英国流のユーモアでしょう。

テーマにはブラビンスという名前から採った音名が盛り込まれているそうで、最後にオルガンが加わる40分ほど掛かる大曲です。上記の中から藤倉大を含む何人かが演奏後に舞台に上がり、ブラビンスの誕生日を盛大に祝しました。

前半の2曲目、セレナードは1938年にヘンリー・ウッドが世界初演した作品で、今年のプロムスのテーマに沿った選曲です。この曲でソリストを務めた4人は、何れもイングリッシュ・ナショナル・オペラ・コーラスの一員だそうです。

後半はブラームスとエルガー、エニグマ変奏曲を最初と最後に置くアーチ状に構成されたプログラムでした。

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